理想の米粉パンに会えない

私は学校給食で出ていた米粉パンが好きだった。他のパンにはない独特のもっちり感が良いのだ。給食で出る度に自分の分を味わって食べ、余った分はおかわりしようとしていた。しかし普段は余りがちな給食のパンも、変わり種だったりすると急に争奪戦になり、じゃんけんに弱い私は何度も悔しい思いをした。お前たち普段はパンを残すくせに、と普段からパンが好きで食べていた私は恨みがましい目を向けていた。食い意地のはった肥満児の思いをなめてはいけない。

それだけ好きなら家でも食べたりしたのかと言えばそうでもない。お金とは縁遠かった家なので、外で何かを買って食べること自体が少なかった。ごはん食家庭なうえに当時食べていたパンは最安値で買えるプライベートブランドの食パンやスーパーで時々配られていたパンの耳だった。時折母が買ってくれたセールの菓子パンで大喜びする子供だった。さらにそもそもの問題として、私が子供の頃は米粉パンを常に売っているパン屋は珍しかったのだ。

そして時は経ち大人になり、自分のバイト代というおこづかいを得られ始めた辺りで、パン屋に米粉パンが並んでいるのをよく見るようになった。懐かしさに任せ米粉パンを買った私は、わくわくで一口かじり、落胆した。

これは米粉パンじゃない。

米粉パンという名前のパンを買っている以上それは確かに米粉パンなのだが、私が食べたいものではなかった。もっちり感もなくただの白いパンだった。そもそも給食で食べていた米粉パンは白くなかったのだからその時点で気付けという話なのである。

それからは新たなパン屋に行く機会ごとに米粉パンを購入するようになって、たまたま最初に買ったのがもっちりしてなかっただけ、ということは知った。店ごとに全然違う食感なのだ。私が求めるのはもっちり米粉パンの方である。諦めずに探そう、ともちっとしたものや、またまたただの白パンめいたものやらとの出会いを繰り返すものの、未だに給食の米粉パンに近いものには会えてない。理想の米粉パンよいずこに。

私の理想の(思いでの？)米粉パン探しは続くが、今のところで一番のお気に入りは出来ている。もっちり食感とほのかな甘味、バローで買える米粉パンだ。白くて丸いあのパンをもちもちかみしめるのが楽しい。私が安定して食べ続けるためにも、見かけたらぜひ買ってみて欲しい。それと共に、ぜひ給食の米粉パン情報もあれば教えてください。