脱サラを目指す若者を食い物にして稼ぐ外道もいるという話(1)

会社の同期の紹介で、自称経営者の人間と会い、その人が主催するコミュニティで、若さと労働力を搾取されている脱サラ志望のサラリーマンを見てきた話です。

少し前まで大学生の身分で自由を謳歌していた人間にとって、サラリーマンの生活は、絶望的にら耐え難く、苦しく、虚しいです。

新卒1年目のサラリーマンは得てしてこの感覚を共有しており、誰しも一度は起業して、社長になり、大学生時代までの自由を取り戻したいと思うものです。

そんな想いを抱きながら悶々と暮らしているなかで、ある日の会社からの帰り道、今まで一度も話したことのない同期に話しかけられ、こんな話をされました。

「大学の先輩の会社の同期(この関係性の遠さをまず疑うべきだった)に、脱サラして起業した経営者の方がいるんだけど、会ってみない?」

会社にいる時間が苦痛で仕方がなかった僕は、それはもう藁をもすがる想いでその話に乗りました。
元々疑り深い性分で、やれ経営者だのハイパーメディアクリエイターだの仰々しい肩書きがついた人間に強い不信感を抱いていた僕ではありますが、会社から与えられるストレスは、僕を怪しい闇のセミナーへと駆り立てるには充分過ぎるものでした。

一度目に経営者(暗黒自称)とお会いした際は、身の上話を延々とヒアリングされました。なぜ脱サラしたいのか、今の状態がどう不安なのか、なぜ起業したいと思ったのか、そんな話を延々と聞かれました。
人生の先行きに迷っている人間というのは弱いもので、質問に答えている内に、だんだんと気分が良くなります。
それほどまでに、自分語りというのは快感を伴うものだったのかと、この文章を書きながら痛感させられます。

経営者になりたいなら、この本を20代の内に読みなさいと言われ、課題図書のようなものを課せられました。
課題図書の内容は端的に言えば、サラリーマンの行先に豊かさはなく、「賢く」生きれば経済的な自由が手に入るぞ、という脱サラの素晴らしさを啓蒙するような本です。

そこに書いてある内容は、サラリーマンをやっていく現状に違和感を抱いている人間にとって、「サラリーマンを辞めること」が真理であると思わせるような、扇動的なものでした。
ロバート・キヨサキ著の、「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」という、世界的にも爆売れした経済書です。
(改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント:経済的自由があなたのものになる (単行本) https://www.amazon.co.jp/dp/4480864253/ref=cm_sw_r_cp_api_i_f8L9DbF132PHC)

内容をざっくり話すと、世の中には時間を対価に金銭を生み出す人間と、仕組みを作って金銭を生み出す人間がいて、経済的自由を手に入れたいのであれば、後者を目指しましょう、という内容の本です。

この本自体は、様々なビジネス書に引用されているベストセラー(今思うとこの本を引用しているビジネス書も脱サラ志望者の不安を食い物にする畜生が書いている感じがする)です。
内容に関してもサラリーマンの働き方に一石を投じる名著です。脱サラ同志には是非一読頂きたい。

しかし、闇のビジネス教組(ここは闇の・ビジネス教組と区切ります)が脱サラ志望の信徒を騙すには、あまりに都合の良いことが書いてある本でもありました。

闇のビジネス教組は、この本を元に現状に不満や危機感を抱く若いビジネスマンを洗脳し、その若さと能力を食い潰す仕組みを作り上げました。

疲れたので続きは(2)で書きます。




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