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エッセイ【専業主夫の手作りアップルパイ】

「オーロラちゃんパパお手製アップルパイ、美味しかったよ!ごちそうさま」
仕事の休み時間に開いた携帯に、ママ友からメールが入っていた。アップルパイ、ほんとに作って配ったんだ!!
自転車に2歳の次男と幼稚園生の長女を乗せ、公園でのママ会に夫は手作りのパイ持参で参加したらしい。

子どもたちが幼いころ事情があって、我が家は一時期母である私が正社員で働き、父である夫が専業主夫をしていた。
家事育児そして幼稚園ママたちと絶妙な距離感でお付き合いをこなしてくれる彼には、驚かされることばかりだった。なんせ私は、ママ友の集団が苦手だったから。
当時、毎朝夫が作ってくれる「愛夫弁当」を持って仕事に通っていて、職場でよく「どこでそんな旦那さん見つけたんですか?」とからかい半分で聞かれていた。

それから少しして、夫は念願の飲食店をオープンさせた。
家でも店でも料理を作る父を見て育った子どもたちは、男も女も関係なく料理ができる子になった。我が家には、父だから母だから、男だから女だから、というようなものがほとんどない。
子どもたちが大きくなった今では、親ができないことは子に頼り、子どもの方が知ってると思えば子どもに教わる。親だから、子どもだから、ということもなくなってきた。

私自身は、亭主関白な父と男女は平等であるべきと強く主張する母、そして子どもは親の言うことを聞くべし!という両親のもとで育った。
こういう考え方は、私はあまり好きではない。
もっと平和に協力しあえたら、家族みな優しい気持ちで暮らせる気がするのにな、と。

自分は料理が苦手だから、できれば料理が得意な人、せめて「女だから料理くらい作れるだろ」なんて言わない人と結婚したい。子どもの頃からそう思ってた。そんな夢叶うわけないと、いろんな人に笑われたけど、思えば叶う。
できる人ができることをやる。得意な人が得意なことを担当する。これが我が家のルール。
こうあるべきを押し付けず、戦わなければ、家庭も社会も優しくなる。そんな気がする。

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