山下智久ってなんでこんなにも尊敬されるの?
先日,Yahooニュースを眺めていたら「男も惚れるジャニーズランキング」という見出しを見つけた.
「男性(ファン)」「ジャニーズ」というテーマでこのnoteを書いてたり,大学院でそれについて研究する予定のボクが見逃すわけもなく,速攻チェックしてみた.とはいえ,ある程度その結果の予測はついていたのだが.
細かい順位は調査元の「ランキングー」をご覧になってもらうこととして,ここでは1位の人物について少し考えてみようと思う.「男も惚れるジャニーズランキング」の映えある第1位を飾ったのは,ソロアーティストとして活躍する"ヤマピー"こと山下智久だ.
後輩からも崇められる山下智久
今回の調査では10-40代の男性およそ3,000人を対象に回答が集められたようだが,一般男性ならずとも,事務所の後輩からも熱い支持を集める.
先日ボクのnoteで「地下からKingへ.シンデレラとしての平野紫耀と永瀬廉.」という記事を挙げたのだが,今や若手男性アイドル界のトップに君臨する彼らも尊敬する先輩として真っ先にヤマピーを挙げている.
特に紫耀の山Pに対する熱量は高く,憧れの先輩は誰かと聞かれれば必ず山Pを出すし,山Pしか出さない.また,Jr.時代においてもカバーする先輩の楽曲の多くが山Pの曲であり,双方のファンからも評価は非常に高い.
ちなみにボクの中でのベストカバーは『Party Don't Stop』だ.高めのハスキーボイスがクラブサウンドのパーティーソングと合わさって色気が半端ない.
永瀬廉のカバー『青』も欠かせない.ボクはキンプリの中での1番のイケボは廉だと思っているのだが,といつのも彼はボクにとって一番最初の尊敬すべき年下のアイドルであり,特にあのクールなルックスと少年味のある声色にはいつも魅了される.
ジャニーズの楽しみ方と深部への到達
と,話がズレてしまったが,本題に戻り,このランキングにおける第1位が山Pであること,そして彼が後輩から圧倒的な支持を集める理由を考察していこうと思う.
正直な話,ボクは以前までなぜ山下智久がこんなにも圧倒的な支持を集めるのかが分からなかった.たしかに,顔はずば抜けてカッコいいし美形だ.身長もそれなりにあって角に追いやられるのは似合わず,センターに出るべくして出る容姿を持っている.
「だけど,それって親の遺伝子依存であって,先天的な要素だよな?ジャニーズってそういうところじゃなくね?」と中学3年生か高校1年生のときにずっとそう疑問に思っていた.
ボクは一つのグループをずっと見ていくタイプというよりも,それぞれのグループに魅力を見出し,気分と状況に合わせてあっちこっち色んなところに顔を出す,いわば「浮気性」のような感じでジャニーズを楽しんでいるともいえる.
この楽しみの良いところは,例えば「今日は爽やかにシャキッと好青年のように,爽やかにいかなきゃ!」と思ったときにキンプリやセクゾの曲を聴いたり,「ちょっと疲れてきたけど,ここで手こずったらダメだな」と思ったときにはNEWSやエイト,WESTを聴く,「今日は大人っぽくいきたい」という気分のときはKinKiやV6を聴く...こんな感じでジャニーズをデパートのように楽しめるというところだ.
しかし,この楽しみ方における欠点というものもある.それは,デパートでも同じようなことがいえるのだが,そのグループにおける深部へなかなか到達できないということである.
深部という表現は少々その具体が分かりづらいところであるかもしれないが,つまりはコアなファンだけが享受する楽しみ方—たとえばコンサート(DVD)や初回限定盤シングルのメイキング映像とか—ができないということだ.時間とお金に起因するこのような要素があるが故に,じっくり長い間,そして見続けないと認知することのできないそのメンバーの要素はなかなか見つけづらい.
では,山Pの深部には一体何があるのか.「顔はずば抜けてカッコいい」の向こう側にある,人々を魅了する彼の素質を考えてみようと思う.
