見出し画像

⑯「シン・開業医心得」 第2章の1より 看護、介護の人手不足

その他の、こじこうじの作品へのリンクは
    太陽の秘密 | こじ こうじ |本 | 通販 | Amazon
    アベマリア | こじ こうじ |本 | 通販 | Amazon
   アペリチッタの弟子たち | こじ こうじ |本 | 通販 | Amazon

   Youtubeに紙芝居絵本「ものほしざお」があります
    https://youtu.be/iGRwUov3O74?si=bH2ZszSCB6b6fquq 


「シン・開業医心得」 目次

プロローグ
第1章 シン・開業医心得 
 1 世間で時々聞く「医者に殺されないように」という文句に殺されないように
 2 開業医での経験
第2章 開業してようやくわかる医療制度の問題点
 1 たまに話題になるが、よく知られていないことがらについて
 2 医療、介護制度の盲点
エピローグ 提言
 

第2章の1より 

看護、介護の人手不足
 
 人材派遣会社というのは、今や優秀な人材を紹介する場ではなく、自分で仕事を探せない人、あるいは、どこの職場でもなかなかやっていけない人を紹介する場になっている、というのはいいすぎだろうか?
 いや、「人材派遣会社は優秀な人を紹介してくれる場」という最初のぼくの思い込みが間違っていただけだろう。その間違いは、勤務医をやめて、直接雇用に携わらなくてはわからないことだった。そして、それだけに、人材派遣会社は、労少なくして多くの利を得る「やくざな」仕事だと、今では思う。この間違いが訂正されるときが、いつかくるだろうか?
 一般論を話すと、常にそこに例外がふくまれる。特に、批判的な話をすると、偏った考え方に陥りやすい。だが、ここでは、それを承知で、あえて批判的な一般論を紹介しようと思う。
 勤務医のとき、看護師不足の原因のひとつは、「看護師のやっていいことが、法律で制限されすぎ、就労意欲を落としている」ことにあると思っていた。欧米で(あるいは実は如実に、医療者不足の途上国で)のように、看護師も今の日本の医師が独占的におこなっている、処方や処置・手術をまかせたほうが看護師の仕事を広げ、現状打開の鍵になるだろうと考えていた。
 一方、開業医になると、看護師よりも介護士と接する機会が増える。同じ国家資格でも、数年間の学習と厳しい国家試験で取得する看護師の資格と、数か月の学習でほぼ全員が取得できる介護士の資格では隔たりがとても大きい。
 そして、今のところぼくには、介護士不足の原因のひとつは「仕事ができる介護士がそもそも少ない」ことにあると思わざるをえない。
 よく「仕事しないなら、注意すればいいじゃないか」「仕事ができないなら、教育すればいいじゃないか」と言われる。だが、実は、この世の中には、注意しても直さない人、教育してもできない人が、たくさん存在し、その割合は、看護師の中よりも介護士の中のほうが圧倒的に多いのだ。
 そんな介護士の中で、決して多くはない、仕事のできる人が一人いたとする。その人は、職場に、仕事しない人がいた場合、その人の分まで仕事をする。すると、時に「しんどくて腹が立ち、仕事しない人を表立って攻撃する」。すると、その人は、「他のスタッフを攻撃する悪い人」みたいな扱いになる。また、そのため、仕事のできる人も、自分の仕事のみして、「仕事しない人の対処は偉い人任せましょう」とその仕事を代わりにしたり指導したりすることをやめる。そして、解決方法をふられた、「偉い人」は、所詮、介護業界の人たちは、低レベルの人たちのふきだまりさ、とうそぶいて、あきらめる。
 結果、介護業界全体が悪習を黙認し、結局、利用者さんがかわいそうなことになるのだ。
 介護士がさぼり、利用者をみない。
「偉い人」や行政はIT化にかまけ、利用者をみない。
 いったい、日本の介護の未来はどうなるのだろうか?
 このことについて、ぼくは第3章で、もう少し細かく書くが、ここで少しだけ紹介しよう。
 
〈介護に関する意識を知るための3つのアンケート〉
① 「夜勤のときに、分厚くおむつをあてることで、夜勤帯におむつ交換をしない」ことに賛成か反対か?
② 「あなたは、嚥下に問題がある利用者さんに、主菜や副菜と共に、デザートも一緒に混ぜて食べやすくして提供することは、いいことだと思いますか?」
③ 「要介護者が、食事のとき、服を汚さないようにと、エプロンを首からかけられさらに、エプロンの先はテーブルの上にひろげられ、そこに食器が置かれる」ことを拘束と思うかどうか?
 
 これらのアンケートについて、介護士だけでなく、介護に関わる全ての人、介護の指導あるいは経営の立場にある人、ケアマネや医療者や行政の介護担当者、あるいは介護に対してコメントやアドバイスをするすべての人たちに、答えてほしいと思う。
 このアンケートは、介護におけるやさしさの感受性の指標となる。実は、そもそも、性格的に、自然に「あるものがみえていない」人たちが少なくないからだ。
 あなたは、あるいはあなたの施設では、これらのことを、どう考えますか?
 考えたことさえありませんか?
 判断保留で、はい、いいえでは答えられないですか?
 


①へのリンク: ①「シン・開業医心得」 プロローグ|kojikoji (note.com)
⑰ヘのリンク: ⑰「シン・開業医心得」 第2章の2より 正しい治療の選択方法|kojikoji (note.com)

#創作大賞2024 #エッセイ部門


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?