001 start here
2011年3月11日。
東日本大震災。
日本中が混乱と悲しみに包まれた金曜日。
その日、
私たちevylockは、札幌でライブの予定が入っていた。
本当に、こんな状況でライブをするのだろうか。
この世の光景とは信じがたい様子をニュースで見ながら、
半信半疑でライブ会場に向かった。
私たちが住んでいる札幌は特に目立った被害はなく、いつもと変わらない日常があった。
お客さんもいた。
気持ちのうえでは、正直ライブなんてできる状況じゃなかった。
ライブなんて…。
けれど、ライブは予定通り行われるとのことだった。
私たちevylockもキャンセルせずにステージに立った。
あの日ほど、自分たちが滑稽で無力に感じたステージは無かった。
特にMC。
自分の口から出るすべてのことばが空しかった。
ただ、ただ、無力感と罪悪感に苛まれた。
それ以降、突如ライブ中に力が入らなくなることがあった。
急に無力感に襲われる。
やはり、3月11日にステージに立つべきではなかったのかもしれない。
どうにもやりきれない想い。
その想いを、一曲の歌詞にした。
それが「Start here」
本来、音楽とことばには力があるはずだ。
その力を信じて、もう一度ペンを握り、音をかき鳴らすんだ。
もう一度ここからはじめるために。
この曲は、田口くん(Sony music/Zestone records)にお願いして、英語訳してもらった。
奇しくも、この日evylockでギターを弾いていたメンバーのオノミチは、その後、被災地の気仙沼市に引っ越し、気仙沼スタジオプロジェクトを立ち上げた。
https://kesennuma-studio-project.localinfo.jp/
偶然だろうか。
そして、新たなメンバーを迎え入れはじめてスタジオに入った2018年9月6日。
真夜中に、今度は私たちが住む北海道を大地震が襲った。
揺れの最中、
私は、必死に2人のむすめの上に覆いかぶさっていた。
その後、北海道全域がブラックアウトで数日間、深い闇に覆われた。
わが家も一部倒壊し、今度は被災者になった。
偶然だろうか。
もしかしたら、必然なのかもしれない。
evylockのフルアルバム。
一曲目は、「Start here」
決して上手ではない英語だけど。
レコーディング中は、アメリカ人のデニス(may silence prevail us)にすべての発音をチェックしてもらった。
案の定、デニスからめちゃくちゃ突っ込まれた。
恥ずかしいけれど、絶対に逃げちゃダメだと思って。
ちゃんと、伝わるように。
この曲が、2度の困難を乗り越えた日本からのメッセージだと。
今日も世界のどこかで苦しむ人の突破口となることを願って。
改めて、震災により亡くなった方のご冥福を心よりお祈りします。
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