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キャリア形成についてどう考えるべきか

個人のキャリアについて、中長期のゴールをもってそこから逆算してプランを練るべきだという意見と、考えずにその時々で面白いと思うことをいればよいという意見があります。最終的にどちらを選ぶかは自分の好み次第ですが、それぞれで起こりがちなリスクを減らすために留意しておくべきことをまとめました。

こんにちは。瀬田です。

キャリアについて、

「計画はどの程度立てていますか?将来目指すゴールを設定して、そこから逆算して計画を綿密に立てたほうがよいですか?それとも、あまり考えずにその時々で直感を信じて「これだ!」と思うものにどんどん飛びついていくのがよいですか?」

といった相談を受けることが非常に多いので、キャリアは戦略的に考えるべきか、直感で進むべきかという点について考えてみました。

書き始める前に大前提として、最終的には個人の嗜好の問題なので唯一の答えがあるわけではありません。

自分が好きな方を勝手に選んでください。

そしてドラゴン桜でもそんなセリフがあった気がしますが、どちらを選んで成功しても失敗しても、それは自分自身の責任です。

最終的には自分で決めるしかないんですが、ただ頭の整理のお手伝いはできると思って書いています。

知略型か本能型か

考え方は2つです。キングダム風に言えば、知略型か本能型かの2つです。それぞれ以下のようなイメージで言っています。

知略型:中長期ゴールを設定し、そこから逆算して計画をたてる
本能型:その時々でよいと思った選択肢に飛びつく

ちなみに先に断っておくと、筆者は知略型です。
(よって自分と一緒な知略型を推すバイアスがかかっている可能性は十分にあるということは先に断っておきます。)

さて、双方の立場で逆の立場を批判的に見るとこんな感じじゃないでしょうか?

知略型に言わせた本能型
A-1 成功を運に任せすぎではないか?失敗したらどうするのか?
A-2 高い目標を設定していた方が成長速度が早いのではないか?(本能型だと成長が遅くなるのではないか?)

本能型に言わせた知略型
B-1 5年後や10年後、もっと先のことなんて考えてもわからないのだから時間の無駄ではないか?
B-2 目指している方向とは違う面白いことが降ってきた際に、見逃してしまうのではないか?

どれも「確かに!」という感じですね。
本能型を志向する場合はA-1,2、知略型を志向する場合はB-1,2については意識しておいた方がよいでしょう。

本能型でいく場合

A-1に対して

A-1 成功を運に任せすぎではないか?失敗したらどうするのか?

「失敗したらどうするか?」、つまりは、その時々で「これだ!」と思ったことを選択していった結果、どこかのタイミングで「これがやりたい!」と思うことが出てきた際に、既に手遅れな事態になってしまっていたときにどうするか?後悔しないか?ということは頭の片隅においておいた方がよいでしょう。
「どうするか?」ということについては、手遅れであってもその時点からやりたいことを何とか実現できないか頑張るしかありませんね。

こうなるリスクを低減するためには、(知略型ほど綿密に考えないにせよ、)たまには「将来(中長期的に)何をやりたいか」と考えるようにするとよいでしょう。定期的に過去・現在を振り返ったり将来について少し考えてみることで、少しでも早く「これがやりたい!」ということが見つかれば、手遅れになるリスクを低減することができます。
(もちろん知略型であっても、途中から「やっぱりこれがやりたい!」と元々考えていたこととは違うやりたいことが見つかることはあります。が、普段から考えている分、思いついたときには手遅れ、という事態は本能型に比べると起こりにくくはあるでしょう。)

A-2に対して

A-2 高い目標を設定していた方が成長速度が早いのではないか?(本能型だと成長が遅くなるのではないか?)

ただただ「早く走ろう!」と考えて走る練習するのと、「目標のタイムまであと1秒縮められるように頑張ろう!」と明確な目標のもとに頑張るのとでは、(それが十分に高い目標であれば)後者の方が明らかによい結果に結びつきそうですね。
本能型の人は、「面白いと思ったことにがむしゃらに取り組む」という人が多いでしょうから、明確な目標がある知略型と比べて成長速度が劣る可能性が高いという点は意識しておいた方がよいでしょう。
もちろん本能型と言っても、「気づいたらその分野の第一人者と呼べるレベルまでのめり込んでいく人」や「ハマるとすごい速さでキャッチアップしていくけどその分野が専門と呼べるレベルまではいかない人」等レベル感はマチマチでしょう。前者であれば成長を気にする必要はないですが、後者のタイプであれば、「その分野の専門家を名乗ろうと思った時に自分はどのくらいのレベルにいるのか、具体的にはどんな汎用性あるスキルが身についているか」といった点は意識的に定期観測するようにしておいた方がよいかもしれませんね。

