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友だちになりましょう  と言われたこと

若い友だちが遊びに来てくれた。
まだ、3度ほどしか顔を合わせたことのない人のことを
友だちといってしまうのはどうかとも思うが、
ボクは彼のことをそう思っている。

うれしいのはもちろんだし、意味もなく楽しい。
いや意味はあるか。まるで中学生だ。
それとも中学生はもっとアレかな。
そんなことはどうでもいい。

さて、友だちつながりで話は
全然違うところに飛ぶ、大昔まで飛ぶ

45歳以上の人ならほぼ知らない人はいない、ある人生の大先輩。
芸能人枠とするか、文化人枠?いっそテレビ業界人?
まぁ各種ジャンル対応の有名人だと思ってください。

その彼に
「それじゃあ、あなたとボクは友だちになりましょう」
と切り出されたことがある。

戸惑った。「何この人?」とも思った。

なんと答えたかは覚えていない。
九州へのフライトがあるというその人は、
赤坂から羽田空港へ向かうタクシーの中でずっと喋り続けた。
空港についても搭乗の寸前まで話は続けられた。ほぼ一方的に。

その時、ボクが何を話したかはっきり覚えていないが
若輩者のある問いかけに、その人はしばし口をつぐみ、
それまでの早口がウソのように、すこしゆっくりと、
そしてきっぱりとした口調でこう答えた。

「ボクは そうは思いません」
思いませんの部分が妙に断定的だったのは気のせいか。

そこから、なぜ自分がそう思うのか、そう思うに至ったのか。
甲高い声で懇切丁寧に時間をかけて説明してくれた。

そのあまりの親切さ、丁寧さににちょっと辟易もしたけど、
とても真剣で説得力があったことは、印象として残っている。

印象だけで内容を覚えていないのは、
これがまたボクのいいところなんだけどね。

多分友だち云々については、
どこのどいつだか知らねぇガキと二人っきりで
タクシーになんざ乗っちゃいられねぇや、
だったらいっそ、こいつを友だちってことにして‥‥。

というまぁシャイな江戸っ子流の洒落だったんだろうけどね。

今日、我が家に来てくれた友だちもシャイで誠実な人だ。
類は友を呼ぶってこのことか?
なに、図々しさをデフォルメしたようなお前が言うなって。
いやいや友だちっていうのも悪くないなって話さ。

ねぇ、永さん。あの時、僕に言ってくれましたよね。
「友だちになりましょう」って。

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