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98万1200円で購入したDWEを2年間使ってみた話

2年前に公開して約50,000人にご笑覧頂いた「ディズニー英語システムを98万1200円で契約した話」を公開してから2年が経過しようとしています。そして今回は「98万1200円で購入したDWEを1年間使ってみた話」の第2弾の経過報告の記事を公開します。子供・幼児向け高級英語教材の「ディズニー英語システム」(DWE)を2年間使用してみて、自分の子ども(2歳6ヶ月)にどのような影響があったのか?英語がペラペラになったのか?を実体験やエビデンスと共に5つの結論をお伝えしていきます。DWE購入を検討されている方は必見です!

結論①アンパンマン最強説

1つ目はアンパンマンが最強であるということです。ディズニー好きの妻が大量のディズニーグッズを買い与え、ディズニー全般のキャラクター洋服を着せて、保育園にはミニーの靴を履かせて行かせてますが、起きてから寝るまでアンパンマンを要求してきます。先月行った人生3度目のディズニーランドの帰りの電車で「ディズニーとアンパンマンどっちが好き?」という究極の問いに対して彼女は「アンパンマン!」と即答しました。この写真でもお分かりのように、彼女は契約特典でもらったミッキー・メイトにわざわざスマホを乗せてアンパンマンを視聴するという侮辱的行為を日々行っています。視覚選好に関する心理学の実験で新生児はシンプルな丸い顔を選ぶ傾向があり、さらに正義感のストーリーを好むということが証明されているため、アンパンマン世界展開のポテンシャルをひしひしと感じています。

結論②1日30分の英語では足りない

DWEでは1日30分の掛け流しが推奨されているが、やはりたった30分で英語がペラペラになるはずがありません。2021年9月、諸般の事情によりサービスが終了したスピードラーニングも「1回5分から、聞き流しで英会話が学べます」と謳っていました。DWEの映像の浴びせっぱなしがインプットに繋がるのか?トークアロングはインプット教材として機能するのか?人間の介入は必要か?それらの件については日経×womanに取材して頂きましたので是非ご覧ください。

DWEが謳うように2,000時間のインプットが必要であるというロジックが正しいかどうかは実証されていませんが、大量のインプットがどのようなものであるか具体例をお見せします。先日ディズニーランドで風船を買った時に娘は手で持って歩くと要求しました。ところが空気中の窒素や酸素より軽いヘリウムを使っているため、手を離すと空に飛んでいってしまうのです。そのため上海妻はベビーカーに結びつけて一緒に歩こうと説得します。

動画で分かるように、妻の中国語を怒涛の勢いで娘は浴びています。この時に娘は一語一句理解しているわけではなく、意味のあるやりとりを通して理解可能なインプット(comprehensible input)意味の交渉(negotiate for meaning)を通じて、段階的に言語を習得しています。このような必要に迫られた状況でのインプットと、単にかけ流すだけインプットでは雲泥の差があるわけです。つまりDWEの特徴である「母国語方式」は親の介入による大量のインプットが前提であり、「第二言語習得」のインプットとは全く異なり、母国語同等レベルの英語力を目指す場合は1日30分以上のインプットが必要になることは当然のことです。

結論③意味のあるインタラクションが大事

インタラクションとは「相互作用」と訳されますが、語源はinter(2つの間)+act(作用する)+tion(名詞化接尾辞)で、2つのモノや人が互いに影響し合うことを言います。DWEの謳い文句に「ご両親の英語力は必要ありません」ということと「パパやママも英語ができるようになった」という声がたくさん寄せられているということがあります。

本当に英語ができる人間の介入なしに、英語教材のみでペラペラになるのか?まず第一に幼児は言語能力だけでなく社会語用論的能力を身につけていきます。言葉の使い方や機能、会話形式や文化的価値さえも大人や友達とのインタラクションを通じて習得していきます。生後数ヶ月の幼児は言葉の発達以前に「社会相互作用能力(social interactive capacity)」を備えているとしています。『98万1200円で購入したDWEを1年間使ってみた話』でも「音声」や「映像」のみでは学習が起きず、人間の介入が不可欠であるというエビデンスをお伝えしましたね。毎日視聴するDWEよりも週1回のリトミック教室でインタラクションを通して身につけた歌やダンスが自宅では優先的に再生されるのも納得がいきます。

DWEのストリートプレイやトークアロング・カードは購入数ヶ月に飽きてられてしまい、ライバルのアンパンマンにはもちろん、Super JoJoのアニメーションとBlippiのテンションにも完敗です。但しプレイアロングには映像に登場する玩具と一緒にインプットできるという意味では、玩具とのインタラクションの要素が含まれています。もちろん映像と玩具を子どもの目の前に準備するのは人間の役目です。

DWE教材で唯一制限をかけないとやめられない魔法のペン「ミッキー・マジックペン」です。これに関しては人間の介入がなくても自発的に取り組みます。英単語の学習だけでなくDWEソングに連動した歌が流れる機能は素晴らしく、エンドレスに遊んでいます。やはり自分でペンを持って自分で操作する主体的な学びが良いみたいです。そして保護者の皆様に朗報です。ミッキー・マジックペンと同等にハマるアンパンマンのバイリンガルことばずかんが超オススメで安いです。祖父母からクリスマスにプレゼントとしてもらってから狂ったように取り組んでいて、新しい言葉をバイリンガル方式でたくさん覚えています。もちろんパパは横で一緒に座り声がけをしています。

