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地球の磁力は生命の防波堤

磁針が少しずれたらしいです。

地磁気の変動影響と聞くとどきっとしますね。正直今回のインパクトが計り知れないので、もう少しそこを補足してくれると嬉しいです。。。

特に最近は、大噴火でこんな記事とかでも出ており、やはりいつも以上にセンシティブな時期ですよね。

ということで気になったので、国土地理院のサイトで過去推移のチャートがありましたので引用しておきます。

出所:国土地理院HP

パッと見ですが、今回のずれも2000年以降のトレンドに沿っており(若干変化率は高くなってますね)、これだけ見るととくには気にしないでいいかなと感じました。
ただ、21世紀になったときにわずかな時期ですが、西から東に偏りが反転してるのですね。度合は気にしませんが、逆になるのは不思議です・・・。我々が普段目にする磁石では、常識的にN極とS極が反転するなんて考えにくいですからね。

ここで、そもそもですが、「地磁気」ってなぜ生じているのでしょう?
そして、なんでこんなに綿密に測定しているのでしょう?(国土交通省の趣味?)

実は、地磁気は我々生命を守る超が付くほど重要な防波堤です。

まず、地磁気が発生するメカニズムですが、シンプルに言うと自動車で電気を獲得する仕組み(オルタネーターと呼ばれますね)と同じです。

地球の中心部は「コア」と呼ばれる円状の構造ですが、実は2つの階層があります。
内部は固形なのですがその外壁はドロドロに溶けた鉄の層で、これが地球の自転などによって動くことで電流が生じます。そして地磁気はその電流の変化で発生します。(昔理科の授業で習った「ファラデーの法則」を覚えてますか?)
厳密にはこのメカニズムはまだ仮説で、それをスーパーコンピュータなので解析中です。

地球は巨大な「電磁石」ということですが、重要なのはここからです。

実はこの地磁気が、地球外部から降り注ぐ「宇宙線」と呼ばれる高エネルギーと、「太陽風」と呼ばれるプラズマ(電気を帯びた粒子)を守ってくれています。
この巨大防波堤があるので、今の我々に至る「生命の歴史」が成り立つとっていっても過言ではないです。

そしてなんと、「地磁気は過去何度も反転していた」ということも確からしいとされています。しかも「11回」も! 

興味を持った方は例えば下記の記事を紹介しておきます。

チバニアン」という名前が気になってしょうがないですが、いずれにしても生命誕生に地磁気は多大な貢献をしているのは間違いありません。

宇宙飛行士がISS(国際宇宙ステーション)で宇宙空間に長期間滞在するときも、地上よりも大量に浴びる宇宙線(レントゲンのイメージ)をどう守るかは重要な課題です。

さて最後に、国土交通省が地磁気を計測する目的ですが、もちろん趣味とかでなく、下記の目的と利活用されています。

国土地理院では、主に次のようなことを行っています。
磁気図の作成:日本全国の地磁気永年変化と地理的分布を明らかにするため、10年周期で作成してきましたが、「磁気図2015.0年値」からは5年周期で作成しています。これまでに、 1970.0年、1980.0年、1990.0年、2000.0年、2010.0年、2015.0年の磁気図を作成しています。
火山周辺の地磁気観測:火山活動の監視
地下の電磁場観測:地殻活動に伴う電気伝導度の監視(MT連続観測)

 国土地理院が作成する磁気図や地磁気の観測データは、主に次のようなことに利用されています。
登山で地図を使う際に、地図の向きを合わせるために、偏角情報を利用
飛行機の航路決定の基礎資料
日影制限のため建物の北側を決める際に偏角情報を利用
GISソフトウェアやスマホのアプリなどでの利用

出所:国土地理院サイト(https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/menu02_index.html)

実は我々が普段使っているスマホも、これらデータをもとに地図など自動で補正しており、知らないところで恩恵を受けているわけです。

計測関係者の方々いつもありがとうございます。

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