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今の湖南市長が、正当な市長なのか明確ではない。。

 今年(2023年)の2月に、湖南市の生田市長の関係する政治資金に関して、法に触れる可能性のある行為が報道されていました。これについて考えようと思いつつ放置してしまっていたのですが、ようやく考えてみましたので書きます。

 この報道として京都新聞が詳しいので京都新聞(2月10日、同18日、同27日)を参照しております。

 これらの報道の内容が事実なら、いくつかの行為が犯罪に該当して、処罰される可能性がある、と理解しています。具体的にはこの記事の末尾に付記として書いておきます。
(もし間違いがあったらどなたかTwitterかどこかでご指摘ください。。)

 そして、仮に現市長が処罰されたならば、市長としては失職するはずです。一連の流れの一部に現県議も関わっていますが、県議が処罰された場合も失職するはずです。

市長は法を運用する責任者

 当然のことですが、市長は、法を運用する行政主体の責任者です。そうであるがゆえに一層、違法な行為を本来すべきではありません。法を運用する市長が法を守らない、ということだと、誰も法を守ろうと思わず、行政に対する信頼も損なわれる、ということになりかねないです。。

刑事責任と市長在職の正当性

 報道によると、生田市長は違法でありうる行為の一部について、「責任は私にある」とった発言をしています。この「責任」は、刑事責任(処罰されうるという意味での責任)も含むはずです。

 上述のとおり、一連の件で、可能性としては、市長が処罰されて市長職を失うということがありえます。この場合、いわば、現在の市長が、正当な市長ではなかった、という事態が起きてしまいます。

 市長として権力を有して権力を行使している人が、実際には正当な市長ではないことになると、市長に仕えている市の職員は正当でない命令に従ったりしていたことになり、また、行政の決定に影響を受ける市民は、実際には正当でない決定に影響されてしまっていたことになる、、なんて言い方もできそうです。

 そんなわけで、現市長が市長職にあるのが正当なのかどうかがはっきりしないのは、市民にとって不信のもとだし、湖南市にとって不利益になりかねないと思います。

どう責任をとるか

 市長が「責任は私にある」と考えるなら、刑事責任が明確になるようにしていただきたいと私は思います。市民のために、また市の職員のためにも、刑事責任を明確にすべく、自ら捜査機関に出頭して捜査機関の判断を求めるのがよいのではないかな、、、と思っております。刑事責任を明確にするというのは、起訴されて処罰されるか否かを明確にする、ということです。

 また同様に、一連の政治資金の件に関わっている県議・市議・私設秘書などに対しても、捜査機関に出頭するように促すのがよいのではないか、、、と思います。

捜査機関を尊重しているはず

 市長は以前、政倫審(湖南市政治倫理審査会)について、強制捜査や処罰の権限がない点で、その意義を疑問視する発言をしていました(2022年4月と6月の定例記者会見)。

 仮に市長がそう考えるならなおさら、この一連の政治資金の問題については、(政倫審ではなく)捜査機関に判断してもらうことが重要だ、ということになるのではないでしょうか。。。

ありうる反論?

 もしかすると市長は、「処罰が必要なら刑事告発されるはずだ。告発されていないのは、誰も処罰が必要だと思っていないということだ」と考えているのかもしれません。これについて以下を述べます。第1に、この件で処罰が必要だと思う人がいても、その誰もが刑事告発という手続きをとれるわけではありません。仮に処罰が必要だと思う人がとても多くても、刑事告発がなかなかなされないかもしれません。第2に、他者の刑事告発に委ねていると、どのタイミングで刑事告発されて捜査が開始するかわからないため、捜査がなされる際、市長の業務に、より大きな支障が生じえます。第3に、市長らが自身で出頭すると、自ら出頭したという情状が考慮されるだろうとも思います。そんなわけで、刑事告発を待つのは誰にとっても利益にならないと思います。

 さらに以下の疑問を持ちます。市長は、刑事告発された場合、告発者に対してどのような考えを持つのでしょうか。もし告発者を敵視して嫌悪してしまうのであれば、結局、市長は単に捜査から逃れたいだけだったということになると思います。他方でもし、告発者に対して、「刑事責任が明確になるようにしてもらえてありがたい」と思うことになるなら、最初からご自身で出頭して刑事責任を明確にすればよいでしょう。

 なお、政治資金に関しては、「ルールが複雑すぎる」という面があるかもしれませんし、市長もそう考えているかもしれません。もし市長にその考えがあるなら、ルールの改善を国等に要望していただきたいです。現市長は国等とのパイプを強調していると認識しています。そうであればなおさら、有効に、国等に政治資金のルールの改善を求めていけるはずです。市長がそれをしないなら、「ルールが複雑すぎる」という抗弁は無責任だと言えるでしょう。

 ご自身で出頭して刑事責任を明確にしていただければ、、、と思います。

付記:犯罪として処罰されうる行為

 私の理解では、新聞報道が正しいならば、以下の行為が犯罪として処罰されうる。
 このうち、(1)と(2)については、生田氏の直接の行為が犯罪に該当し、処罰されれば失職する。
 (3)については、虚偽記載をした者が処罰対象になりうるが、報告書の作成義務があるのは会計責任者で、代表者の生田氏が会計責任者への監督を怠っていたならば、犯罪に該当し、処罰されれば失職する。
 (4)と(5)については、虚偽記載または不記載をした者が処罰対象になりうるが、報告書の作成義務があるのは会計責任者で、代表者の塚本氏が会計責任者への監督を怠っていたならば、犯罪に該当し、処罰されれば失職する。
 (6)については、事務担当者が処罰対象になりうる。
 (7)は、報道から推測される事実を前提としているが、明細書・領収書等を「会計責任者」に提出・送付しなかった者が処罰対象になりうる。
 (3)から(7)について、実行者と共犯(共同正犯)と認められる者がいれば、その者も被選挙権停止・失職等のペナルティーを受ける。

