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【ネタバレほぼなし】「すずめの戸締まり」を観て感じたアレコレ
映画「すずめの戸締まり」を観てきました。
めっっちゃ良かったよ~✨
ちなみに今回は映画を見る前に、小説を先に読みました。
結論、「映画→小説」の順番が良かったかも。
この作品、個人的にはめっちゃ沢山感じることがあって、超良い💖って思ってます。だけど、具体的に何が良いと感じたのか、うまく言語化できないモヤモヤもあって。。。
なので、つらつらと書きながら、順番に感じたことを書き起こしていこうと思います。(長いです)
1、なぜ「すずめの戸締まり」に興味を持ったのか
1-① 作品のテーマは「閉じる物語」
映画「すずめの戸締まり」公式HPにも掲載されている制作発表会見をみて、絶対にこの映画は見ようと決めました!
[5:16~6:33]で新海誠監督が仰っている作品のテーマについてです。
これは扉を閉じていく物語です。
何かを始めることより、終わらせることの方が難しい。仕事、恋愛、家族関係など…特に少子高齢化が進む日本においては様々な場面でそう感じる出来事が多くなった。
だからこそ、いま作るべきは、いまお客さんが観たいのは、色んな可能性をどんどん開いていくような物語ではなくて、1つ1つの散らかってしまった可能性を、もう一度きちんと見つめて、あるべき手段できちんと閉じていく。そのことによって、次に進むべき新しい場所を見つける。そういう物語なのではないか、という風に考えました。
『「開く物語」ではなく「閉じる物語」』
この着眼点、素晴らしくないですか!?
・新しいコミュニティを作るのは簡単。そのコミュニティを閉じるのは難しい。
・アイデアを広げるのは簡単。最後に絞り込むのが難しい。
・新しいビジネス領域に新規参入するのは簡単。既存顧客がいるのに事業の撤退戦は難しい。
などなど・・・思い当たることは沢山ありました。
1-② 自分自身の過去を、きちんと閉じられているか
もう一つ、印象的だった言葉があります。
「天気の子」でヒロイン役の声を演じた森七菜さんの言葉です。
[10:26~10:56]
悩み事が増えていってるという感覚がちょっとずつあって、扉に閉じ込めておくこともできる。それが多分一番ラクで、何も考えないで済む。だけど、どんなに強い風が吹いても、心と心でぶつかり合っていけば、自分の納得いくカタチか分からないけど、何か結末が待ってる。
めちゃくちゃ、その通りだと思いました。
過去の出来事は過ぎ去ったことだと割り切って、新しく清々しい気分で前を向けているか。今の自分の立っている場所、目指している未来に自信を持てているか。
そんなことを考えた時に、実は割り切っていた"つもり"だった過去も、実は扉に閉じ込めて蓋をして、ちゃんと向き合わないまま、負の感情を残したまま、一番ラクな方法で"割り切ったフリ"をしていたのではないかと考えさせられました。
そして、きちんと心と心でぶつかったり、自分自身の感情を向き合って、納得感を得られた上で、前を向いている人こそが、イキイキと自分の人生を、いまこの瞬間を生きている人なのかもしれないと感じました。
「新海誠監督は、このテーマをどんな作品に仕上げるのだろう?」というのが、私が「すずめの戸締まり」に興味を持ったキッカケです。
2、小説を読んで感じたこと
映画の原作となる小説。
脚本やストーリーの全体構成を知るイメージでしょうか。
私は自分が体験して良かったことを「つまり、こういうこと!」と要約して魅力を伝えるのが好きなので、何度でも読み返せる小説を読んでみました。
事前知識なしで映画を観るときと比べて、驚きは半減しますが、その分、情報量が多すぎて「結局、あれってどういうことだったの?」というモヤモヤが少なかったです。(でも、映画を観たあとに、小説の方が良かったかもしれない)
小説を読んで、個人的に刺さった点をいくつか紹介します。
2-① 大事な仕事は人からは見えない
注目もされない。お金ももらえない。でも大事な仕事がある。
作中では「閉じ師」という仕事がこのことを指します。
でも、私達の日常でも似たようなことは沢山あると思いました。
・身内の介護、名もなき家事
・ご近所、職場、友達など、円滑な人間関係を維持するための努力
・メディアには取沙汰されないけど必要不可欠な仕事 …など。
誰にも知られぬまま、誰にも見えないものと戦っている。
それは、その人自身の戦いであって、決して他人と比較するようなものではないなと。だからこそ、他人を思い遣る気持ちと想像力は不可欠だとも思っています。
2-② 「土地を鎮める」という考え方
