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ジェイムズ・ウェッブが観測点に無事到着しました!

(タイトル写真のCreditはNASA)
以前こちらでも投稿しましたが、2021年末に打ち上げられた次世代宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)が、当初予定の観測地点に無事到着しました。おめでとうございます!

記事内にL2、つまり「ラグランジュ点」という非日常的な(SF心をくすぐる)用語がありますが、重力の影響が少ないポイントを指します。
歴代の望遠鏡たちも、同じくラグランジュ点(5か所あります)に配置しています。

なかなか初見では覚えにくい用語ですが、実は有名人の名前が由来です。

正式にはジョゼフ=ルイ・ラグランジュという18世紀に活躍した数学と天文学の大家です。力学はニュートンが作ったことで有名ですが、それをさらに一般化したのが彼といっても過言ではないでしょう。

彼が見出した力学の原理のなかで「最小作用の原理」が有名で、要は軌道を描く時の変化を最小にする、ということです。
物理学を専攻していた方は、ラグランジュ方程式とか色々と思い出があるのではないでしょうか?(良くも悪くも^^;)

もう1つ話題を提供すると、この方「マリーアントワネット」の数学教師も担当しています。フランス革命にも巻き込まれ波乱万丈な人生でした・・・

大幅に軌道がそれたので戻します。

今回のプロジェクトで技術的難題の1つは、折り畳まれたアンテナを打ち上げ後に展開することですが、これも無事成功しました。
そして今回安定軌道に乗ったので、あとは数か月かけて実観測に向けた機器の補正という段階に移ります。
これはこれでナノメートル(10の-9乗で分子レベルに近い大きさ!)の精度が要求されるので、今度は別のサブチームの正念場になります。

本当に宇宙開発は、専門分野を超えたチームワークの結晶といっていい高度なプロジェクトで、毎回ながら感動します。

もし、リアルタイムに近いJWSTを知りたい方は、NASAが特設サイトでその位置や健康状態を公開しています。

このうち、Distance Completeが今回安定軌道上に乗ったので”100%”に成ったわけです。

公式サイトだけでなく、公式Youtubeチャンネルでも、適時JWST進捗については配信しています。

投稿時点での最新動画は下記で、今回に至るダイジェストが視覚的にわかりやすく表現されているのでぜひお勧めです。(手話も挿入されているのが現代を表してますね)

登場人物はいずれもNASA所属ですが、3人のうち2人はコミュニケーション担当です。通常企業では広報またはPR(Public Communication)にあたる役割ですが、これはとても重要な役割です。

余談ですが、ちょうど最近、元日本テレビアナウンサーの枡さんが、サイエンスコミュニケーターに転職することで話題になりましたね。

科学を楽しむことで人生を豊かにしてほしいのが私のライフワークなので、とても共感しました。心の底から応援します。

JWSTがもたらす観測結果だけでなく、そこに至るプロジェクトの話も、今後引き続きコミュニケータの方に発信・対話いただきたいです。

また大きな差分があったらこちらでも投稿していきたいと思います。
ぜひ関心のある方は、上記サイトを定点観測してみてくださいね。

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