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プールの底でするキスは、塩素の味やで!『さようなら、コロンバス』

図書館が閉まっているので、本棚にあったフィリップ・ロスの『さようなら コロンバス』を読みました。

アメリカ東部の、ニュージャージー州、ニューアークを舞台にした、ユダヤ系アメリカ人の若い恋の発端から終わりまでが描かれた小説です。
この作品は、フィリップ・ロスの私小説っぽいデビュー作です。当時のユダヤ系アメリカ人の生活や文化が生き生きと描かれており、風俗小説(Novel of manners)と評価されることが多いのも納得です。

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この作品、物語自体も面白いのですが、各々のシーンがオシャレで頭の中でイメージするだけでも楽しいです。

例えば夜のプールでの二人きりのシーン。交代でプールに飛び込んでは、外で目を瞑り待っている相手に抱き着きます。(突然、冷たい身体を押し付けられるので驚く!ってのが楽しいのかな?付き合って間もない頃は、何やっても楽しいんでしょう。。)主人公は目を瞑っている時に、彼女が戻って来ないのではないかと不安になります。何かの隠喩なのかしらと思うのだけれど、言及するのは野暮なんでしょう。

ラストでは、実家に隠していた避妊具が、彼女の両親に見つかってしまい、父と母それぞれから手紙が届きます。そのことがきっかけで、恋人たちは喧嘩を始め、その会話の中でお互いが「愛していたのに。。。」と過去形を使って話していたことに気付き二人とも黙りこんでしまいます。別れの描写としては、最高にオシャレなやつですね。

他にも、無音にしたテレビの前で愛し合ったり、プールの底でキスしたり、視覚的に美しいシーンが多いです。(もちろん映画化されています。)ほんの少しですが、この二人他人の目を気にして付き合ってるように見えてしまい、鼻につくと言えばつきます。

今回は10年以上ぶりの再読で、初めて読んだのは高校を卒業して直ぐの浪人時代、大学に入ったらこんなオシャレな恋愛するのかな?と思ってました。今回の再読時は、結婚七年目で、子供が二人。読み始めて数ページで、「君たち、絶対別れるやん。」と思いながら読んでしまいました。
共感するには、なかなかタイミングが難しい小説です。

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