山Pの深部(規範に従順/己の首尾一貫性)
彼の出演する番組やドラマ,そしてNEWSに所属していた時代のコンサートを含めたライブ映像を見て感じ取れた山Pの深部というものがある.結論からいうと,彼からは規範に従順であることと己の首尾一貫性という2つの,それぞれ相反する素質をボクは見出している.
☆ 規範に従順
規範というのは,ジャニーズアイドルに求められるアイドル的資質と換言することもでき,山Pはその神がかり的なルックスと少年的なヤンチャさを持ち合わせ,デビューしたNEWSではセンターを務めていた.
彼のシュッとしたクールさと当時まだ残っていたヤンチャさというものはNEWSをはじめ,ジャニーズにとって最も求められるキャラクター性である.
デビューして間もない頃,山Pは『ドラゴン桜』というドラマに出演し,東大合格を目指すヤンキーの高校生を演じたり,『野ブタ。をプロデュース』では「修二と彰」として亀梨和也とCDデビューを果たすなど,グループ活動をはじめソロとしても活躍していた.
手に届かない偶像でありながら,高校生の役を演じ,制服も着る.「遠さ」と「近さ」の対比を器用に操りプロデュースされた甲斐あって,彼の認知度はますます広がっていく.
ちなみにボクはその当時の山Pのソロ曲の『カラフル』という曲が大好きで,高校生のときに友達から教えてもらって以来めっちゃ聴きまくった記憶がある.歌詞がまた良い...!!
「規範への従順さ」という点でいうと,実際と演技でもヤンチャさを見せる彼はバラエティー番組への出演,言い換えれば,大人の前で話すというシチュエーションになると,それこそ模範的な好青年へと変わり.「この子,かっこいいし売れてるし,生意気なのかなー?」と思いきやめっちゃ礼儀正しく,謙虚.マナーには厳しいジャニーズ事務所のお手本のような振る舞いを見せる.こうして山Pへのポジティブな印象は徐々に広まっていくのである.
☆ 己の首尾一貫性
彼の謙虚さはファンのみならず,世間の多くの人々から好意的に買われる.けれど,山Pという人間は自分自身に対してはとても厳しい態度でもって接しており,まさに「ストイック」な要素も持ち合わせていると言うこともできる.
彼のストイックさが分かりやすく表れたのが実写版の映画『あしたのジョー』における演技と役作りだ.ボクサーの役を演じるにあたって,「やりすぎだろ!」と思わせてしまうほどの食事制限を自身に設け,厳しいトレーニングを耐え抜き,公開された映画では原作ファンからも高い評価を得た.「実写化」というのはその原作ファンからすると往々にして批判的な感想を受けがちなのだが,山Pはそのストイックという気質でもって,その高いハードルを乗り越えた.
今のボクが彼の魅力を簡潔に語るのだとすれば,もちろん「ストイック」な性格も語らずにはいられないのだが,「己を貫くところ」と答えるだろう.
「謙虚でありながら,己を貫く」.パッと見,矛盾しているかのように思われるが,あくまでも彼は,周りを不幸にしない程度に自身のアイデンティティーを曲げずに芸能活動を行なっている人間だ.尊敬に値するほかない.
山Pは少年時代の頃から芸能界の第一線で活躍するだけあって,日本のみならず海外からも熱い支持を集める.そんな彼は「海外・アメリカ」に自身における新しい可能性をその時から見出していたために,趣味趣向的な部分は大幅にアメリカナイズされたものであるといえる.
そのような趣向を垣間見ることができるのが,彼の披露するソロ曲である.最近リリースされた『CHANGE』や大ヒット曲『One in a million』,そしてボクの大好きな『Party Don't Stop』はクラブで流れるようなパーティーソングであり,ある意味ジャニーズっぽさというものがない.
そう,彼がメインとして従事する「歌手活動」を鑑みたとき,普段の大衆に受ける好青年らしさ[=ジャニーズらしさ]をみせる振る舞いと対比された形で,山Pという本質的な部分をギャップ的に感じ取ることができ,それに加え,「自分に厳しい」という性格を了解したときに,その相乗効果で山Pという人間が崇められるべき偶像的存在として認知されるのである.この事実こそが,事務所の後輩たちの多くから絶大な支持を受ける理由であるとボクは考える.
