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正義の旗印を掲げる「善魔」

悪魔ってヤツは、人間の「善」を利用する……そこに気づけないとヤバいのかも、なんて思いつつ、

(しかし、気づいていても自分は大丈夫と思っちゃって、結果大丈夫じゃないのが人間ってヤツだよねぇ)

最近ちょっといろいろと思うところあって、読み返している本。
『悪のしくみ(中学生までに読んでおきたい哲学2)』

この本に収録されている中からひとつを紹介。

自分自身のエゴイズムに気がつかず他者への思いやりや優しさを忘れたまま自分の正義を振り回す人を「善魔」と呼んだ作家の遠藤周作さんのエッセイ。

「善魔(ぜんま)」

自分以外の世界を認めないこと、自分の主義に合わない者を軽蔑し裁くというのが現代の善魔なのだと言う。

狡猾な悪魔の仕掛けた罠。
それは、【悪に対する善の概念を混乱させること】

自分の考えだけが正しく、善きものをもたらすと信じて疑わず、その正義の旗印のもとに行う他者を傷つける行為。あまりにも善意で正義であるがゆえに、自分の心の中にひそむエゴイズムや優越感に気づかない。その独善主義のために他人が傷つけられ、不幸になっていることにも無神経になる。

このような一人よがりの正義感、独善主義にかられて動く人を「善魔」と呼ぶ。

彼らはいつも正義の旗印をかかげる。

そしてそれに少しでも従わぬ者や、自分に同意しない者を悪の協力者とみなして裁く。

【自分以外の世界をみとめぬこと、自分の主義にあわぬ者を軽蔑し、裁くというのが現代の善魔たちなのだ。彼らはそのために、自分たちの目ざす「善」から少しずつはずれていく。自分自身でも意識しないうちに、彼らは他人から支持される善き人ではなく、他人を傷つけ、時には不幸にさえする善魔になっていくのである。】

「悪のしくみ」内<善魔>遠藤周作著より

正義、正しさに囚われすぎていると、その「正義感」をその「善なる心」を悪魔に弄ばれる。悪魔は「なにが本当に善なのか」「なにが本当に正しいのか」わからないようにさせる。

正しいことが気づけば悪となり、善きことがやがて悪を生む。

狡猾な悪魔の罠に落ちないように気をつけなければいけない。


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