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profunda bluo

「深青」

evylock初のフルレングスのアルバム・タイトルです。

発音はプロフゥンダ・ブルーオ、

エスペラント語です。

エスペラント (Esperanto) とは、1880年代にユダヤ系ポーランド人の眼科医・言語学者であるルドヴィコ・ザメンホフとその弟子(協力者)が考案・整備した人工言語です。

現在、国際補助語としては最も世界的に認知されていると言われています。

なぜ、私がエスペラント語を用いたか。

そして、タイトルに「深青」と名付けたか。

それは、今回のアルバムコンセプトが、「宮澤賢治」だからです。



evylockは、これまでにも文学的なアプローチで作品をリリースしてきました。

2004年にリリースしたevylock/funeral dinerのスプリットCD&10インチLPに収録した楽曲、「松の針」。

これは、私がevylockというバンドに、大好きな宮澤賢治の世界観を表現した最初の楽曲です。

宮澤賢治の妹、トシが亡くなる最後の朝を心象スケッチした「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」という有名な三部作からインスピレーションを受けた歌詞になっています。

2007年にリリースしたEP「Silent Spring」。

タイトルは、1962年に出版されたレイチェル・カーソンの同名の著書から付けました。

農薬などの化学物質の危険性を、鳥たちが鳴かなくなった春(沈黙の春)という出来事を通して訴えた、今でも読まれ続けている名著です。

さらに、作品に収録した楽曲「Chirden of the dust」は、アイルランドの小説家ルイス・ロレンス作「灰のまつえい:日本題(1985)」からインスピレーションを受け歌詞を書きました。



そして、今作では再び宮澤賢治をテーマとしました。

賢治作品として、一番印象深い色は「青」。

「青」という色は賢治さんにとって、すべての「死」であり、またあらゆる「生」の世界を示す色です。

だから、宮澤賢治をテーマとした今作品のタイトルを「深青」としました。

そして、

生前、賢治さんは言語に対して飽くなき探究心を持っていました。

その世界観をさらに広げるために、賢治さんは数篇のエスペラント詩稿を残しています。

それらは全く試訳の段階で、文法的にも不完全でありますが、エスペラントを新たな表現方法として身につけようとしていたことは明白です。

私自身も高等学校のいち国語教員として、言語の持つ重要性は、今の時代だからこそ余計に大きいと考えています。

「ことば」の持つ力は、ときに物質を、国境をも凌駕します。

今から100年以上前に、「ことば」という垣根をなくそうと試みられ開発されたこの人工言語に、賢治さんの世界観「深青」を託すことにしました。


「profunda bluo」


なぜ、私がバンドの表現方法として文学作品を用いるか、

なぜ宮澤賢治かは、また別の機会に。

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