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打ち合わせに行く前に最新の論文に目を通すのは、ただモノを売りたいのでなくプロセスイノベーションをしたかったから。(3/5)

株式会社WAVES代表の近藤氏は、半導体材料の輸出入・開発支援という盤石な事業がありながらビジネスコーチング事業にも乗り出している。その背景について聞いていくと「リセット」「勉強」「実践」「着想」といったキーワードが浮かび上がってきた。どんな人となりでどんな事をしてきたのか、コーチングとは具体的に何をしていくのかを掘り下げていきます。
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─転職のきっかけとして「ものづくりに興味がある」ということでしたが、それはどういった感覚やお考えに基づいているのでしょうか?

近藤:手先が不器用すぎるから、自分では作れないんですよ。でも何らかのアイデアを着想して、それが形になるという部分にはすごく興奮を覚えるんです。

─自分で作るというより、人やツールを使ってアイデアを形にするという部分なんですね。

近藤:そうですね。「これってこういうことじゃないですか?」という風に、通説や定説を違う切り口でやることによって、物事をさらに良くして前に進める、というところに喜びを感じていました。

─なるほど。それで2社目で初めて半導体という商材に触れて、そこから今に至るという感じなんですね。

近藤:はい。1社目にがむしゃらに頑張ったら結果出るというのが根底にあったのが良かったと思っています。2社目は、ものづくりだから理系なんですよ。打ち合わせは技術者の方が多くて、化学とか物理の知識が必要だったんです。でも高校時代の私は、どうせ寺継ぐしと思ってまともに勉強していなかったものですから。

─確かに、お寺を継ぐなら理系は関係ないですね。

近藤:化学のテストで0点取ったりしたけど、俺には関係ないと思っていました。しかし化学メーカーの技術者の方と打ち合わせをしなければいけない。普通の営業マンだったら買った部品をそのまま売っていればいいというスタンスで構いません。でも私はものづくりの開発にすごく興味を引かれていたので、自社の技術者にいろいろ教えてもらいながら、自分でも中学・高校の教科書を買って、ゼロベースで勉強していました。

─これまたストイックにやられたわけですね。

近藤:そうです。後で知ったのですが、周りの営業の人も全然勉強していなかったそうです。でも、そのときの自分自身はゼロベースどころかマイナスベースで入っていると思っていたから、そんな中で結果を出すとなったら、そりゃあ勉強しないとねってなりまして。技術者や開発者のお客さんを満足させるためには、勉強しかないと。

─教科書から買い直して。

近藤:そのうち勉強し過ぎて技術者の方を追い越してしまうこともありましたね。打ち合わせに行く前に最新の論文に目を通したりしていたので「なんでそこまで知っているんですか!?」って驚かれたりもしました。

─すごい。それは純粋に科学が面白かったんですか?

近藤:面白かったのかな? やっぱりわからないことがわかると嬉しいですね。あとは、わかった状態で打ち合わせに挑むと「こいつは多少わかる奴なんだな」と思ってもらえて、腹を割って話してくれるのが嬉しかったというのもあります。そんな付け焼き刃で勉強したとしても、彼らに追い付くことはないですけどね。

─信頼関係は築けますよね、何も知らない人よりずっと。

近藤:はい。お客さんからはよく「他の営業さんは全然勉強してこないのに、近藤さんはすごく勉強してきますよね」って言われていたので、やっぱり信頼されていたんだと思います。勉強することでみんな喜んでしゃべってくれるという単純な成功体験が積み重なっていくので、喜んでもらうためにどんどん勉強しちゃうというのはあるかもしれません。勉強してますね、俺。

─してますね。勉強するということは、単に知らないことを知るという面白さもあるし、人との関係性が良くなる効果もあるということですね。

近藤:そうですね。知的好奇心を埋めることだけじゃなくて、その先に得られる効果がわかっているから勉強しています。相手とのコミュニケーションがより円滑化されたり、打ち合わせが生産的なものになったりしますから。もしそういった良い効果が得られないのであれば、好きで勉強することはなかったかもしれません。

─何かしらの仕事や、人との関係性に結びつく学びが多いですね。

近藤:あとは仕事に関わらないことでも本を読んだりはします。そういう専門的な知識を身に着けておけば、今までは誰かとコミュニケーションするにしてもただのおしゃべりだったところが、ビジネス的、クリエイティブ的な話ができるようになります。そのために勉強しているという感じでしょうか。

─なるほど。そうやってクライアントさんと一緒に何か作っていたんですね。

近藤:はい。つまりプロセスイノベーションをしたかったんです。

─プロセスイノベーションというと?

近藤:0から1を作るというよりかは、すでにあるものに対して「こうやったらもっとよくなりますよね」というほうが好きなんです。割と細かいことにすぐ気づいてしまうタイプなので。とはいえ結局やっていることは、「めっちゃ勉強する、めっちゃ行動する」なんですよね。本当にバカなんじゃないかと思うくらい、愚直に行動してます。

─それが売れる営業マンの原理原則というわけですね。

近藤:そうです。効率化やショートカットするのは好きだけど、結局は一度ガッとやってみないと、その理論は頭に入ってこないものです。自分のことはそんなに頭が良いとは思っていないので、最初にちゃんと経験しないとなという思いはあります。

理論と実践を身に付けたところから着想が生まれるというのは、1社目のときの勝ちパターンでした。とは言え、私はちょっとやりすぎているかもしれないですね。今はそこまで頑張らなくても大体わかると思うので、突き詰めてやる傾向はそろそろやめてもいいかなとは思いつつ。

─理論、実践、着想というサイクルを回すという感じなんですね。

近藤:そうそう。

─面白いですね。勉強というのがすべての大前提にあるんですね。

近藤:ある程度、相手の知識や思考に近づいておかないと、コミュニケーションが取れないかもしれないという変な思い込みはあるかも。そのほうが発展的な議論ができるし、自分自身も楽しいというのもありますけどね。別にそれがなくてもできてしまう世界もありそうですが。

─そうですね、ありますね。

近藤:そんなことは考えたことがなかったです。

─知識は持っている人が持っていればいいし、営業はとにかくヒアリングして持って帰りますというスタンスの方も多いですね。近藤さんは前線に立って、同じ知識レベルで同じフィールドに立って話をするのが好きなんですね。

近藤:そう。当然プロの専門家には勝てないけど、多少は知っておかないと話にならないと思ってしまうから。難しいことを勉強するのが好きなんですよね。

(聞き手:Shovell インタビュアー 加美雪絵)
https://twitter.com/proud_career

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