根本の裏側
さきほどボクは,
あくまでも彼は,周りを不幸にしない程度に自身のアイデンティティーを曲げずに芸能活動を行なっている人間だ.
と述べたが,この主張における反例が一つ存在する.
それは,「NEWS」の脱退である.当時のNEWSは6人組のグループとして活動していたのだが,2011年に当時のメンバーであった錦戸亮と共に辞める形で山下智久はNEWSを去った.
その理由として,一度きりの人生のなかで自分が1人でどこまでやれるのかをどうしても試したいという挑戦への欲求が挙げられ,これは自身の言葉によって述べられたものだ.
ソロデビューを果たすも.リリースする音楽作品の全てにおいて,万年保ち続けてきた「1位」を保ち続けることは出来なかった.ジャニーズのアーティストとして,これは決して完璧に成功したとは言えない実績になってしまったのである.
山Pはこの事実を受け止めた上での正直な気持ちを「自身への手紙」という形を通じてコンサートで告白した.その文面が以下の通りだ.
山下智久へ
今日お前に言っておきたい事がある。お前を応援しにきてくれた、大勢の人の前であえて言いたい。 お前はNEWSを辞めた。 お前にもっと6人をまとめる力があればみんなを引っ張る力があれば、ファンをもっと喜ばす事ができたし お前をNEWSを脱退するということにならなかったかもしれない。今回の選択を出すまでにお前は三年以上迷い続けていた。 その上での答えだったよな。
だけどお前が辞めたことで、NEWSのファンの中でお前のことを怒って、ショックを受けて嫌いになってしまった人もいると思う。 そういうファンの人たちに…謝りたかったけど言う場もなく時がすぎた。 お前が器用だったら一人の仕事もできたしこんな気持ちにならなかったはずだ。
3年前初めてNEWSがテレビのバラエティー番組のレギュラーをやることになった。 だけどお前はドラマ「ブザービート」と「コードブルー」を連続でやっていた。 その為お前はNEWSの番組に出ることを拒んだ。その答えを出したことで、自分自身を責めていたよな。
このままやっていいのか。メンバーに迷惑がかかる。自分にも納得がいかない。普通の人が出来ることでも、お前は出来なかった。 グループと個人の仕事を、バランスよくすることが出来なかった。
だからお前は一人になることを決めた。 そして自分の選んだ道を進み始めた。 それは想像以上に厳しい。今のお前が一番分かっていると思う。
NEWSの時はオリコンはずっと1位だった。 NEWSの時の山下智久も1位だった。 でもNEWSじゃない、山下智久の今回の曲は一位じゃなかった。 お前はそれが悔しかっただろ? でもそれを受け止めて、色々なことを感じることが出来たはずだ。
人生は一回しかない。 この言葉を信じて、進み始めたお前のことを応援しに来てくれた今、目の前に居る人達に「この選択をしてよかったんだ」とそう、言ってもらえるように頑張らなきゃいけないんだ。その為に、口下手で不器用なお前が一言だけ言うんだ。自分の言葉で。
自身に向けたこの極めて厳しくも,何にも隠されていない素直な気持ちと態度は決してパーフェクトな感じを出すのではなく,むしろ自身の「ダメだったところ」を如実に示している.
ボクは,コンサート会場に集まる,山Pのことが大好きで集まった人たちの前で敢えてこれを告白したところに心を打たれる.
彼のこの,完璧なところを見せつつも自身のネガティブなところも隠さないこの気概はもっともっと世間に知られるべきだ.
大衆向けのランキングには「落ち着いている」「英語がペラペラ」と,極めて表面的な要素しか抜き出されていないのだが,その事実の裏側には根深い彼の心意気に裏打ちされたものが存在している.
ボクよりも若い後輩たちにはぜひ「模範的な大人」として山下智久のことを認知してほしいし,大人の人たちにも知ってもらいたい.
山Pはジャニーズを代表するアイドルでありながら,今を生きる模範的な人間なのだから.
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