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エッセイ【そうだった。私も、アドラーに救われていた】

朝から晩までイライラしている私。これ、ほんとに私なの?

気が長く、怒ったり、まして怒鳴ったことなんてない。「堪忍袋の緒が長すぎるんじゃないか、たまにはちゃんと怒った方がいいよ」なんて時々友達に言われていたくらい。だから、自分はあまりイライラしない穏やかな人間だと思って生きてきた。それが子どもを産んで、まったく違うということに
気づかされショックを受けた。

可愛くて愛おしくてたまらないのに、イライライライライライラの元になる息子。いつもどこでも唐突にいろんな事件が起こる。穏やかに平和に誰とでももめずに仲良くうまくやっていきたい母の気持ちなんてお構いなしに、毎日のようにどこかで誰かともめて、泣いて泣かされ怒って暴れて……あまりに激しすぎる我が子にどうしたらいいのか、いつか虐待してしまうのではないかと。不安と、平穏な自分の人生を侵される腹立ちと。その合間にやってくる我が子への愛おしさと。大混乱な日々。
保健所、地域の子育て教室、有名な小児科の先生の講演会はじめ、あらゆる子育て関係のセミナー、お話会に行きまくり、相談しまくり、子育て関係の書籍を読み漁り……

たどり着いた結論。誰も私の子育てを全然楽にはしてくれない。

どの理論も誰の話も勉強にはなったけど、どれも私の子育てには、我が子には通用しない。結局、私が、私の目で、手で、肌で、我が子を感じて覚悟を持って育てるしかない。

でも、『アドラーに救われた女性たち』という本のタイトルを見たとき、
忘れていたことを思い出した。そうだった。私も、アドラーに救われていたんだった、と。
今から20年近く前に購入して、今でも手元にある2冊の本。
『アドラー博士の子どもが素直に伸びる20のしつけ法』
『アドラー博士の子どものピンチを見抜く方法』
ここに書かれていたアドラー心理学的子育ては、確実に私の子育てに大きな影響を与えた。子どもを信頼して見守る勇気を教えてくれた。
何度も読み返し、できることを実践しを繰り返し繰り返し。そのうち本を読み返さなくても、子どもにどう接すればいいのか、信頼して見守るとはどういうことかが理解できていった気がする。
あんなに毎日イライラ怒って怒鳴ってばかりだった怒りんぼ母さんが、
末っ子の次男を育てるころには、どこにもいなくなっていた。

お兄ちゃん、ごめん。あんなに怒鳴って怒ってばかりの母さんだったこと
謝るよ。たぶんきみの弟は、怒鳴ってる母さんを見たことないと思うんだ。

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