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セリフたち

懐かしい曲が流れていた。4半世紀も遠くのあの夜が蘇った。
久しぶりに思い出した彼女は、雨の中の彼女だった。
翌朝、鏡の中にはだらしなく歯ブラシをくわえた
あの日の抜け殻が映っていた。
情けなくなるほど純真でもなかったが、鼻の奥がツンとなった。
頭の中で昨日の曲がリフレインしている。さぁ仕事に出かけなくちゃ。

どこかで道を間違えたようだな。
いやいや、どこなんてもんじゃない、最初っからだよ。

youtubeの中のtokyoは80年代
涙が出るほど愛しい色をしていた。

あるよ。恨みも辛みも。だが、その内訳までは覚えてはいない。もしかしたらそれだって忘れるかもしれない。でないとその先のなにかが見えてこないような気がするんだ。

「会いにいったりはしないのか」
「嫌なことを言うんじゃないよ。そこまで無神経ってわけじゃないんだ、オレだって」
「素直じゃないんだな」
「それ、褒め言葉ととっていいのかな」

「オレの中には神様が住んでいるんだ、いつもは居眠りしてるんだが、今日は起きてるようだ」
「そうなのか、それはおめでとう。おれもウレシイよ。これから始まる時間に耐えかねてお前の神様が泣きわめくところを見るのがな」
「いいたいのはそれだけか。だったら俺からの忠告だ。最後まで起きてるといいなお前の神様が」

「100年かけた絆を数秒で葬り去る。それくらい言葉の行き違いはこわい。そういう話をしようと思うんだ」
「いいね、好きなテーマだ。でも、それだったらいっそ言葉なんてコミュニケーションを発明しなけりゃよかったのにね。って話」
なるほど、結論はいつも脊髄反射でくだされる。おいおい

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