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《第15話》かわいいものには毒がある - conomi フィギュアコレクション 「KINO-CO」-


ソータ (@SOTA170317)が4年前からずっと追いかけていたフィギュア作家の「conomi」さん (@conomirobamimi)。
何度も商品会議に上がりましたが、その造型の細かさと多彩な色調に「カプセルトイで作家さんが納得いく再現は難しい」となかなかお声掛けが出来ませんでした。
 
そんなソータの商品も昔より幾分かはレベルも上がったのではと、勇気を振り絞ってお声掛けしたのが2021年12月。
そして「conomi」さんに快いお返事を頂いてから早9ヶ月。
やっと発表に至りました。
 
お話しを伺いながら、「conomi」さんの人物像と作品への想いを読者にお伝えできればと思います。
 
 

アートに興味を持った幼少期


物心ついた頃からとにかく絵を描くことが好きな子供さんだったそうです。
「今でもはっきり記憶に残っているのが、頭に王冠がついていて、足が円のように繋がっていてとてもニコニコしながら高速で歩く「あしマン」、とそれを捕食する生物「サメ男」。そんな自分で考えた謎の物語の絵を描いている子供でした(笑)。」
 
その絵を見た母がこれは将来大物になると、たくさん画材を買い与えてくれたそうです。幼稚園の頃から捕食ストーリーを考えていた「conomi」さん。
今の作風を予感させるものがあります(笑)
 
「小学生の時の図工の時間に【力太郎】の挿絵を描く課題がありました。その挿絵をそのまま描くのはつまらないと考え、挿絵にはない【 力太郎のために村人が力を合わせて棍棒を作る絵】を描いたところ《 挿絵を描かないとダメ、ないものは描いちゃダメ 》と先生に言われて最後まで折り合いがつきませんでした。求められたままのものを作らないと「怒られるんだ」と思い、そこで一度絵から遠ざかってしまいました。」


会社でもよくあることですが、個性を活かすか、クライアントの要望を優先するか、「conomi」さんの人物像がよく分かるエピソードでとても興味深いと思いました。
しかもこの先生と今も交流があり展示会にも来てくださっているらしく、大人と子供というよりは小学生の頃から人対人としてお互いが会話していたんだなと感じました。
 
高校では静岡県の常葉菊川高校・美術・デザイン科で勉強され、女子美術大学を卒業後、ゲーム会社でモーションアニメーターをされていました。
 
「仕事をしながら作品を発表し、SNSを使って世界に発信できるようになって、国内外の方から作品の評価や応援メッセージを頂くようになり、作品を見てもらえる喜びと、見てくれる人のために頑張ろうという気持ちが高まりました。」

「私はすごくズボラで、長続きしない性格なんですが、だんだんそうやって続けていくうちに7年以上もフィギュアを作ってて、ちゃんと展示会もしちゃってて、【 あれ、私、仕事と趣味を両立できてるじゃん! 】という自信がついてきて、それで思い切って3年前に独立して、今も引き続き仕事をしながら、以前よりもたくさんの人の手元に届くようにフィギュア制作にも励みました」

 

作品に対するこだわりや影響を受けたもの

「カートゥーンアニメ【ルビー・グルーム】【 フォスターズ・ホーム】などは造型としては丸と三角と四角の組み合わせなのにキャラクターとして成立していて、色が激しいので記憶できる、それが海外アニメのすごいところだと思っています。
それを自分の好きなようにアレンジして、自分の好きな比率で表現できないかと思って作品を作っています。特に色味を大切にしています。」

 
「また【ナイトメア・ビフォア・クリスマス】はディズニーがダークな作品を肯定し、世に出したことでこの作風が一部のマニアだけなく多くの市民権を得て、自分の好きなことを表現していいんだよと感銘を受けました。」


「conomi」さんの作品には必ず毒があります。
一見かわいいと思う造型とカラーリングなのですが、よく見ると色んな毒が散りばめられています。
実は作るフィギュアの多くは命が絶たれたものが多いんです。
「conomi」さんの作品には、フィギュアから見える表面のかわいい部分と異なる残酷な部分が表現されています。
それが「conomi」さんにとっての「かわいい」であり、「conomi」さんが感じている「人間像」を表現しているようにも感じました。


こだわりの粘土


「作品は手原型で作っており、ステッドラー社の【オーブン粘土 FIMOフィモ】を愛用しています。成型した後に、できるだけ彩色せずに成型色を活かすようにしています。
例えば赤の髪の色を作りたいと思った時に、原型制作でよく使う肌色やグレーの粘土を使って、その上にサフを吹いて、さらにその上から黄色を塗ってから、赤を塗らないと発色が良くなりません。
この粘土は非常に発色が良いので、下地の色に黄色の粘土を選んでその上から赤を塗ればそれだけで自分が出したい綺麗な赤が表現できます。」



今回のガチャ化にあたって「KINO-CO」が初弾としてリリースされます。

【 KINO-CO 】  カプセルトイ版
【 KINO-CO 】 ブラインドボックス版


「conomi」さんは、毎年1シリーズ・10体の作品を作られており、スタートは【グリム童話】をコンセプトにしたシリーズ。


今年、作られているのは【内臓の擬人化】です。



「KINO-CO」は特に大事に取っておいたコンセプトを今回、ガチャ化のためにご提供いただきました。

カプセルトイVer


 きのこは【カラフルで毒がある】
「conomi」さんの作品テーマとマッチしていると思います。
「KINO-CO」は「conomi」さんを知ってもらうために一番最初に表現すべき象徴的なモチーフであり、第一弾に持ってきたのは必然でした。 
また「conomi」さんにとって作品を量産化に落とし込む際に一番苦労した点は色制限でした。
作品の重要なファクターであるカラフルな色彩を色制限された中でどう表現するのか。普段は1時間ほどで色を決められることが、色を制限されることで1つの商品に1日かかってしまったそうです。

色を決めていくのではなく、色をパズルのように組み合わせる難しさを感じました。

ブラインドボックスVer


「KINO-CO」製作の想い


「テレワークしていて、パソコンからスッと目線を逸らし、飲みかけのコーヒーの薄汚れたカップを見た時に、【あーあ、ここに、可愛い女の子がちょこんと座ってたらいいのに】と思ったことがきっかけでした。一人でずっとパソコンに向かって仕事している最中にふと隅を見るとかわいい子がこっち見てると自分の頑張りが肯定された気がするんですよね。
そんな想いがみんなに届けばいいなと思って作っています。」
 

「今回はコロナ禍もあり、自分自身がずっとオンラインで仕事をしていたので、みんなの癒やしになれるものをコンセプトに原型を製作しました。もし次弾がでるのであれば、今度は毒を押した作品になると思います。」


これから


今後は海外での個展開催を目標に活動していくとのことなので、ますますのご活躍が楽しみです。
SNSで商品化の発信をした際も、特に欧米から評価が高く「商品を買えないか」と多数問い合わせがありました。 

【外面のPOP】と【内面のカオス】のギャップを視覚表現することで国内外の人たちの心に刺さる作品を作り続けている「conomi」さん。

 今回お話ししてみて最初にお会いした時とかなり印象が変わりました。
もちろんいい意味で(笑)  


2022年  9月  2日 

SO-TA/ソータ   安藤 こうじ(@kojiando01

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