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オンライン研修時代。積極的に「教えない教育(反転学習)」をやってみよう!新人研修、内定者研修などに使える!

■研修は必要だけど、退屈だ。

こんにちは、オンライン研修プロデューサーの志村智彦(しむしむ)です。私は教育研修のコンサルタントとして約15年、社内教育や、研修講師育成を行ってきました。

私の専門領域は、スキル(やり方)よりも意識変革(あり方)に影響を与えるコミュニケーションやリーダーシップなどを得意として、大手企業から急成長ベンチャーまでコンサルティングをしてきました。

先日は、私が書いたオンラインzoom研修の記事は大変にバズりまして、70000PVになりました。ありがとうございます。研修設計のプロとして、新たな技術を使い、効果的な学習設計する方法について提案をさせて頂きました。

さて、毎年の4月には緊急事態宣言もあり、研修をオンラインにしたり、時期をずらして、これから研修を始めるという企業もあるかもしれません。

このオンライン教育時代に注目されているのが『反転学習』です。
聞いたことはありますか?

別名、「教えない教育」という方もいます。

今日は、教えない教育(反転学習)について具体的な事例を踏まえながら、お話していきたいと思います。

マナー研修は退屈だ。

新入社員が入るため、マナー研修のニーズがあります。企業としては、新入社員には、社会人としての基礎知識であるマナーや作法をきちんと教えたいものです。

大手企業であれば集合研修。中小企業であれば公開講座へ受講してもらうはずです。

一方、新入社員にとってマナー研修は毛嫌いされがちです。以前、銭湯に行くと二人の新人らしき若者が話をしていました。


A「うちの新入社員研修、最悪だよ。挨拶が小さいと怒鳴られるし。まぁ、俺は体育会系だから講師の言う通りやったけど、いま時、あれはないわ。
 
B「わかる、わかる。こなすよね。まぁ会社側もやらないといけないしね。

これは、かなり今の若者の本音を表しているように思えます。

2005年に新入社員だった頃、私もマナー研修はとにかく睡眠学習していた覚えがあります(笑)

すみません。

一方で、私には学生時代に自分でマナーを覚えた経験があります。

大学三年生の時にベンチャー企業で6ヶ月インターンシップをしていました。
忙しい社長と学生3名のベンチャーでしたのでマナーを教えてくれる人がいません。

同僚の学生F君に「営業のアポがとれたけど、マナーってどうするの?」と聞きました。

すると、「そんなのブックオフにいって、マナー本2冊読んで、真似したらいいさ」と言われたハッとしました。

私はすぐにブックオフにいって、100円のマナー本を2冊かって、営業前に読みました。ドキドキしながら、かじりつくように読みました。6ヶ月のインターンで、大体の基礎的な所作は自分で学びました。

そして、新入社員で入った企業で受講させていただいた「マナー研修」は、興味はあるものの睡魔には勝てませんでした。その後、営業部に配属され10歳上の上司と同行する機会がありましたが、そこで丁寧にマナーや所作を教わり直しました。

その時、一方的に教えられたことよりも、自分で調べたり、必要に駆られた時の方が学習は早いと思ったのです。

■教えない教育(反転学習)を取り入れてみる

さらに、私は社長秘書3年をやっていた経験もあります。その時自分で「秘書検定」を受験した経験がありました。やはり、自分で勉強した方が身につく。

そんな経験から、新人やインターン生が入った時に、私が講義するよりも、自分たちから調べてもらったほうがいいのではないかと思うようになりました。

そこで、検証することにしました。

私は、8名のインターン生に「本を経費でいいから、自分で選んだ2冊買って来て、自分たちで研修をしてみないか」と伝えました。

インターン生8名を、4組に分けて「言葉遣い」「名刺交換」などにわけて、
1組10〜15分間の講座をつくってもらうことにしました。

「マナーも知らない学生に講座をさせるなんて、大丈夫なのか?」と思いますよね。

でも、この方法を取ることに自信がありました。

自らがテーマを調べて、自分が講師になって教える学習方法は
「教えない教育(反転学習)」と言って、とても効果があるからです。


教育の世界では、ラーニングピラミッドという有名な図があります。
これは、学習の定着率が「講義5%」に対して「人に教える90%」なのです。
ですから、マナーにかかわらず、知識系を学ぶには、「教えない教育」を積極的に取り入れるは、ビジネスの実践に活かすためにとても有効であることがわかります。

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■新人研修で教えない教育をやるにはどうするの?

内定者や新人研修で数回やってみました。
かなり盛り上がるものになりました。

教えない教育を入れる上で大切なこと

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① 教えない教育を実施する上で、大切なことは事前準備です。

新人も準備が必要なので、3週間前くらいにお伝えしておくと良いかもしれません。

その上で、人事側は「なぜやるのか?」という目的をしっかりと説明する必要があります。
これはメールでも良いと思いますし、口頭で説明するのもよいでしょう。

私は、「社会人にとって、知らないことは自分で調べることが大切で、ビジネスマナーも自分で調べた知識は自分のものになる。でも、一方的に教えられた知識は、だいたい右から左に抜ける。だから、マナー研修の先生は皆さんにやってもらいたい。自分で調べて、仲間に調べた内容をきちんと伝えて欲しい」といいます。

すると、新人は驚きますが、その後、楽しそうだと感じてくれるようです。

② 本は2冊、書店で買ってもらう。なぜか?

