さくらんぼ計算を強いられて不合格になるテストの話

ツイッターで話題になったのに便乗して、もうこれはマジで一個したためなければならんと思った次第です。もう若干遅れてる気もするけど。

片田舎の普通のリーマン家庭に生まれた公立校の小学一年生であるところの妹(=我が家の次女)ですが、二学期から通常学級を徐々にリタイヤして、現在短時間同伴別室登校と欠席を半々くらいで暮らしています。理由をざっくり言えば発達凸凹かHSC由来であると思われる環境不適応なんですが、長くなるので割愛。そのうち書きます。

で、さくらんぼ計算。これを通常学級で教えているころにはすでに別室登校をしていたというのもあるのかも知れませんが、彼女はこれが理解できない。これ、繰り上がりの足し算が理解できないんじゃないんですよね、それはもうこっちがびっくりするほど理解してる。
姉(=我が家の長女)が1年生の3学期に学校から課されて30分以上かかって泣きながらやっていた100マス計算を、繰り上がりなしで初見7分、繰り上がりありで初見14分で、常にほぼノーミスでやる。繰り上がりを何度かやってるけど、ノーミス8分が今の最高記録。多分まだ伸びる。先生からもらってくる教科書準拠の業者プリントなんか、3~5分も経てば裏表全部終わってる。ごく稀に間違えることもあるけど、ほとんど全部合っている。

だからこそ、さくらんぼ計算をやらねばならない理由について彼女は納得しない。ものすごく拒否する。「頭の中でスッと答えを出せるのに、なぜいちいち手数を増やさねばならんのか?」とか思ってるかどうかはさておき、さくらんぼを指示すると「わかんない」と言う。これは九分九厘上記した彼女の特性が大きいとは思うんですが、「なぜそうなるのか」「なぜそうするべきなのか」の理屈を理解→納得までしないと、行動に移すことができない。
10の補数を理解できていないというわけではないんですよね。だってそれがわかってないなら1学期の「いくつといくつ」の単元で躓くはずだし、短時間で100マス計算ができるはずもない。
ところであまりの演算能力を前に「こいつスゲーな」と思ったド文系の私は、ありあまる自宅学習時間に、フィボナッチ数列を利用することで17番目の和が必ず同じ数になる「17番目の秘密」なんかの名前で通ってるプリントを低学年向けに作ってやらせてみたこともある。当然のようにノーミスで完走。あれ、単純な足し算を全部で150回繰り返すんですよ。繰り上がりの有無関係なしに。それを投げ出さずに出来てしまう。閑話休題。

まあそういう子が、2学期の確認テストを頑張って登校して別室で受けたわけですよ。

ドン。

不登校児童への恩情なのかどうかはわかりませんが、点数をあえて書かずに返されました。点数書いてないけど不合格です。全部丸ついてるけど、不合格。
(※2⃣の項目で桃色フェルトペンで丸を付けられたのは、これもやらねばならないよ、というテスト時の指示が抜けていたがためのもので、返却後に再回答したものです)
3⃣で、さくらんぼ計算をやっていない。そのために、1問につき2点が引かれました。8問あるので16点。90点合格の84点、はい不合格。

バカか?

いや言葉悪いですけど。バカか?(2回言った)
そりゃ繰り上がりの足し算で躓く子には有効手段でしょうよ、さくらんぼ計算。授業で取り上げる意図については否定しませんいくらなんでも。10の補数を学ぶことの必要性もわかりますよ、後々位がどんどこ上がっていくんだもの。わかってた方が理解度は高いかもしれん。たしかに。

でもさ、今この時点で、減点して不合格になるほどこの方法にウェイトを置くのはどうなんだ。出来る子が、おそらく脳内で10を作る方法以外の何らかの方法を用いて演算をしている(けど語彙力がないので演算方法を説明することはできない)頭の回る子が、不合格扱いされる。算数嫌いになるぞ、下手したら。
ていうかそもそも、解法をひとつに強制される算数って数学の基礎としてどうなのさ。解法を一つに絞らないと出来ない子が混乱するからかもしれないけど、それで今、現在、出来てる子を混乱させてどうすんだ。
ちなみにこのテスト、直しを提出すれば合格扱いになるけど、妹は絶対に納得しないので書くことができない。よって不合格のまま、二学期が終わる。ちなみに意に沿わぬことを強制するとパニックを起こすので、詰んでいる。ちくしょう。

……とか思ってたところで見つけた。

中学受験の図形問題の話なのでほとんど関係のない話なのだけど、文中のここ。

小学生を指導していると、ときおり先天的な資質を感じる子に出会う。どれだけ難しい問題でも、いきなり答えをポンと書いて正解する。ただ、どうやって解いたの? と尋ねても、どういう思考過程で正解できたかの説明は不得手。それでも大人が思いつかないような発想や切り口を考えられるのだ。
 もし、わが子にそうした素質を感じるならば、壁にあたるまでは自由にやらせたほうがよい。下手に誘導したり、型にはめたりすると天賦の才能を失わせる危険性があるからだ。

中受専門塾の代表さんが言ってるんだよこれ!
壁に当たるまで自由でいいじゃん!

桁数が増えて躓いた時、そこで初めて10の補数に立ち返れば済むだけじゃん!!

うちの妹は、1年生2学期のテストで算数の合格証をもらえない。通知表もどうなるかわからない。そもそも不登校だし。
でも学校がどう受け止めようと、うちの子はこのままでいいじゃん、と思った話。でした。どっとはらい。

余談ですけど、自宅学習で「6:30」を「6じ30ぷん」と書く癖をつけた妹はこのテストの本番前、同内容のプリントでの反復練習当初、最後の2問に「7じ30ぷん」と「4じ30ぷん」と書いてバツがつきました(※と記憶してるんですが、もしかしたら△だったかも。でも絶対マルじゃなかった。該当プリントが見つからなくて確認が取れない)。なんでじゃ。「そのように教えてないから」なんてアホな理由じゃないことを願う。

#さくらんぼ計算 #算数 #小学生 #不登校 #HSC

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