まとめると教材や玩具のみで人間の介入なしでは継続的に学ぶことは難しいということです。玩具のみ与えてどれだけ言語習得が起きるのかは継続して検証していきます。ちなみにTEDxにて意味のあるインタラクション(meaningful interaction)がいかに重要であるかを熱弁しましたのでこちらもご覧ください。

結論④母語アウトプットは60%

次に家庭内での言語アウトプット比率について報告します。娘がどのような言葉を発するのかを分析してみると、現在の言語アウトプット比率は中国語60%、日本語30%、英語10%程度となっています。

我が家の家庭内言語インプットの構図は以下の通りです。ご覧の通り私との私の両親とのコミュニケーションは日本語、上海妻とは中国語ですが、母親とその両親の会話は上海語という言語インプットがあります。(中国語と上海語は全く違う言語です)つまり私に対する悪口は上海語となっています。それに加えて1日1時間程度は英語でインプットする時間があり、DWEはもちろん、あらゆる英語教材や玩具を用いて意味のあるインプットを繰り返し、週末のみ習い事で英語を浴びる環境を作っています。ちなみに基本的に家庭内で私が英語を教えるということはしていません。家庭の外では完全に日本語で、週に5回保育園で日本語漬けの生活をしています。

アウトプットに関してはHolophrastic Stage(一語期)とThe Two-Word Stage(二語期)を経て、現在はTelegraphic Speech(電報的発話期)に突入しているため、言語構造は中国語・英語の文型SVOで表現することが多くあります。また1つの文構造に2つの言語を混ぜ合わせて「公园(公園)行った」のようなcode-mixing(コードミックシング)と呼ばれる現象も起きます。さらに中国語と日本語を聞き変えて話すcode-switching(コードスイッチング)と呼ばれる言語切り替えの現象も記録しています。そして日本語の助詞がない文章や「歩くしたい」「抱っこしたい」などの典型的なエラーを目撃して言語学専攻としても日々大興奮しています。このように言語習得の過程をエスノグラフィのように子どもの言語アウトプットを記録しています。以下の動画でのやりとりはこんな感じです。

娘:おかわり!
パパ:おかわり?
娘:うん
ママ:どうぞ
娘:谢谢、Mommy.
ママ:好吃吗?
娘:うん

結論として主にアウトプットの文構造は中国語の影響が強く、日本語と英語のアウトプットは単語やフレーズに限られます。やはり愛情たっぷりの母親の言葉(motherese)が最強ということなのでしょう。mothereseは声の調子が高く、音韻上の修正があり、繰り返し・命令文や質問文が多く、文法構造の単純化されるなどの特徴があります。幼少期の言語習得ではここが要となります!

結論⑤親が学び続けなければいけない

結局は世の中に溢れかえったおうち英語関連情報から、適切な情報を親が見抜いて適切な教材を適切なタイミングで子どもに提供することが大切なわけです。DWEユーザーの多くに自分が英語ができないから子どもに英語を習わせたいという方が多く、そういう親に限ってDWEは最高!という批判的思考力ゼロのマインドになってしまい、そういう親に限って、なぜ英語を学ばせたいの?という究極の問いに答えがありません。保護者が本質的な価値を理解し、取捨選択できる能力があれば高額商品を買わなくても自分の子どもに合った環境や教育を提供することができます。商業的な成功と本質的な科学は異なります。まず親として学ぶべき領域は氏か育ちかの議論(Nature v.s. Nurture Argument)です。

そして時代の流れに合わせて子どもの未来を指南するために時代がどう変化しているのか理解することが重要です。社会の急激な変化に追いつけず、昭和の考えを子どもに強要する硬直マインドセット(Fixed mindset)を持った親が多くいます。親は時代に合わせて常に意識のアップデートをしていかなければなりません。令和時代に昭和の常識を押し付けてしまう親子のやりとりを多数目撃してきました。どのような英語を学ばせたいか?という問いに対しても、「うちの子にはアメリカ英語を学ばせたい!」というご意見がありますが、まずは親が世界共通語としてのリンガフランカの時代であることを学ぶ必要があります。

ここでは語りきれませんが、親の世代に学んだことがアップデートされず化石化した情報を信じ込んでいる保護者がたくさんいます。親としてできることはDWEを購入する財力をつけることに加えて、学び続けることが重要であると確信しています。バイリンガル教育パパとしての今後のミッションは親が子どものために情報を提供すること、学び続ける環境を整備することだと思い、この記事をきっかけにTwitterバイリンガル英語教育パパ』を開設しました。

次回予告

『98万1200円で購入したDWEを2年間使ってみた話』の続編として『98万1200円で購入したDWEを3年間使ってみた話』の執筆に向けて2023年1月を目処に日々の記録を進めていきますのでフォロー&拡散宜しくお願い致します!

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