また、目標の高さとは話がやや変わりますが、面白いことをやっても、アンテナが立っていないと何も得ることなく過ぎ去っていってしまうという問題もあると思います。
例えば、「一度企業で働いてから起業するのと、今すぐに起業するのはどちらが良いでしょうか」という質問をされることは結構あり、それに対して「自分は大企業で働いてから起業しましたけど、起業する際に必要なスキルはまったく別なので起業を考えているならすぐにやった方がいいです。」といった回答を聞くこともかなりありますが、これもそもそもその人にアンテナが立っているかどうかでだいぶ状況は異なると思います。
というのは、当初から起業を考えていたのであれば、業務のなかで、「外からはまったくわからなかったけど現場にはこんなに深いPainがあるのか、これはビジネスチャンスになりそう」といったインサイトを得られることもあるでしょうし、大企業を相手にビジネスをするのであれば、「社内稟議はこんなプロセスで進んでいくのか」、「企業向けに提案する際にはこのネタならこの部署の人にアプローチするのが(内情をふまえると)よさそう」といった土地勘を養うことも可能でしょう。一方で、将来起業するということがまったく頭にないと、ただでさえ忙しい業務の中で、大半のことはただただ流れていき何も記憶として残っていかないでしょう。こういった方が「企業で働いても得られることはないのですぐ起業すべき」とアドバイスしているのであれば、鵜呑みにしないようにしておいた方がよいですね。
アンテナが立っていれば、「それ自分にやらせてください!」と自分から積極的に手を挙げて将来活かせる経験を能動的に蓄積していくこともできるでしょう。

したがって、先にも書きましたが、この観点でも、本能型であっても多少は「将来何をやりたいか」を考えてみることをおすすめします。

知略型でいく場合

B-1に対して

B-1 5年後や10年後、もっと先のことなんて考えてもわからないのだから時間の無駄ではないか?

まずは、考えて見通せるところと、考えても見通せない部分はあるでしょう。
前者は例えば、自分がエンジニアをしている場合に、一般的にはシニアレベルに上がってくるとコーディングのような手を動かす業務の割合は減り、プロジェクトやチームのマネジメントの方に役割が移っていくでしょうが、どちらの方が自分に合っているかを考え、手を動かすことの方が好きであれば、引き続きそういったところにより関われるようなキャリアを探っていく、といったケースは見通せることの例になるでしょう。
一方で、例えば、「家族や親友等の親しい人が病気になったことをきっかけに、それを解決できるような分野(医療・製薬等)に生涯を捧げようと決めました」といった方は起業家等でもお会いしますが、こういった、きっかけになるような出来事が起こって初めて問題意識を抱いたようなものの場合は、(その出来事が起こっておらずまだ問題意識をもっていない)今時点でどれだけ考えても見通せるものではないため後者に分類されるでしょう。他の例としては、「10年後に流行っている領域で戦っていきたい」といったトレンド予測系の話も、今の延長線上で予測可能な部分は予測できますが、詳細レベルになると現時点では誰にもわからないこともあるでしょう。

考えても見通せないことについてはいくら考えても仕方がありませんから、そこに時間を使っていては確かに無駄になってしまいますね。
中長期のキャリアイメージを考える際には、「今時点で本当に考えることに意味はあるか、答えが出るか」という点は意識をしておいた方が効率的でしょう。
(個人的な感覚としては、こういった「それ今考えて意味あるの?」、「今考えても答えが出ないと言っているけど、本当にそう?(実はある程度は答え出せるよね?)」ということは非常に多いなと思っています。)

もう1つ、考えて見通せることについてもどれくらいそれに時間をかけるかという観点があります。
テスト勉強の計画にばかり時間をかけていて、結果勉強自体をする時間が足りなくなってしまう、計画をまったく立てなかった人に比べて勉強時間に大きな差が出てしまった、というケースは避けるべきですね。
この点については、計画と実行のバランス感を意識しておきましょう。
具体的には個人差が大きいので、自分の状況を振り返りながら考えてみる必要がありますが、知略型の人には綿密に計画を立ててから動こうとする人が多いと思いますので、あまり高頻度に計画ばかり考えすぎないように、「現状のプランに基づいて、◯◯をやり切るまではプランは振り返らずにとにかくやってみる」、「3ヶ月後まではプランは見直さない」といった形で、一定期間は考える作業ではなく、実際にやってみる作業の方に時間を使うように時間の配分を意識してみるのがおすすめです。

B-2に対して

B-2 目指している方向とは違う面白いことが降ってきた際に、見逃してしまうのではないか?

