見出し画像

【完全解説】IELTSライティング完全対策

拙著11冊目、IELTS書籍としては6冊目となる『IELTSライティング完全対策 第2版(DHC)』が2022年11月21日に発売となります。増強改訂版ということで初版の基本をキープしながら大幅にアップデートしました。ジュンク堂池袋本店で先行発売を開始した翌日に在庫が半分になり出版社の皆様が補充に行ってくれました。

ジュンク堂池袋本店

今回の増強改訂版はライティング頻出テーマ別和文英訳200文を追加してシリーズ本の「IELTSスピーキング完全対策(DHC)」と同じ構成にしました。また解説の分量を倍増させ、各テーマ別コロケーションを再度厳選し直しました。モデルエッセーの英文は7.0に基準を合わせて書き直しました。

そして大学の授業内でしか教えてこなかったIELTSで高得点を取るためのアカデミックライティングの鉄則を10つまとめました。Twitterでは「IELTSライティングを5.5から7.5に約1年で爆上げさせた方法を伝授します。」と煽りながらチラ見せしましたが、ここで全て公開します。

汎用性のあるアカデミックライティングの「型」

アカデミックライティングの「型」、そして構文やコロケーションなど定型表現と呼ばれる英語表現の「型」を身につけることが IELTSライティング攻略のカギです。ここでは5つの重要な要素を簡単に紹介し、本書の中で具体的に扱っていきます。

  1. Objectivity(客観性)
    アカデミックライティングや学術論文において最も重要なことは、主観的な(Subjective)感想や根拠なしの主張ではなく、客観的な (Objective)事実や法則を描写し、論理的な(Logical)文章を書くことです。IELTS ライティング Task1 では図やデータを描写するタスク が出題されますが、主観的な意見や書かれていない情報を書くことは厳禁です。Task2 は誰もが頷ける一般文(General Statement)から始め、読者が納得できる結論文(Concluding Sentence)を導き出すことが重要です。

  2. Organisation(構成)
    アカデミックライティングの基本構成は Introduction(導入)、Body (本論)、Conclusion(結論)です。論理的な展開をするために段落 (Paragraph)ごとにルールがあります。IELTSの評価基準には「Coherence and Cohesion(内容の一貫性)」があり、話の展開の方向性を示唆する接続詞・副詞・前置詞などのディスコースマーカー(Discourse Markers)と呼ばれる接続表現を用いて一貫性(Coherence)があり、構成された(Structured)英文をTask1では150~170 語、Task2では 270 ~ 290 語で表現する必要があります。

  3. Argument(主張)
    アカデミックライティングでは客観的な主張(Argument)が求められます。支持文(Supporting Sentences)では自分の主張に対する根拠となる4つのE と呼ばれるExample(具体例)、Explanation(説明)、 Experience(経験)、Evidence(証拠)を意識して主張を補強していきましょう。そして主張を和らげるヘッジング(Hedging)や法助動詞(Modal Verbs)、また譲歩(Concession)を用いて断定的な表現は避けましょう。IELTS ライティング Task2 の導入(Introduction)と結論(Conclusion)で展開される主張がスコアを左右します。

  4. Simplicity(シンプルであること)
    アカデミックライティングの神髄はシンプルであることです。美しさが求められる世界では Less is moreやKeep it simpleという言葉が存在します。また William Shakespeareの代表作 Hamletでも “Brevity is the soul of wit.”という表現が使われています。シンプル(Simplicity)・簡潔(Conciseness)・正確(Precision)、この3つの要素が評価基準であるGrammatical Range and Accuracy「文法知識と正確さ」につながります。冗語(Wordiness)や繰り返し(Repetition) を避け、シンプルであることを目指しましょう。

  5. Register(言語使用領域)
    アカデミックライティングでは口語表現(Colloquial Expression) やスラング(Slang)、決まり文句(Cliché)や諺(Proverb)、婉曲表現(Euphemism)の使用は厳禁です。また学術的な世界では誇張(Overstatement)や感情的な言葉(Emotive Language)も好まれません。フォーマル度(Formality)を高め、性差別表現を避け、特定の グループに不快感を与えないポリティカル・コレクトネス(Political Correctness)を意識しながら、適切な言葉選び(Diction)を心がけ ましょう。

豊富な表現に言い換えるパラフレーズ

パラフレーズ(Paraphrasing)とは原文の主張を保ちながら他の言 葉で言い換えることです。IELTSライティングで高得点を狙うにはパラフレーズのスキルが不可欠です。ここではパラフレーズを実践する 上で重要な5つの要素を簡単に紹介し、本書の中で具体的に扱っていきます。

  1. Lexis(語彙)
    IELTSライティングでは基本英単語(Basic Vocabulary)を正確な語法で用いて適材適所に用いることと、テーマ別の低頻出語彙(Low Frequency Vocabulary)の正確な使用が高得点につながります。句動詞(Phrasal Verb)などを含む会話で用いられる口語表現ではなく、アカデミックワードリスト(AWL : Academic Word List)などに掲載される学術的な語彙使用を心がけ、多種多様な表現にパラフレーズ(Paraphrasing)しましょう。

  2. Etymology(語源)
    全ての英単語や英語表現にはストーリーがあります。歴史を紐解き、語源解釈を通して英単語を学習すると、1066年のノルマン・コンクエスト(The Norman Conquest)から庶民が英語を話し、貴族がフランス語を用いる社会的二重言語(Social Bilingualism)の時代が見えてきます。そして意味を持つ最小の言語単位である形態素(Morpheme)や接頭辞(Prefix)や接尾辞(Suffix)を巧みに活用して、高度な表現に言い換えていきましょう。

  3. Synonyms(同意語)
    パラフレーズ(Paraphrasing)の基本は同意語に言い換えることで す。Task1 で頻出のshowは、よりフォーマルな representに言い換えることができ、Task2では goodをより洗練された benefitに言い換えることができます。高度な表現に言い換えることにより、繰り返し(Repetition)を避けることができます。高度な表現を使用するときに注意すべき点は同語反復(Tautology)ですが、類語辞典(Thesaurus)を活用して表現の幅を広げましょう。

  4. Nominalisation(名詞化)
    文法構造を変えることでパラフレーズ(Paraphrasing)する方法の1つに名詞化があります。動詞や形容詞を名詞にすることで受動態(Passive Voice)や無生物主語(Inanimate Subject)の文章に言い換えることができます。Because the scholarship was available, I was able to go abroad.という文章はThe availability of the scholarship made it possible to go abroad.に言い換えることにより、客観性(Objectivity)が増します。

  5. Translation(翻訳)
    本書を手に取っていただいた方の多くは第一言語(L1)が優勢であり、それは語学を学ぶ上で貴重な財産になります。英語のみ(English Only)で思考するのではなく、パラフレーズ(Paraphrasing)する際 は表現したい内容を日本語に翻訳してから、別の表現を考えていると 表現の幅が広がります。定型表現である英語のコロケーション(Collocation)を豊富にインプットしておくと、自然な表現が自然な文脈で出てくるようになります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?