・必要な情報を調べるプロセスから関わらせること。
・本屋だとどれがわかりやすいか、図やイラストを含めて選べる。
・著者によって視点が違うため、2冊あれば客観的な視点が得られる。

ネットで調べてもいいのですが、わざわざ調査して回るのも仕事では大切です。

③ 発表するテーマを振り分ける。
内定者や新人が複数人いる場合は、1テーマ15分にして、話してもらうようにするのがいいでしょう。
例えば、10名くらいの内定者であれば、5組に分けて発表するとか。
1名や少人数の場合は、週1回×数テーマに分けて、職場の中でトレーニングするのもいいと思います。
遠方の内定者や、参加できない内定者がいれば、youtubeに講座を撮影してもらうのも同様の効果があるかもしれません。

■教えない教育を実際にやってみて

当日は、人事や先輩が進行役になって場所を進めていくことが重要です。
プログラムの流れはこのようにしてみるといいでしょう。

「教えないマナー研修・タイムスケジュール」
・研修の目的
・研修の流れや順番
・アイスブレーク(最近、ハマっていること)
・テーマ1発表 & 同期からの感想やエール
・テーマ2
・テーマ3
---中略---@
・全員でやってみた感想
・アンケート、終了

です。

それとこの研修で最も大切なことは、空気作りです。
評価したり、批判されるような風土をつくってしまうと、逆効果です。
新人は会社のこと嫌いになってしまいますよ。

どんな発表だとしても、発表者の健闘をたたえて、拍手して、
よかった点を同期や先輩からフィードバックをしてあげるようにしましょう。

承認されることは、やる気や、帰属意識の醸成につながります。

このように教えないマナー研修を実施すると、
とても盛り上がり、発表する側も聞く側も大変、勉強になります。

・プレゼンの資料をつくる経緯で覚える。
・クイズ形式にすることで、楽しみが生まれる
・やった本人の満足感が高い。
・同期の仲間が発表をしているので、楽しながら学べる。
・1つ2つ上の先輩社員を参加してもらい、再勉強になる。

プロに高いお金を払って眠たいマナー研修を行うより、良いことばかりです。

人事側としては、本2冊分しかかからないという格安の研修費用です。
発表をした新人もとても勉強になり、楽しかったと答えています。

入社後に行うのもありですが、内定者期間にチームワークを兼ねて
このような「教えないマナー研修」を取り組んでみるのも効果的です。

聞いてくれる先輩・人事がいれば、内定者1名でも実施可能です。
今の時代は、オンラインでつないで発表してもらうのが良いと思います。

なお、若手には厳しさを教える必要があり、追い込ませたい方がいう方もいるかもしれません。厳格さや厳しさを教えることは大切です。ただ、強権的な言葉や、プレッシャーを与えることと、厳しさ別物です。ただ、おふざけになっている場合は、きちんとフィードバックしています。

自立している若手であれば、厳しくしなくとも、楽しみながら目標達成に向かうことは可能です。

■とはいえ、自分で学ぶから限界あるでしょ。

はい、限界はあります。

「自分たちで発表した範囲しか、覚えていない」と疑問に思う人もいるかもしれません。

ただ、民間資格の「マナー検定」などのたくさんありますから、教育の仕組みに取り組むと良いと思います。私は以前、3年目以内の社員に全員受講してもらいました。

それと、やはり一番は現場の先輩によるOJT(職場でのトレーニング)が必要だと思います。現場でのフィードバックが一番の成長を生み出します。
部下を育成するメンター研修や教え方のトレーニング、文化づくり、評価に絡ませるなどしておくと良いと思います。

いずれにせよ、どんなやり方でも限界はあります。ただ、僕のように1日睡眠学習するよりも、自分でまとめて発表するこのやり方の方が、職場での実践率は高まると思いますよ。

■最後に

このように、教えない教育、マナー編をお伝えさせていただきました。

今の若い世代には、デジタルネイティブ世代です。
「ググれよ!」という言葉がもはや一般的です。
人に聞く前に「検索エンジンのGoogleで調べろ」という意味です。

情報を瞬時に集めてくる能力に長けたネイティブ世代に、
昭和的で、一方的で、説教的で、強制的な指導方法は魅力的でありません。

人は興味や関心を持ったことには、記憶力が増加して定着するものです。

仕事って、新人を過ぎたら、教えてもらうものではありません。自分から、企画して、調べて、プランを考えて、作っていくものです。そういうメッセージも新人の時から発していく必要があります。

仕事においても、興味づけを行い、楽しみながら、主体的に情報を得て、整理し、アウトプットすることが求められます。

こうした意識のスタンスは、当たり前であるマナーを教える段階から伝えることが求められます。

ぜひ、お金がかからない魔法の研修ですので、実践してみてください。集合できないオンライン時代の時代の自習学習方式としてはとても良いと思います。

何か不明な点がありましたら、ご相談ください。

新人以外でも教えない教育を活用した各種企業研修を行っていますよ。


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