見出し画像

●BEATLESと笑い (BEATLES ESSAY 12)

僕は、小学校の4年の時から、ビートルズと共に育って来た.映画のヤァ・ヤァ・ヤァやHELP!で育って来ているいるので、ビートルズ,やイギリスのジョークや、皮肉、それに、時に、かなりきついブラックジョークも解ってしまうのだが、例えば、ある人の、身体的欠点や、おかしい癖などを、ちゃかしてしまったりする事などは、今の常識ではタブーだろう。でも、イギリス人はそう言う気質を持っているのだと思う.オスカー・ワイルドの童話、素敵なロケットの話など、ちっとも素敵ではありませんでした。かえってだめな位のものを素敵という表現、僕は好きです。味が良くて、おいしくても、うむ、まずくはないとか、うまくないとは言えなくない.とか、しかも口をあんまり開かないのです.寒いからです.僕が20年程前の記録的な寒波の冬に、ロンドンから、リバプールまで旅をしたことがあります.その時、ロンドンの駅で、雪の為、僕の乗った電車はプラットホームで長い時間待っていました。ほぼ満員の乗客はただじっと待っているのです。電車は暖房が切れていました。2時間位待ちました。彼等は何も話さないで、じっと耐えていました。日本だったら、きっと、なんとかしろ、などと、駅の職員にくって掛かっている映像がテレビに出たりしますが、イギリス人はただただ耐えるのです。2時間を過ぎた頃放送で電車が替わって隣のホームから出発するというアナウンスがあると、みんなどどどと大きな荷物を持って大急ぎで隣のホームへ移って行ったときはおかしくて笑ってしまいました。なんか、とても、モンティ・パイソンの1シーンの様でした。そうそう、モンティ・パイソンの笑いはまさにビートルズのお笑い版でした。その番組が放送されだした頃、いっぺんで僕はファンになりました、ジョン・クリーズが特に好きでした。その時、番組の半分からはタモリが出ていて4カ国の麻雀中継などをしていました。その番組は僕のお気に入りでした。でも、当時、あれだけのブラックジョーク、しかも、中には、イギリス王室を馬鹿にしたのもあったのです。それをなんとBBCで制作しているんですからたいしたものです。日本で、NHKが天皇を馬鹿にしたら、大変な事になります。
随分、考え方が違うものです。
 イギリス人はどんなつらい事も笑い飛ばす、様な気がします。ビートルズの最初の録音、That'll be the dayの日は自分の死ぬ日なのです。最初の曲がこれですから、死さえ笑い飛ばしているのかも知れません。ジョージの最後のアルバムが発売される時、僕は、きっと暗くて、とても聴いていられない様な作品に仕上がっていると思いました。しかし、その作品を聴いた時、内容はともあれ、あまりの明るさにびっくりしました。ジョージはすごい人でした。しかも、最後の曲において、物質文明を否定しているのです。皆は洗脳されていると警告しているのです。普通それは、アメリカの物質文明の事ですが、彼は自分の小学校時代からの洗脳から警告しているのです。これでは、David Harvard Lawranceの哲学に近いものを感じさせるのです。笑い飛ばしながら、自分の信じる事を言い切って、死ぬ。何とも素晴らしいジョージの死に方です。Art of dyingとしては最高ではないでしょうか。素晴らしい男でした。とっても寂しいです。

2006年12 月 26日16 時15 分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?