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季節の中で すれ違う

「ありがとう」

 

話は、6月に遡る

 

男の子の数学のテキストがなくなった

その男の子は、隣に座っていた彼に確認

「僕のテキスト、間違って持ってない?」

 

彼は、カバンの中を見た後、言った

「持ってない。家で確認してみる」

 

 

「家にあった?」

「なかったよ」

そんなやりとりが、2週程続いた

 

休み時間、2人は楽しくお喋りをしていたが、

男の子のテキストは、見つからなかった

 

 

8月下旬

彼が、私にバツの悪そうな顔でやって来た

「〇〇のテキスト、家にあった…」

あと1回の授業で、そのテキストは使い終わる

 

私は、彼に言った

「〇〇は今日休みだから、

会った時に本人にちゃんと謝りな

 

でも、キミは、すっごくエライ!

黙ってれば、わからないことだったのに

その気持ち、行動は、持ち続けて」

 

「いや、ホントに僕が悪いんで」

彼は、当たり前のことのように言った

 

 

9月初旬

彼が、〇〇に会う日が来た

彼は、やはりバツの悪そうな顔で

「ゴメン、僕が持ってた」と謝った

 

男の子は、笑顔で彼に言った

「よかったー。ありがとう!」

 

私は、彼がいない場で、男の子に言った

「キミは、すっごくエライ!

ありがとうって、ああいう時に言えるなんて

その気持ち、行動は、持ち続けて」

 

「いや、ホントにうれしかったんで」

男の子は、当たり前のことのように言った

 

 

ぼくたちは

風を受け走り出す

 

 


大切なのは、心なんだ


そんなことを私も学んだ

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