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オンライン講座でトルーマン・カポーティ『ここから世界が始まる』を読みました

 7月5日の夜7時半から、NHK文化センターのオンライン講座「文庫で味わうアメリカ文学」でトルーマン・カポーティの『ここから世界が始まる』を読みました。
 これはカポーティが十代に描いた習作が中心で、正直そこまで完成度が高いものは少ないのですが、それでもどの作品もとても魅力的でした。受講生の方々も、時に老婆になり、時に若い女性になり、また時に少年になるカポーティの声がとても素晴らしい、と堪能してくれました。
 本書を読んでいて僕が思ったのは、アメリカ南部や人種問題に関する言及が多いな、ということです。例えば「ルイーズ」で、フランスからやってきたとても魅力的な少女に黒人の血が入っているとわかった途端、すべてが一変します。そして「ルーシー」で差別のひどい南部を逃れてニューヨークに来た料理人の女性は、ホームシックで涙を流します。
 すごく早い時期から、カポーティはこうした人たちに寄り添って作品を書いていたんだな、ということを改めて感じることができました。意見もとてもたくさん出て、すごく盛り上がったいい講座になったと思います。
 初回参加の方で、この講座はちょっとハードルが高いのかなとを持ってしまっていた、とおっしゃっていた人がいましたが、特にそんなことはないと思います。文庫本を一冊読んで来て思ったことをただ言う、という気楽な感じなので、そこまで力まずに参加していただければ嬉しいです。次回はトニ・モリスンの『ジャズ』です。これも楽しみです。

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