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「同じ構造で問題が起きているんだ」がわかる(4/5)
株式会社WAVES代表の近藤氏は、半導体材料の輸出入・開発支援という盤石な事業がありながらビジネスコーチング事業にも乗り出している。その背景について聞いていくと「リセット」「勉強」「実践」「着想」といったキーワードが浮かび上がってきた。どんな人となりでどんな事をしてきたのか、コーチングとは具体的に何をしていくのかを掘り下げていきます。
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─良いことしかないですもんね。2社目は営業で入ってからずっと同じ職種ですか?
近藤:職種的には「開発にも携わる営業」という感じですね。事業開発、製品開発のプロジェクトにも入れてもらったり、アメリカの市場開拓に行ったりもしました。M&A用のPMIプロジェクトで、アメリカの工場の事業統合後に日本とアメリカを行ったり来たりしていました。結局、全部勉強しましたね。
─かなり幅広いですね。どういったことを勉強していたんですか?
近藤:事業戦略系のことや、経理財務的なことを勉強しました。あとはアメリカと日本の企業文化の違いとか、PMIの失敗事例などですね。自分の関わるプロジェクトに関係しそうな本は一通り買って、一度頭に入れています。
自分の頭で思いつくことなんてたいしたことないと思っているので、最初に専門家の人が言っていることをインストールするようにしています。そうすれば、その知識をベースに着想できるようになるし、自分のレベルが低くてもそこまでは引き上げられるようになります。要はあまり自分の力を過信しすぎていないと言いますか。
─なるほど、常に知識に関してはゼロベースで、新しいことをするときは勉強しまくってから臨むということですね。
近藤:そうすると今までの経験をもとにいろんなことを着想したり、ポイントを見つけるのが早くなったりしますし。
ーなるほど。では振り返ってみて色々と仕事をしてきてどんな能力や強みが積み上がってきたと思いますか?
近藤:ゼロベースでリセットして勉強していくと、だんだんと「ああ、これってこの構造ね」っていうのがわかってきた所ですね。
中身というよりかは、フレームが見えてくるというイメージです。そうすると、レゴを組み上げていくように、「この問題点が積み上がっているから、ここを解決すればいいよね」ということがわかります。
これはものづくりにおいてもビジネスの構造的な問題も、あまり変わらない気がします。どんどん抽象化していくと構造的にどこを解決すべきかやどこを深掘りするべきなのかのポイントや共通点を見出すのが早くなりました。
─なるほど。
近藤:いろんなことをやっただけあって、個別特有の経験・知識が深まるというよりかは、抽象化されたところで共通したところを見つけられるようになっていくという感じで、抽象化思考が上がっちゃいましたね。
─まったく関係ない事柄同士でも共通項や同じ構造が見えてきて「これと同じことを言っているんだな」「同じ構造で問題が起きているんだ」というのがすぐに理解できるという感じですかね。
近藤:そうですね。今のコーチング業でもそうですが、いろんなことをやって勉強してきたおかげで、この人の構造上の問題やポイントはここなんだろうな、というのが話を聞けば大体わかります。
コーチングは真っ暗な洞窟を懐中電灯ひとつで探検するようなもの
─初めてコーチングという言葉が出てきましたね。いつ頃からコーチングという、半導体営業とはまったく違うジャンルのことをやり始めたんですか?
近藤:前職の半導体材料関係の営業していたときは、技術者さんたちが新規開発しないといけないそうで「僕はこれがやりたいのに、上司に言われていてなかなかできないんだ」というようなお話をよく聞いていました。そこで「うちの製品だったら解決できますよ、こういうカスタム系の開発をしたらブレイクスルーしそうですね」と提案する。
このように技術者の方々がやりたいことをブレイクスルーさせるための提案とか視座を切り替えさせるようなことは、無意識にトークでやっていました。出したい結果に対して、解決する材料がないから、そこを一緒に考える。ということを12年間やってきたんです。
今思えばそれがコーチング的な視座の切り替えに通ずる部分がありました。あるいは、本当はやりたいことがあるけど「でも上司が、でも会社が」と言っているところに「そんなのいいからやりましょうよ!」という感じでお客さんのやる気を上げて、最終的にそのお客さんが社長賞を取ることもありました。だからコーチング的なことは前の会社で結構やっていたんですよね。
─確かに、営業をかなり超えていますよね。営業は物を売るというイメージですけど、そもそもお客さんが実現したいものをどうすれば実現できるか、という部分から一緒にやっていたんですね。
近藤:はい。そういう経験が下地にあったのが始まりです。その後、会社を辞めて、新たな会社を立ち上げたところでコロナ禍になって、半導体材料の営業展示会とかが全然なくなってしまって困っていたときに、先輩経営者の人に「海外の事業開発の経験とかいろいろあるならコーチングやってみたら?」とアドバイスをいただいて、独学で見よう見まねでやり始めました。でもそれじゃいかんなとまた私の勉強の虫がうずき出しまして、去年1年弱ほどコーチングに身を捧げることになりました。
─なるほど、勉強されたわけですね。
近藤:それでやってみると、自分が今までやってきたことが言語化できるようになったんです。自分がやっていたのはコーチングの考え方だったんだなと。さらに抽象度が高く見えるようになったんです。
─なるほど。会社を辞めて半導体のビジネスを立ち上げたものの、たまたまコロナが来てしまった。半導体一本だけではなく何かやりたいってときに、海外での事業開発の経験を活かしたコーチングをビジネスに取り入れて、そこから勉強が始まったという感じですね。
近藤:そうです。感覚でやっていた部分とロジックが結びつき、より研ぎ澄まされたという感じです。超能力みたいに見えるというわけではなく、どちらかと言えばどこをどう深掘りしたらポイントが浮き出てくるかがわかるというイメージです。
そういう削り出す方法や方向が、さらに研ぎ澄まされました。いきなり見えるわけではなく、研ぎ澄ましていって浮かび上がらせて、結果的に見えてくるという感じです。
─なるほど。実際、近藤さんのコーチングでは具体的にどういうことをやるんですか?
近藤:基本的には対話を行っていくんです。まずは「何をやっている方なんですか?」というところから始まりますね。そこで得意としている領域や才能、やりたいことをより深く引き出すようなお話をしていきます。とはいえ初対面の方なので、最初は何している人なのか全然わかりません。例えるなら真っ暗な洞窟を懐中電灯ひとつで探検するようなものです。
会話や質問をしていくことでちょっとずつ洞窟を進んでいき、その人も気づいていなかったようなやりたいことや才能を一緒に発掘する。そしてその人のやりたいこと・才能を使って、今後どういう風になりたいか? という未来のゴール設定までお手伝いしていく、というような流れでやっています。
─ありがとうございます。洞窟を懐中電灯ひとつでというようなお話がありましたが、営業時代においても新しい仕事をするときはゼロから勉強して、構造を掴むみたいなことをされてきていましたよね。そのプロセスと同じようなことを、人との対話の中でもしているんでしょうか?
近藤:そうですね、その人の情報を収集して構造化することで、どこで引っかかっているかを見つけていきます。元のベースとなる人間の脳や心のからくりとかをわかっていると、さらにそのあたりが見えやすくなるという感じですね。
(聞き手:Shovell インタビュアー 加美雪絵)
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