見出し画像

#374 日焼け止め

 曇りがちの日が続いていたが、きょうは、爽やかな日になった。私は、窓をあけ布団を干していた。

 一軒隔てた向こうの家から、あきちゃんの声がきこえてきた。中学校に通うあきちゃんが、通学用のヘルメットをかぶりながら「あらへんやん。この前にもお母さんに頼んだのに・・・」と言った。イライラした甲高い声がきこえてきた。お母さんも、負けじと「しゃーないやんか。一日ぐらいでかわらへん。早よ行き!!。」と言い返していた。

 どうやら、日焼け止めのクリームのことでの口論だった。お父さんが「遅刻するで~。帰ってきたら新しいクリームがあるわ。」というと、あきちゃんは「ほんまやな、絶対やな。」と言って、自転車に乗って私の家の前を通っていった。

 あきちゃんもお母さんの声もよくとおる。あきちゃんの家の前を通ると、元気のいい声での応酬を聞くこともある。

 私たちには、とても明るく愛想がいい。「おはようございます。」とか「行ってきます。」とか、必ず挨拶をしてくれる。

 小学校の低学年の頃に、集団登校で見かける彼女は、静かな少女だった。
 小6になった頃、「あきちゃん元気になったな~。だいぶ成長したと思うわ。」と私がお母さんに言った。「そうですか~。家では、わがまま放題。反抗期です。いつも口喧嘩です。」と言った。

 あきちゃんが私の家の前を通った後、ゴミ収集箱のところで、あきちゃんのお母さんにあった。お母さんが、「朝から大きな声ですみません。」と言った。「親の言うことばっかり聞いていたらあかんで~。反抗期は自立する時期やで~。」と、私が言った。「そうですか・・・。先週の日曜日も、友達と電車に乗って買い物に行きましたわ。毎日ラインして、その後長々と携帯で友達と話してますわ。塾の先生は頑張っているというてくれましたけど・・・」とお母さんは言っていた。

#子どもの成長記録


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?