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意外と簡単に感情を出すのね

意外と簡単に感情を出すのね

友達と友達の近況を語り合った。彼のちょっぴり好きな女友達と彼が川で夜明けまで語り合ったというのだ。それはさぞ楽しかったろうと思った。しかし、ことはそう簡単ではなかった。彼の女友達はあろうことか、彼ではなく彼の友達を好きだったのだ。これは非常に問題であり、友達は彼女を諦めたのだという。なぜと言えば、好きかどうかもちょっぴり好きだっただけで、別にいいのだという。それよりも話がよく合うので、女友達をなくすほうがよろしくなかったのだ。

観葉植物を買おうと思っている



友達はその女友達と浮気の境界線の話をしたらしい。浮気を浮気と見做す基準は人それぞれであるが、浮気というのはそもそもアブノーマルな事例であって例が少ない。よってはっきりとした基準やコンセンサスはなく、当事者のその場での判断に委ねられる。友達やその女友達は交際の経験が乏しく、どこからを浮気にするのか、果たして夜を過ごしたからと言って浮気に値するほどの気持ちになるのか分からなかったらしい。

さてこの話の肝は彼らが夜の経験が乏しかったということである。知識としては知っていても、肌を重ね、唇を這わせることがどれほど感情的な行為なのか、性欲的な行動なのかを判断しかねたということである。かくいう私も数えるほどの経験しか持ち合わせてないから、申し訳ないとは思うのだが、好きな人と肌を合わせるということは素晴らしい出来事である。この世にはわたしたちしか居らぬような全知全能に覆われる。

夜はまだ寂しくなる



では、女友達はどこまで夜の営みについて知識があるのかと尋ねると、彼は目を変えてそんなものじゃないと言い返してきた。「どういうことだ、夜の経験がないから知識がなく、浮気の基準をはっきりできないのだろう」と整理して伝えると、「知識はあるのだ、ただ経験がないのだ。」と、彼女を馬鹿にするな、性的な対象にするなと言わんばかりの勢いで、私の発言を復唱してきた。

彼は普段は冷静で全ての意見に対して理解を示す。一方で、芯の強い人で彼は、彼の意見に反対するものを論駁するために話を整理して、理路整然と反論を行う。楽しんでいるのではなく、譲れないのだろうと思う。そんな彼も少しでも好きだったかもしれない女性を、あくまで会話の中でなのだが、性的な対象にされようとする状況が許せなかったのだろうか、感情を全面に私の発言を復唱するという。ありえない行動をとった。とても些細なことだが、とても簡単に人の心というものは動かされるのだなと思った。

思っているより人は脆く、単純なのかもしれない。私が感じる寂しさや、人肌恋しさや不安といったものは、他の人間にとっては日常茶飯事で私は意外にも強い人間なのかもしれない。気が強そうな女性だってそうだろう。何も考えていないような男だってそうだろう。一方で、私も意外と弱い人間なのかもしれない。という考えを捨てきれない、私はたぶん弱い人間なのだろう。

「はだかねずみ」群れで生活するネズミ。強く生きろよ。

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