ここのね活動報告レポート|2023年2月
みなさま、こんにちは。ここのね自由な学校です。
1年で一番短い月といえば、そう2月です。
しかしここのねの2月は、短くても濃ゆい!濃さというのは、時間の長さには比例しないのかもしれません。
今回の活動報告レポートは、ここのねの2月をダイジェストのように追いかけていきたいと思います。最後までどうぞよろしくお願いいたします。
旅行プロジェクトが無事に達成!
2022年11月から後期に入ったここのね。高学年クラスを担当している僕は「この期間に1つだけでもいいから自分のやりたいプロジェクトに挑戦してみよう!」と子どもたちに投げかけました。
その結果、「風船バレー大会プロジェクトを企画したい」「ゲーム大会プロジェクトを主催したい」という2つのプロジェクトが立ち上がり、大きな成果をあげました。やりきった子どもたちの笑顔が素敵だったなぁ。。。
しかし、ひとつだけ年を跨いでも終わっていないプロジェクトがありました。
それが、高学年女子チームが取り組んでいる「修学旅行プロジェクト」どの場所に行きたいのか?スケジュールは?そして資金集めに至るまで、全て子どもたちが計画・実行しています。
昨年12月に大分駅前でイベントに出店し、目標金額の半分をゲットできました。残りの資金を獲得するために、ある子がこんなチラシを持ってきてこう言うのです。
「こうちゃん、このイベントに参加したいねんけど、土曜日に一緒に来てもらうことは可能かな?」
誰が支持したわけでもなく、自分で探し出してきた今回のイベント。その主体性に感動しつつ、もちろんオッケーだよ!と返事をしてお隣の竹田市で開催されるフリーマーケットに参加することに決まったのです。
まずは商品集めです。ここのねに関わっていただいている数多くの関係者の方に呼びかけをして、「自分は使わないけどまだ全然使えるもの」を100点以上準備していました。
それから広報も行いました。1時間足らずで動画を作ったり、自作のイベントチラシを何部も配布して回っていました。彼女達の頑張りにはスタッフの自分も勇気づけられることが本当に多かったです。
そして本番当日。ドキドキしながら…会場に行くと、まさかの両隣もフリーマーケットで不用品の販売をしているのです…。僕は直感で思いました。これは資金集めが難しいかもしれない、と。
お客さんの数はいるものの、購入までつながることがなかなか増えません。立っているだけになる3人。でも彼女たちは諦めません。大きな声で集客をし、お客さんに「これ似合っていると思いますよ!」と提案をしてみたり。その頑張りに少しずつ買ってくれる人が増え、提示していた金額よりも多く払ってくださった方もいました。
そして無事にイベントが終了。帰る前に彼女たちと振り返りをします。
「今日はどうだった?」
「たくさん買ってもらえたと思う。だけど目標までは届かなかったかもしれない。悔しいな。」
本当によく頑張った…!!!だけど、もしかしたら旅行プロジェクトがいけないかもしれない。そんな空気が流れたまま家路に着きます。
迎えた、翌週の1時間目。いよいよ結果の確認です。
「えっ?!なんか予想よりも多い!!!やったぁ!これで旅行にいける!こうちゃんいけるよ〜〜〜〜!!!!」
予想よりも多くの資金が集まっており、修学旅行に行けることが決まった瞬間でした。それはそれは飛び跳ねるような笑顔で、達成を喜び合っている3人だったのです。
応援してくれた人、来てくれた人にお礼をしよう!と写真を撮ったときには、ちょっぴり照れくさそうにしてましたが(笑)
そこからは日にち決め、予算の配分、しおりの作成など入念な準備をして修学旅行を迎えます。
城島高原パークでは、おもいっきり楽しみました!実は、絶叫マシーンが苦手だったこうちゃん。みんなに誘われるがままに挑戦すると、その怖さを乗り越えてしまいました(笑)
(誰よりも楽しんでいたのがスタッフこうちゃん、というのはここだけの秘密です😂)
絶叫マシーン以外にも、VRやゴーカート、アスレチック等を楽しみました。そして最後はみんなで記念撮影!最高な1日だったね♫
城島高原パークの後は温泉へ。ここでも一大珍事があったのですが、それは長くなるのでまたどこかの機会ということで。
最後は別府でディナ〜!ひとつひとつ丁寧に作られたお料理が体に染みました。美味しかったぁ〜〜〜
11月から数えて4ヶ月間。本当に本当によく頑張りました。帰りの車内では、恋バナで花を咲かせたり、来年度はどこに行く!?S君が卒業だから、サプライズなんかもいいよね!なんて話も盛り上がってました。あぁ、青春。これが醍醐味だよなぁとじみじみ感じます。
来年はどこに行くかなぁ。もしかしたら宿泊もあるのかなぁ。いまから妄想が止まらないこうちゃんなのでした。
7ヶ月の集大成! プレゼン発表
「ここ大家族みたい」
初めての体験入学のあとに、そう表現した彼。5年生で不登校になり、家で1年間を過ごしたのちここのねと出会いました。
最初の彼の印象は、裏方向きな物静かな男の子という感じでした。ゲームが好きで、PS3をここのねに持ってきて一緒に遊んだこともありました。
しかし、どこか自分から何かに取り組むという積極性は感じず、プロジェクトの時も表には出ないで影で仲間を支えることを得意としていました。
