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チャーハン先輩

 スマホで甲子園の映像を見ていた(見てたと言うよりは見ながら作業してる人の映像が見えた)それで、ひょんなことから高校まで野球をしていたことを久しぶりに話した。今となってはスポーツをやっていたとはあまり思われない。当時は坊主頭だったからすぐ分かっただけかもしれないが。僕がいた高校は高一の夏と高二の春に甲子園に出場している。当の僕はベンチ入りも出来ずスタンドで応援していた。野球に対しては苦い思い出が多いのだが、自分が高校まで野球をしていたことを伝えた時になんとなく思い出していたことがある。
 部員が100人いるチームだったのでメンバーからあぶれる人も多いし、試合に出ることを目指していない人たちも多くいた。(ように見えた)実際のところは分からないが、どちらかと言えば遊んでいるように見える人たちも多かった。(ように見えた)それで高一の時にその遊んでいる(ように見えた)ひとつ上の先輩に話しかけられた。チャーハンというあだ名の人だ。背は160センチくらいだろうか。よく日焼けしていて、すばしっこい。なのでもちろんポジションはセカンドだ。たまに陰険なこともするが、どちらかと言えば面白い部類に入る先輩だった。おい、お前は甲子園に行きたいの?と言われたので、もちろん行きたいですと答えた。チャーハン先輩の返答は以下のものである。そうか、今すぐ電車で甲子園に行ってこい。すぐに行けんじゃーねか。というものだった。甲子園に行きたいか?と言われれば高校球児だったら、もちろん全国高校選手権大会を目指す訳であり、つまり甲子園出場を目指している。しかしチャーハン先輩は違った。甲子園に行きたいんだったら電車で行けるんだから、電車で行ってこいというものだった。そこには今すぐにだって行けるんだから、選ばれるのを待つんじゃなくて今すぐ行動してみろと何か、メッセージでもあるみたいに思えた。(これはきっと、含まれていないだろうけど)僕はなんだか拍子抜けしたが一理あると思ったし、笑ってしまった。笑ったら、笑ってんじゃねぇぞ、てめぇと理不尽に怒られ罵声を浴びせられた気がする。

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