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おじさん達はヒーローだ

この日は大潮で、めずらしく遠くの方まで浅瀬が広がっていた。ふと一人なにかを探してる様子の人が見える。なんだろう??この周辺の海は昔からの集落があり、よく誰かしら面白いおじさん、おばさんに出会うのでいつも声をかけるようにしている。

"おじさーん、なに探してるんですか??”
”ミミズ!!ミミズ!!ミミズさ〜”

おじさんは釣り用のゴカイを探してる真っ最中だった。餌はいつもゴカイを使うのか聞いてみると、おじさんの目をクワァっと開いた。

"俺は、ここの海の魚という魚の胃袋を全部バラしてきたんだ。そうするとな、どの魚がどの時期にどの餌を食べたいかわかるからさ”

おおおおおお、なるほどです。さすがです先輩。

"うり、白い鳥見えるか?いまから海に突っ込むぞ。" 

すると小さな鳥が急降下、海にツッこんだと思ったらパッと上がってきた。それを何度も繰り返す。

"コアジサシといってな、オスもメスもかっこいい面構えなんだ。あいつらはもう少し潮が上がってくると群れで小魚を狙いにくるぞ。そしたら俺はその小魚を狙ったガーラを狙いにいく。"

おおおおおお、まさに自然児の観察眼と知恵袋。その日おじさんが、キラッキラに輝いてみえた。


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