(1) 生田氏からの禁止期間の寄付
 生田邦夫氏が、2020年9月1日から9月23日までのいずれかの時点で、政治団体「Changeこなん」に寄付をした行為は、禁止期間における「後援団体に関する寄附等」に該当する。
 この違反の罰則は50万以下の罰金。この刑に処せられた場合、一定期間被選挙権も停止され、公職者としては失職する。
(公職選挙法 第199条の5第3項、第249条の5第4項、第251条、第252条)

(2) 生田氏からの寄付の上限超過
 生田邦夫氏が、政治団体「Changeこなん」に、2020年に約102万円のみではなく、事務所家賃相当分も寄付していたため、個人の年間寄付上限(150万円)に抵触する。
 上限を超える寄付をした者への罰則は禁固または罰金。処罰された場合には一定期間被選挙権も停止され、公職者としては失職する。
(政治資金規正法 第22条第2項、第26条、第28条第1項、第28条第2項;公職選挙法 第99条)

(3)  資金管理団体「生田くにお後援会」の報告書の虚偽記載
 生田邦夫氏の資金管理団体「生田くにお後援会」の代表は生田氏であった。名目上は、会計責任者は某氏。事務担当者は生田氏の私設秘書。
 「生田くにお後援会」の政治資金報告書に(何者かが)、実際には2020年10月30日以前にあった収入について、日付を偽って記載した行為が、虚偽記載に該当する。
 虚偽記載の罰則は禁固または罰金。これは故意ではなく重大な過失によっても処罰対象となる。政治団体の代表者が会計責任者の選任・監督への相当の注意を怠ったならば代表者も処罰対象で、この処罰は罰金。いずれも、処罰された場合には一定期間被選挙権も停止され、公職者としては失職する。
(政治資金規正法 第12条第1項、第19条第1項、第25条第1項、第25条第2項、第27条第2項、第28条第1項、第28条第2項;公職選挙法 第99条)

(4) 政治団体「Changeこなん」の報告書の虚偽記載
 「Changeこなん」の代表は塚本茂樹氏、会計責任者は森淳氏であった。実務は私設秘書が担っていたという。
 「Changeこなん」の政治資金報告書に(何者かが)、実際には2020年9月23日以前にあった収入について、日付を偽って記載した行為が、虚偽記載に該当する。
 上記と同様に、虚偽記載の罰則は禁固または罰金。これは故意ではなく重大な過失によっても処罰対象となる。政治団体の代表者が会計責任者の選任・監督への相当の注意を怠ったならば代表者も処罰対象で、この処罰は罰金。いずれも、処罰された場合には一定期間被選挙権も停止され、公職者としては失職する。
(政治資金規正法 第12条第1項、第25条第1項、第25条第2項、第27条第2項、第28条第1項、第28条第2項;公職選挙法 第99条)

(5) 政治団体「Changeこなん」の報告書の不記載
 「Changeこなん」の代表は塚本茂樹氏、会計責任者は森淳氏であった。実務は私設秘書が担っていたという。
 「Changeこなん」の政治資金報告書に(何者かが)、2020年8月~10月に事務所として使った賃貸ビル2室の家賃を政治収支報告書に計上していなかった行為が、不記載に該当する。また、「Changeこなん」が、政治団体「湖南市の明日を考える会」の街宣車を使用したことにつき、支出の記載がない点に関しても、同様。
 不記載の罰則は禁固または罰金。これは故意ではなく重大な過失によっても処罰対象となる。政治団体の代表者が会計責任者の選任・監督への相当の注意を怠ったならば代表者も処罰対象で、この処罰は罰金。いずれも、処罰された場合には一定期間被選挙権も停止され、公職者としては失職する。
(政治資金規正法 第4条、第12条第1項、第25条第1項、第25条第2項、第27条第2項、第28条第1項、第28条第2項;公職選挙法 第99条)

(6) 政治団体「湖南市の明日を考える会」の報告書の偽造
 「湖南市の明日を考える会」の代表は生田氏、名目上の会計責任者は会社役員氏であった。実務は私設秘書が担っていたという。
 「湖南市の明日を考える会」の事務担当者が、2020年の政治資金収支報告書の内容について、会計責任者に確認せず(了解をとらずに)に、会計責任者の押印をしたことが、有印私文書偽造に該当する。
 有印私文書偽造の刑罰は懲役。懲役に処せられると、被選挙権を失い、公職者としては失職する。
(刑法 第159条第1項;公職選挙法 第11条、第99条)

(7) 政治団体「湖南市の明日を考える会」の明細書不提出等(?)
 「湖南市の明日を考える会」の代表は生田氏、名目上の会計責任者は会社役員氏であった。実務は私設秘書が担っていたという。
 報道によると、おそらくは、名目上の会計責任者は支出・収入の管理に実際には関わっていない。そうすると以下の問題が生じる。
「湖南市の明日を考える会」の何者かが、2020年の収入・支出について、明細書・領収書等を「会計責任者」に提出・送付しなかった行為が、犯罪に該当する。
 この犯罪の罰則は禁固または罰金。これは故意ではなく重大な過失によっても処罰対象となる。処罰された場合には一定期間被選挙権も停止され、公職者としては失職する。
(政治資金規正法 第10条第1項、第11条第2項、第24条、第27条第2項、第28条第1項、第28条第2項;公職選挙法 第99条)

※タイトル画像は
個人との取引では、 『税抜き』と『税込み』どちらで請求書を作った方がいいですか?のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20151200344post-6381.html
です。

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