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オンライン講座でペイリー『最後の瞬間のすごく大きな変化』を読みました

 6月7日水曜日の夜7時半から、NHK文化センターのオンライン講座「文庫で味わうアメリカ文学」で、グレイス・ペイリーの短篇集『最後の瞬間のすごく大きな変化』を読みました。
 一編一編がすごく短いけれどなかなか前衛的で、少々読むのが大変な作品ということもあり、講座が始まる前は心配だったんですけど、実際にディスカッションしてみたらちゃんといろんな意見が出て楽しかったです。
 皆さんおっしゃっていたのは、最初は時間の感覚が独特だったり、あるいは比喩が難しかったりして面食らったものの、徐々にペイリーを読む能力が上がっていって、本を閉じる頃には楽しめるようになっていた、ということです。これは僕もそう感じました。
 その上で、幻想的な部分とすごくリアルな生活が混ざっているところがペイリーの魅力なんじゃないか、という議論になりました。 30年ぐらい急に過ぎたかと思えば、子育てやら。家事やらの話も出てくる。
 その中でも、これは女性たちの日常的な感情を描いているドキュメンタリーなんじゃないか、というお話に説得力を感じました。女性たちの連帯を描いている、という意見も、本当にそのとおりです。ここら辺はトニ・モリスンなどとも比較できるのではないでしょうか。
 個人的には、ニューヨークでみんな、玄関前の階段に座って、道行く人達とお喋りしているのがおもしろかった、という意見がツボでした。実際にニューヨークに行ってみると、本当にみんな座ってますよね。日本ではあんまりそういう人を見たことがないので、ここらへんにアメリカを感じる、というのがいいですよね。
 本講座では毎回、僕の短い講義と受講生のディスカッションを行っています。とはいえ、無理に当てたりはしないので安心してくださいね。次回作品はトルーマン・カポーティ『ここから世界が始まる』です。これも楽しみです。

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