【日本選手権】学生コーチがカテゴリー不問のガチ試合を見てから語る妄想。
国内唯一カテゴリー不問のガチ試合
12月2日から始まった日本ハンドボール選手権大会。
我々筑波大学は1回戦vs岡山HC 29-23で勝利。
翌日の2回戦vs 大同特殊鋼23-28で敗戦。
その結果、ベスト16で大会を終えることになりました。
Twitterにも書いたように日本リーグの選手と対等に渡り合う選手を見て嬉しく思いましたし、試合終了と同時に悔しがっている様子を見て、このチームは強かったしこれからもっと強くなれたチームなんだろうな。と思いました。
今のチームであと何回か試合をすることが出来たら、それは選手たちにとってとても大きな財産になるんだろうな。そう感じたことがこのnoteを書くに至ったきっかけの一つです。
この大会は高校生、大学生、社会人チーム、日本リーグのチームと様々なカテゴリーのチームが一堂に会し、試合を行うことが出来る国内で唯一の大会です。
そう唯一の大会なんです。違うカテゴリーのチームと試合ができるチャンスだからこそ、違うチームと3試合はして帰りたいなあ。そう思っていた僕の学生時代。
試合日程は膨れ、勝ち進んでいくチームの選手たちの負担になることは間違いありませんが、その一期一会が若い選手たちのハンドボール観を広げる良い機会になるとしたら。素晴らしい機会が生まれるかもしれない。ふとそんな妄想を繰り広げていました。
今回の記事では、勝手に妄想を膨らませてこんな素晴らしい試合ができる大会を長引かせるためにはどうしたら良いのか、その証拠となる論拠をいくつか挙げてみようと思います。笑
「こんなん出来るわけないやろ〜」なんてことは重々承知しておりますが、妄想にお付き合いいただける方のみこの先を読んでただけたらと思います。
ではまず、学生たちにとって日本選手権がどんな大会なのか、自身の経験を元に振り返ったのちに、妄想へとお付き合いしていただこうと思います。
①集大成としての場
本来ならばほとんどの高校生は10月の国体が、大学生は11月のインカレが最後の大会になることが多いですが、日本選手権への出場権を獲得できたチームはさらにもう少しだけ同じチームでゲームをすることが出来ます。
新しい代を見据えながらも、これまで戦ってきたチームとしての集大成を見せることのできる場であると思います。
しかし、大会に出るためには練習をしなければなりません、出るからには最高のコンディションで戦いたいと思うのが選手の性です。ただ高校生は受験が、大学生は卒業論文があることで、ハンドボールに100%集中しきれない状況があることも確かです。
筑波の4年生たちの参加は自由となっており、当人たちにやるべきことがあればそちらを優先することになっています。大会にエントリーすべく、部内の競争を勝ち取るために1ヶ月少しトレーニングするのですから、1試合、2試合だけしか試合が出来ないことは少し寂しい気もします。
集大成を発揮する機会を増やせたら?
もし、4チームで組まれる予選グループから大会が始まれば、どのチームでも最低3試合は戦うことが出来ます。これほど良い経験は同じカテゴリー同士で試合をしていても、なかなか出来ないでしょう。
今みたいに短期間での決着は難しくなりますが、予選グループステージと決勝トーナメントを期間で分けることが出来れば可能になるかもしれません。
②経験の場
普段私たちは学生は学生同士で、日本リーグのチームは日本リーグ同士で戦っていますよね。
私たち学生側とすれば、日本リーグのチームと試合が出来るというのはとても嬉しいことです。今まで体験したことのないレベルの選手たち相手に遠慮せずに精一杯戦うことが出来るからです。
もちろん社会人、日本リーグチーム側からすると力の差がはっきりとする試合が多くなりますし、失うものがない選手たちが好きなようにプレーする全てを受け止めることは簡単なことではありません。
学生たちは試合前にいろんな想像をしています。何が通用するのか、何が通用しないのか、実際に戦って初めてそれらを思い知ることになるでしょう。
今までテレビで見ていた選手たちと試合ができることで力の差を思い知る一方で、通用する部分も見えてきます。そんな経験って、日常では決して味わうことのできない貴重な体験だと思います。
自分自身、なんとなく無理かも。戦えないかも。と思っていても、試合をする中で負けたくないと自然と思うようになったり、悔しいと思うようになりました。
③出会いの場
様々なカテゴリーの集うこの大会では、今まで出会うことのなかった選手や、関係者の方と出会う機会があったりします。素晴らしいプレーヤーが感じていること、考えていることは実際にプレーヤーに聞いてみないとわかりません。
もしカテゴリーの垣根を越えた交流があったとしたら?
そこで事前に発表されていた予選グループの4チームが「兄弟チーム」となって、グループラウンドの期間に食事を共にするんです。
イメージ的にはラグビーの「ノーサイド」のような考え方です。当のチーム同士が試合を終えた夜は、そのチーム同士で食事をとって試合の話やハンドボールの話をする。考えただけでワクワクするまさに夢のような大会になりそうじゃないですか。
「あのシュートはどんな感じで打っているんですか」
そんな素朴な質問をぶつけられる機会を得られる日がもしかしたらあるかもしれません。
トーナメント制の大会はあくまでもトップを決める試合です。勝ち進んだチームはその分試合数を多く経験することが出来ますし、初戦で負けてしまったチームは早々に戦闘モードは解除、やるせない気持ちと共に会場を去ることになります。
勝てば良いじゃないか。そう言ってしまうことは簡単ですが、大会に参加することで選手たちに何か良い影響を与えることが出来るなら、大会を通してハンドボールに限らず価値観を広げてくれるような経験に出会うことが出来るならやる価値はあると思います。
書き上げた今日はちょうどベスト4を決める日でした。どの試合も熱い展開ばかりで、明日の準決勝、そして明後日の決勝戦もとても楽しみです。
この大会が無事終了して、ハンドボール界にとってより良い記憶と記録が残されることを心から祈りながらこの記事を締めさせて頂きたいと思います。
それでは。
筑波大学男子ハンドボール部 アシスタントコーチ 森永浩壽
2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。