その彼の「隠れた得意」に気づいたのは、いまから1年前の学習発表会でした。
自分の好きな仏像のことを調べてスライドにまとめ、30人程の大人に見守られながら人前で堂々と発表する姿を見た時、きっとこの子は人の前に出る選択をしないだけで、その殻を破ればもっとイキイキと持ち前のリーダーシップをより発揮できるかもしれない、そう思いました。
その3ヶ月後、彼にある挑戦を提案しました。
それが、しげまさこども食堂さんが主催する「地域がHOKORIプロジェクト」のプレゼンテーションでした。
3年前に自分自身も挑戦したことがあり、その時は苦しすぎて何度も何度もやめようと思ったほどでした。しかしやりきった後の達成感は、それはそれは大きく感じることのできるものでした。
8月から始まり、2月に本番を迎える。約半年間の長期プロジェクトは、きっと彼の成長に大きく繋がると思いました。
「あなたには、いまこの挑戦が必要だと思う。自分と向き合う必要があるからとてもキツい時間になる。途中でキツすぎて辞めたくもなるとも思う。それでもこの壁を越えたら、いまよりももっと大きく成長できるよ。一緒に挑戦しないか?」
彼は2週間じっくりと悩みました。それでも最後は、僕の言葉を信じて自ら挑戦すると決めてくれました。
そこから今日までの間、本当に本当にいろんなことがありました。彼も彼の両親も僕もそしてここのねまでも、大地震か!というぐらい大きく揺れました。崩壊寸前でした。
それでも対話し、お互いをわかり合おうとして、最終的には手を握り合って前に進みました。
いよいよ本番の日。やれることはやった!あとは信じよう。そう心に決めていました。
お客さんが会場入りし、妙に左右に揺れたりトイレが近くなったりと緊張感がピークに達していきます。(隣にいるぼくも笑)
1人目の発表が終わりついに彼の番です。音楽が流れ、いっておいで!と背中を押して登場していきます。
「僕は…!」
いい声でした。堂々としていました。
しかし、ここで大きなトラブルが発生します。
あれ?スライドが違う?
画面には、2週間前に作り替えた前のスライドが出ているのです。
明らかに動揺していました。なんどもスライドを入れ替えるも本番前に練習していたスライドとは違うものなので当然です。
実はこの日、登壇者がインフルエンザに感染したことで現場は大混乱でした。その結果、本番どおりのリハーサルができておらず、スライドの確認ができなかったのです。
でも、そこからの彼はすごかった。10秒程度でしょうか。彼は一瞬で何が起こったのかを察知し、話を進めていくのです。さらに声の調子がどんどんよくなっていくのが誰の目にも明らかでした。
「みなさんは間違ったことを素直に認めて謝れる大人になれていますか?」
この言葉でプレゼンが無事に終了となります。
笑顔で帰ってくる彼をハグで迎え入れます。
そして舞台裏に出て彼にこう伝えました。
「最後までついてきてくれてありがとう。よく頑張ったね。最高のプレゼンだったよ!」
そう伝えると満面の笑顔で「うん!」と答えました。「ちょっとトイレ行ってくるわ!」と僕に告げ、歩き出します。数歩歩いて、とつぜん空に飛んでいきそうなおっきなジャンプをしていました。
まるで幼稚園児のように、素直に自分のプレゼンに喜ぶ姿。
愛おしくてたまりませんでした。彼の成長を隣でずっと見続けてきたものとして最大の喜びです。誇りに思っています。
まとめ
今回のプレゼンにおいて、本人もスタッフも保護者も全員が悩み苦しみ、何がゴールなのか?を模索し続けた7ヶ月でもありました。旅行プロジェクトにおいてもそうです。
決して、結果が出れば全ていいとは思いません。そのプロセスに誤りがあったらしっかりと検証していく必要があると思っています。
でもひとつだけ確実に言えることは、彼や彼女たちが挑戦したことで、本人とその周りにいる大人が成長したということです。
冒険というのは常に危険と隣り合わせです。危険の反対は安心です。安心がなければ危険を冒すことなんてできません。だからこそ、ここのねでは「あなたはあなたでいい」というメッセージを伝えるために環境設定を行なっています。でもそれだけでは半分なんです。
物事には表と裏があります。白と黒があります。安心の中で失われるのは成長の機会です。
「可愛い子には旅をさせよ。」
自分にも子どもが生まれました。早いものでもう6ヶ月になります。自分の子どもだったら今回のチャレンジをさせただろうか?そう振り返ってみてもYESだとはっきり言えます。
「安心の湯船に浸かっている。」
そういえば彼のお母さんからこう言われたことがありました。その時はムッとしましたが、いま考えると「たしかにな〜」と思います。
そこから飛び出していくには勇気が入ります。その勇気を与えていくのが僕らの役目なのかもしれません。
いつでも、どこからでも、人は成長できる。
そう信じて、明日からも子ども達と向き合っていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
文責:こうちゃん
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