![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81491461/rectangle_large_type_2_bcd0f1b8ca85e013779bbe83ab01f61d.jpeg?width=800)
ネームは作曲に似てるし、漫画と音楽もよく似てる。
今日は私が昔から考えてる「ネームと作曲は似てる」について書こうと思います。
ネームに一番大事なのはリズム
ネームには作家それぞれの個性があります。コマ割りにも癖がある。でも売れてる漫画、読みやすい漫画というのは必ず気持ちいい「リズム」があると私は思ってます。
なんというか、つい身体が動くようなそこへ身を任せたくなるような気持ちいいリズム。勝手に体が動くような本能的なリズム。
そんな風に考えるようになったのは、私が作詞作曲を経験してからのことでした。
音程とテンポが徐々に上がると、気持ちもアガる
私は学生時代バンドを組んで、自分のシンセで作詞作曲していました。その時一緒に作曲してた仲間が音楽理論に詳しくて、色々教わりました。
①「メロディの音階はサビに向けて少しずつ上がっていくのが気持ちいい。一番の高音は必ずサビで!」
②「BPM(テンポ)はサビの後半ほんの少し、聞いてる人はわからないくらい、少しずつ速めると気持ちいい」(ドラムが走る、という感じ)
③「バンドの練習が上手くまとまらない時はとにかくAメロからBメロ、そしてサビへ向かう、それぞれ直前のキメだけ揃えばいい!」
これは漫画にも通ずると思いました。
①「エピソードは後ろに来るエピほど、事象の内容は深くなる」
②「キャラの感情は少しずつ上がって、一度下がって。そしてクライマックスで完全に放出」
③「ネームがまとまらない時でも何か一つキメになる小道具、シーン、セリフだけはしっかり押さえる」
やはり「人の感情に訴える創作物」という意味で漫画と音楽は立ち位置が似てるな、と思いました。
そしてこれら二つに共通するのがもう一つ。
『芸事』だということ。
芸事の基本は『守・破・離』
結局漫画も音楽も芸事である以上、基本は模倣と基礎錬だと私は思っています。
ピアノを習ったことのある人ならわかるでしょう。あの「ハノン」という基礎錬。
ほんの僅かなフレーズのために、死ぬほど4.5のトリルで薬指小指を酷使し続けて。でもある日臨界点に達すると、するりと弾けるようになる。
そして曲全体のクオリティがガンと上がる。
アレです、アレ。
漫画も同じ。
私はデッサンもネームも模写が有効だと思ってます。
自分の目指す漫画を、好きな先生の漫画のコマワリを模写する。好きなテレビドラマや映画のカット割りを模写する。
ここで大事なのは「勝手に自分流にアレンジしないこと」。
とにかく徹底的に細部まで真似をする。
これを何か月も続けてると、ある日ふとその作品のネームの解剖図が見えてくる。
今までわからず書いてたコマが「あれは少ししゃがみ込むためのコマなのだ」「この大ゴマのシーンのために二つコマを並べてたたみかけてたのか」「ここでキャラの顔の角度を変えたのは前向きな感情を表したいからか」と理由がわかってくる。
そうして「頭」でネームを完全理解できたら、その次は「身体」がリズムが理解する。
ここでようやく「自分の思うように、それでいて自我を越えて」いう一見矛盾した世界で描くことができるんだと思います。
そしてこの修業はいくつになってもどんなキャリアでも、永遠に続く。
特に私みたいに基本的に漫画技術が高くない作家は人の何倍も努力しなきゃいけない。
そういう意味で、こうしてnoteを描いて人様に説明してることも私にとって漫画を理解する修行だったりします(笑)
今回は昔から考えてた「ネームと作曲は似てる」をテーマに書いてみました。
ここまでお付き合い有難うございました!
ではまたー。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?