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ヒルビリー・エレジー

エ~ッ、ヒルビリーと云いますとですなぁ。
私どもは、カントリーだの、ホンキートンクだの、ブルーグラスだの
とあの辺りを思い浮かべるものでございますが、
なんですな、そういった日本人の頭に浮かぶ音楽以外にもいろいろとあるようでして。

今回は、そのヒルビリーにまつわる駄文なんぞをひとつ。
ご披露しようじゃないかということで始めさせていただきます。

と、前フリだけは楽しそうに書いてみたが、楽しくはないな。
どちらかと言えばハード、キツイが妥当な感想。

ヒルビリーエレジーを読んだ。
副題は~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~

本の内容自体はある種、アメリカ社会におけるある階層の若者のサクセスストーリーだ。
階層という書き方をしたが、正直なところニュアンスは異なる。
ヒルビリーと呼ばれるアパラチア山脈周辺の住民たち。
(あくまでもその一部ではあるが)
平たく言えば“田舎者”といったニュアンスがそれかな。
アメリカでのヒルビリーという言葉はそんな記号としての意味合いを持つのだろう。

その多くがアイルランドのスコットランドに近い地域出身ということから
スコッツ・アイリッシュとも云うらしい。
映画「ザ・レブナント」でレオナルド・デカプリオが演じた
主人公ヒュー・グラスや1960年代に放映されたドラマや
1990年代に公開された映画「じゃじゃ馬億万長者」を
思い浮かべていただくとおおよそのところは見当がつくかと。
ちなみに「じゃじゃ馬億万長者」の原題はビバリーヒルビリーズ。
(ビバリーヒルズのヒルビリーで、成城の◯◯者ってニュアンスですね)

他にもホラー映画に登場する一見良い人風で実は恐ろしい田舎の住民や
どこかやぼったい単純な登場人物なんかの原型もこのヒルビリーさんたちではないのかな。
そんなところからも、ニューヨークとかロサンゼルスとかに暮らす、
前向きで元気なアメリカ人(それこそ偏見?そうね単純過ぎる見方だわ)からどう思われているかが解るような気もする。

信心深く、朴訥で、マジメであるが故に、融通がきかず、
変化を恐れる部分もある。諦念なのかな?

大統領選挙では、ヒルビリーに代表される白人労働者が
トランプ大統領の支持者層として注目を集めてもいる。
他の候補を応援しているリベラル派の人々にとっては
“見えざる敵”なのかもしれない。

まだ見てはいないが2020年には
netflixで映画にもなってるみたいだ。
監督はロン・ハワード、んっ?ロン・ハワード??
ダ・ヴィンチ・コードの監督さんというか、あれだよ。
アメリカン・グラフィティの主役の一人を演じた俳優さんだ。

あのときの設定では、都会の大学にいくはずだったのが、
彼女と暮らすために地元に残るという決心をした青年の役。
うん、なんとなくヒルビリー・エレジーに通じるような感じだな。

アメリカで最も厭世的な社会集団は大学を卒業せずに、
労働者階層の一員として働く白人アメリカ人なのだという。
貧困に苦しむラテン系移民や今なお残る差別に苦しむ黒人よりも、
さらに明日への希望を失っている白人労働者層。

翻って己自身に目を向ける。
あるのか夢は、ま、とりあえず前へ、先へ、面白そうな方へ。

さて、やるか!

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