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ネームは大胆かつ繊細に。
今日は自分のネームについて書いてみようかと思います。
これはおススメ方法でもなんでもありませんので、こういう人もいるんだ、くらいに読んでくださいね。
25年ぶりに初担当を尋ねた話
— こきあい りん(小樹藍りん) (@kokiairin) June 20, 2022
(1/3)#漫画が読めるハッシュタグ #コミックエッセイ pic.twitter.com/e3GEEHmab8
エッセイ漫画のテーマ
上記は私がとある出版社へ行ったエッセイ漫画です。
描くときにまずテーマをどうしようか悩みました。
①初めての会社&仕事打ち合わせへ行くドキドキさ
②20年ポンコツの漫画家に仕事連絡が来た、という幸運
③仕事内容が新しいものだったという時代性
④仕事の連絡が来たのが昔持ち込みに行ってた会社だったという驚き
⑤仕事連絡が来たのが持ち込みエッセイを描いてたタイミングと一緒だったという奇跡
⑥仕事連絡が来た会社に昔の担当がいるかどうかというハラハラ
さて。どれが面白いか。
①②は一般的なテーマで万人に読みやすいと思います。
でも目を引くのは④⑤⑥ですね。しかしこのネタばらしは前回の漫画とツイッターでやってしまってました。
昔の漫画作法だったらオチがわかってて描くのは辛いです。しかし今は「○○という話」と分かってる方が安心して読めるという風潮がある。
なので私は「どういう話かわかってるけど、それでも過程を面白く読んでもらう」ことにしました。
なぜなら。
富田さんのエピソードがあったからです。
キャラの個性はどこに
富田さんは今回初めて会った編集さんです。緊張感漂う打ち合わせの途中でテーブルの上の異物に気づいて、全力で払いのける、というシーンがありました。
私は最初からアレに気づいてました。しかし富田さんはなかなか気づかず、ずっとプレゼンしてました。今回初対面だった上、作家サイドの私が仕事の返事をはっきりしていなかったので、彼女はとても緊張してたと思います。それがわかったのは手でアレを払った時でした。
彼女は見つけた途端、幼い子がいたずらを隠すかのように不自然にテーブル全面をばさーっ!と払いました。「こきあいさんにはバレなかった、良かった」と思ったと思います。私はもちろん知らんふりしました。
そして。
「これは最強のエピだな」瞬時に思いました。
ギャップです。
この緊張感の中、出来る有能な若い女子、と全く合わないアレ。そして慌てっぷり。これが「キャラ」というやつです。見た目や服装なんかではありません。このような「追いこまれたときその人はどうするのか」。
その本能の行動がキャラの個性です。
今回ならティッシュを出してそっと隠して捨てることもできたし、あえて「すみません、やだー」という事も出来た。しかしこの人は全力で私に隠して「なかった」ことにした。
この出来事は私に漫画のネタを与えてくれただけでなく、「この人は信頼できる」と思わせてくれました。何かトラブルが起こっても作家を見捨てずに全力で対応してくれる人なのだろう、と。
そういう意味でも、とても重要な出来事でした。
そして、漫画の構成としてはこのユニークなエピがあれば、このあとどれだけセンチメンタルな話になっても重くならない!
そう思って9.10.11pはたっぷり感情表現をとりました。8pまではわざとエピをつっこんで。その後、読者さんにもホッと一息ついて欲しかったからです。
(ここは漫画雑誌でならほぼセリフなしで回したいところですが、色んな人が読むSNS漫画なので文章で補ってます。「テナント募集の~」は本来絵だけで表現すべきで、書いちゃいけないネームですね。昔なら編集に怒られてます)
クライマックスはリフレイン
なんとなく赤い説明文を入れてみました。
クライマックスで同じコマを重ねて表情を表現するのは私のオハコです。音楽でいうクライマックスに転調するリフレインです。ここぞという決め技。
人によってはこういうことは本能でやってると思います。しかし私は自分のネームを説明できるタイプ。色んな編集と雑誌を渡り歩いてきたので、自分の漫画をプレゼンする能力は鍛えられました。
その代わりファーストテイクで第一稿のネームを切るときは全力で本能でブッチ切ります。その後…分析(客観視)の鬼になる。
(松井優征先生は「自分の漫画は薄目で見ろ」とおっしゃってます)
今回はそんな分析を自分でしてみました。
しかし初めに書きたいと思ってたテーマにはたどり着かなかった…(笑)
また次回書きたいと思います。
漫画描きの方の何かお役に立てれば嬉しいです。
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