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ほのうのむこうみどり

いまだれかのいきが ふっとちいさくなって そのあとにもじかんがながれる ベッドはいきのぶんだけかるくなり シーツはにどとしわにならない ひじょうとうみどり とてもしずかにひかっている いきているひとたちはねむる よみかけのほんにはかすかなおりめ あなたがつくった さいごのさんかっけいは ちからずくではない きれいなかたち わたしたちは けしきをみるもののように むくちで それからちんもくをおそれて しゃべりだす ひじょうとうみどり あのなかのただひとりの にげだすひと

    • つばめがいる星

      あのつばめ四羽が吸っている 空気の量 この小さな雛たちは 奪っているのか 濾過しているのか 緑葉に反射する光の加減は そのどちらともだよと いうような 揺れ方で 親鳥を誘う 久しぶりに怪我をした 指先に 小豆ほどの血が顔をだす それにも 宿る光 #詩

      • あなたがいた夏

        あなたのしをかってにおもって これからひとつのことをかきます それはあなたのしにはとおくおよばないけれど わたしのきもちではない かかれたもじは、あなたのしっていた いきるいみではないけれど わたしをときおりいかすものです あなたのあたたかなくちうつしには ほんとうはろかしききれなかった つめたさがまじっていたはずで そうやっていかされたいのちがそらをまっていた しらずにこずえをきづつけ いみをもとめずむしをたべ そのなきごえにおびえるものがあったこと またみずをのみ

        • 偶然の飛行機

          神様なんているはずないけれど今なにかに祈っていた十二錠の薬 病室の窓へスマホ向け電波を探す偶然の飛行機 点滴の跡が残る腕に汗歩く歩け見たこともない紫陽花 覚えていた星座を見失う坂道がつくる夜は大きい 昇っていく風降りていく風その真ん中の風木工所からする木の匂い #短歌

        ほのうのむこうみどり

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          交差

          これは音楽ではないのに 流れている音を立てている 気づかれないように葉が揺れて 動物が身震いする仕草で 枯れ葉が幹から落ちてきた みたのではないよ 聞いたのでもないよ 私は泣いていなかったし 喜んでもいなかった 普通にカバンを持って歩いていた 約束の時間へ歩いている途中 空気に少し火をつけられて 風にもまだ 上手く運ばれられない 葉が足元へ 聞き取れない地面に触れた音に 生きているって こういうことなんだと ぼんやりそんなことを考えた 拾い上げた一枚の

          雨の履歴

          アスファルトに落ちた雨を 土の上に落ちた雨が呼んでいる 同じ夏の夜 空にあったものたちが 地上に集まる 誰かのいのちだったもの 一度だけ葉脈を伝ったことのあるもの 風にのったことのあるもの 海から山からきたもの 蛙の寝床だったもの 絡まる蔦を ほぐしてきたもの 人はいつからこの空から降るものを 雨と名付けたのだろう 私は今言葉を借り にぎやかな音たちの中で ひとり階段を上っている 肩に水滴 その中にある無数の旅を 片手で払えば 行方はもうわからない 降ると

          雨の履歴

          言葉の薪

          ねえ何で言葉があるんだろうなあ 気落ちを伝えるため 気持ちをはぐらかすため 気持ちを落ち着かせるため それとも気持ち以外の何かを知るため ねえ何で言葉にしてしまうのかなあ 言葉の嘘と本当は言葉の手足で 私はその身体を持て余してしまう ねえ黙っているということは 言葉の間と間のことですか それとも言葉は沈黙と沈黙の間のことをいうのですか 生きるために言葉が必要なら 沈黙もまた 大切なものらしいと そうらしいとおぼろげにはわかるのですが 風は言葉を持たな

          言葉の薪

          春のノート

          学べば空が離れていく 持ち歩くノートに一行も言葉を書かなくなる ふとした瞬間 目に入った緑に混じる桜 花は緑と共に雨上がり 風に揺れている あの太い木の枝のどこに そんな力があるのか 地下に流れる美しい力 誤って零した一杯の炭酸水も それを担っていたのなら 誤りなどないのかもしれない 言葉を待つ間 空を見ていた 飛行機がゆっくりと雲の間を 過ぎていく 時刻通りに出発したのだろうか ここからは急いでいるのかどうかも 分からない いつのまにか視界から消えてい

          春のノート

          うたにすがる

          窓硝子が 霧雨を湛えたまま 夜明けを遮っている 朝陽が色を抱えてくる 夜通し本を読むわけでもなく 人が作った歌を聞いていた あの日の記憶を思い出す旋律 何故歌は思い出を吸い込んでいるのだろう まだ聞けない歌 口ずさめない歌詞 私の中にあるものは音楽だけではないのに 砂浜の匂い、路地に反射した子どもの小さな影 渡り鳥の横たわる身体、裸体と星の名前 アパートの錆びた階段で浴びた風 とおくで 眠るあなたにも まだ聴けないうたがあるだろうか さよ

          うたにすがる

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          産まれたい

          僕は産まれたい 産まれたいんだ!! 産まれているのに産まれていないから 産まれたいんだ産まれたいんだ 産まれてそうしてはじまりたい!! はじまりたいんだ 僕は産まれたい だれにも産んで欲しくない 僕は僕の手で産まれたい えいや!!って だれにも聞かれない 大きな大きな声を立てて!! #詩 #twpoem #現代詩

          産まれたい

          ひかり

          女の人はいい 恋人と抱き合う時に 男の胸に埋もれて 包まれることができるから 泣きたい日には その腕の中で 埋もれて泣くことができるから 僕もそんなふうに抱かれて 埋もれて 泣きたい日がある 彼女の胸に包まれて ただ無邪気に 泣きたい日がある #詩 #twpoem #現代詩

          影絵の窓のそば すこし茶色のカサと ほんのり黒いカサが 寄り添って並んでいる 光がふたつのカサを照らす そうしてふたつの影ができる 影もおなじように 寄り添っている 逆の方向に 霞んでいる ぼくらは いつも 本当は 対角線のようだった #詩 #twpoem #現代詩

          空っぽのライター

          空っぽのライターを 陽射しに向けて きみが無邪気に笑う テーブルの上には きみが頼んだ 暖かいままのコーヒーと ぼくが 子供っぽいって 笑われないかと 心配しながら頼んだ グレープジュースと ぼくは 溜息だけはつかないように 注意しながら きみと話した 空っぽのライターを きみは宝物のように 見つめながら ふたりで光について 話をしたね #詩 #twpoem #現代詩

          空っぽのライター

          星のおとが 足おとが きこえます それは 花火のように 丸っこい ちらちらです さびしくなんかありません 枕元には 一冊の詩集 #詩 #twpoem #現代詩