目標がしっかりしている分、「これは自分の目指すキャリアからは外れるから時間をかけない方がよい」と見切りをつけてしまって、結果的に(直感でいけばやっていた)面白い案件を逃してしまうということは確かにあり得る話ですね。
一方で、リソースが本当にないときは、将来像から逆算して重要なところだけにフォーカスすることは非常に重要なことですので、一概に良い悪いと言い切るのは難しいところです。その時その時で「面白い!」と思ったことを全部やっていった結果、本当は抱いていた「将来こうなりたい」という像からは遠くなってしまう、達成できなくなってしまうというのは逆に本能型のリスクと見ることもできますので、要はこれもバランスが大事ですね。

知略型の場合は、自分のリソースを見つつ、「中長期ゴールから逆算した計画には入っていないけど面白そうなこと」にも一定程度は意識的に足を突っ込むようにしておくと、上に述べたようなリスクを低減することができるでしょう。
そして一見関係なさそうなことをするのが必ずしも無駄ということもなく、ある分野の知識を他の分野にもってきた結果生まれた好事例というのも世の中には多数ありますし、むしろ自分が主軸としている分野にも転用できないかという視点で参加すると学びとして得られることをより多くすることもできるでしょう。

まとめ

といった感じで知略型と本能型のそれぞれについての留意点をみてきましたが、まとめると以下のような形になります。

本能型の場合
・「やりたいことが見つかったときには手遅れだった」をなくすために、たまには「将来何をやりたいか/将来どうなりたいか」を考えてみましょう。
・「なんとなく興味があることをやっているが、マーケットバリューを考えると全然上がっていなかった/人より成長していなかった」をなくすために、「その分野の人と比べてどうか、汎用的なスキルが見についているか」等たまには振り返るようにしましょう。

知略型の場合
・「計画を考えるばかりで行動量が不足してしまった」をなくすために、「現時点で見通しを立てられることか/考えるべきことか」を意識して考えても意味がないことに時間を割かないようにする、そして、「一定期間は計画は振り返らず、とにかく行動すると決める」等、強制的に時間配分が適切になるような仕組みをつくるようにしましょう。
・「目標とそこに至る過程が明確な分、少しズレるけど面白いことを見逃してしまい幅が広がらない」といったことをなくすために、一定量は目指す将来に直接関係がなさそうなことにも足を突っ込むようにするとよいでしょう。その際も、「(目標とする)自分の分野ではどう応用できるか」という視点をもつと、より得られるものを大きくすることができるでしょう。

重ねてになりますが、どちらのキャリアを選択するかは最終的には自分で判断すべきことですが、どちらにも一長一短ありますので、うえにまとめた点等を頭の片隅において、是非後悔のないキャリアを歩んで頂ければと思っています。

さいごに

誰かを参考にする場合
キャリアを考える際にロールモデルを探す、「◯◯さんみたいになりたい!」といった形で著名人等のキャリアを参考にする人も多いと思います。

気をつけた方がよい、ということまではないのですが、そういった場合に頭の片隅においておいて方がよいのは、「他人からの見え方を意識して、敢えて異なるタイプに見せている」人もいるということです。

知略型で言えば、特に何も考えずにキャリアを歩んできた結果たまたま成功を勝ち得たのに、さも始めから考えて計画的に歩んできたかのように見せている人なんかがそうですね。自叙伝なんかによくありますね。

本能型で言えば、めちゃくちゃ考えて計画的に行動しているのに、まったく考えずにいつも直感だけで動いた結果うまく行っていると見せている人等がそうです。人一倍テスト勉強していい点を取っているのに「全然勉強してない」と言う人なんかのイメージですかね。

「まわりにどう見せたいか」はセルフブランディング等の観点で重要ですから否定するわけではありません。ただし、参考にする側としては、人の話を鵜呑みにすると、「聞いてたんとちゃう!」という結果に繋がりかねませんので、人の話はあくまで参考として半分割り引いて聞き、最終的にはあくまで自分の判断として、「どちらの方が後悔が少ないか」といったことを考えながら決めるようにしましょう。

本能型で行く場合は特に
これは個人的な意見という側面が強いですが、上に挙げたいくつかの留意点のなかでも、「本能型で中長期的なゴールを何も考えずにやってきた結果、ふと気づいたときには引き返せないようなところまで来ていて、自分の興味のわくものがその延長線上にまったく存在しない」といった状況に陥ってしまうリスク(上のA-1)は一番厄介だと思っています。

めちゃくちゃ高頻度に考えろというわけではありませんが、もし今就職活動や転職活動等をやられているのであれば、よい機会ですので是非少し先について想像してみてください!

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