地図の変化は、日本人の宇宙観(コスモロジー)の変化だ。人の認識が変われば、土地の形も変わり、龍脈や災害の形も変わっていく。ゆっくりと変化し続ける人と土地の相互作用の中で、その時代ごとに本当に必要な場所に、要石(かなめいし)は祀られる。人の眼に届かない、人々に忘れられた場所で、何十年、何百年にもわたり、その土地を癒やし続けるんだ。
私は古くからの伝承とかって、それなりに意味があって行われてきたことだと思っています。時代とともに形は変わるけど、目に見えないこと先人たちの知恵は大切にすべきだと考えています。
人は自然には敵わない。大地震や津波が起きたら為す術もない。災害や疫病は常に人々を悩ませてきた。お地蔵様とか地神祭とか、その土地ならではの大地の神様を祀る(鎮める)風習というのは、そういった人々の願いや祈りを形にしたものだなと。
作中で地震を起こす存在は「ミミズ」と呼ばれています。漢字では「土」の「龍」と書いたりもします。その土地の後ろ戸が空いたことで、常世(あの世、浄土)からのエネルギーが吹き出し、ミミズの形を成して地震を起こすという設定が、流石だなぁ~✨と感じました。
2-③ その土地で過ごした人々のことを想う
鈴芽(すずめ)が戸締まりする時には、その土地で過ごした人々のことを想うと鍵穴が現れます。これも素晴らしい演出だなぁと。
例えば、道を歩いていて、お地蔵様や土地神さまを祀る石を見つけても、何も考えずに素通りしてしまいます。でも、ずっとそこの土地で暮らしてきたおじいちゃん・おばあちゃんは、お供え物をしたりしてるんですよね。「ここの土地を守ってくださり、ありがとうございます。」という気持ちと共に。
でも、じゃあ自分がおじいちゃん・おばあちゃんのように出来るかと言われれば中々できない。どうしても「古臭い考え」のように映ってしまう。一方で「思い出の母校が廃校舎となり寂しい。また人が集まるような場所になるよう公民館や美術館にしよう。」みたいな考えは古臭く移りません。でも、その2つの本質は一緒で、その場所、その土地に対する感謝なのだと思います。
それを今の時代なりの描写で、廃校舎や閉園した遊園地など、そこで過ごした人々のことを想うという演出を取り入れたのは、本当に素敵だなぁと感じました✨
3、映画を観て感じたこと
圧倒的な映像美で描かれる自然の風景、物語を演出する素晴らしい音楽の数々など、映画ならではの良さも沢山ありました。
事前に小説で内容を知っているにも関わらず、ラストシーンはやっぱり泣きましたね。
3-① どの世代が観ても飽きない映画
新海誠監督は前作「天気の子」にて、就学前の子どもが見に来たけれど、映画に退屈してしまい、「アメ」という猫のキャラが出てくるときだけ画面を見る、という状況を目にしたそうです。それで「次こそはどんな年代の人でも画面から目を離さないような映画を作るぞ」と決心したとのこと。
その想いは映画を観ていて非常に感じました。
小説と比べ、セリフや描写をカットしている点は多くありましたし、そのおかげで全体的にテンポの良い進行となっていました。
日常シーンと怒涛シーンが交互に訪れる緩急もあり、観ている人を飽きさせない、あっという間の2時間だったと感じました。
3-② キャラクター性
この作品、どのキャラクターも立ってますよね~。
2面性があったり人間味があって、愛着が湧く。
本作の軸の1つに「鈴芽(すずめ)の成長を描く」というのがありますが、新しいステージに立つ時に、服装が変わり、決意と覚悟が見られる感じがとても好きです😊
3-③ 戸締まりの圧倒的な迫力
それぞれ戸締まりするシーン、めちゃくちゃ手に汗を握りました。
(小説で内容は分かってるのに)
ヒヤヒヤ、ドキドキ、ハラハラしながら、最終的に戸締まりができた瞬間に全身の緊張が解けるのが、自分でもよく分かりました(笑)
4、結論
「すずめの戸締まり」は映画も小説も超良かったです✨
個人的には、最初は映画を見に行くことをオススメします。
同じ映画を見ても、どのように感じるかは、その人次第。
受け取り方・捉え方は個人の自由です。
でも、いくつかの意図や背景を知っておくことで、より味わい深い作品になることは間違いないと思います。
「映画観に行った!良かった!」で止まるよりは、何が良かったのか、この作品を見たことによって、見る前の自分と何が変わったのか(心境の変化など)を言語化してみると、映画を見た価値が何倍にも膨らむと思います。
もし良ければ、映画を観に行って、感じたことを言語化してみてください。
ではでは。
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