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「真面目だよね」と言われたら

 上司から満面の笑みで「君はほんとに真面目だね」と言われたらどう感じますか?褒めてくれていると思い嬉しくなるでしょうか。では逆に眉間にシワを寄せて「君はほんとに真面目だよね」と言われたらどう感じますか?きっと「何か融通の効かない対応をしてしまったのではないか」と思い、直近の行動を振り返るのではないでしょうか。同じセリフなのに意味合いがだいぶ違ってきますね。今回はそのような内容です。

 同じセリフでも場合によって意味合いが違うのは当たり前ですが、「真面目」と言われた時のシチュエーションくらい理解できるから間違った捉え方はしないとも思いますか?皆が皆、素直な世界ならその通りかもしれませんが、現実はそうではありません。笑顔で悪口を言うのが今の世の中です。「真面目だよね」と言われた時の相手の表情で真意を探るのは、なかなか難しいことです。では、こんな視点は如何でしょうか。以前、以下の様なツイートをしました。

 ”真面目”には悪い意味での”普通”という意味もあります。昔は”言われたことに素直に応じること”を真面目で正しい姿勢と言いました。今の時代では、そこで満足してはいけなくて、状況に応じてやるべきことを自分で考えて行動することが当然のように求められます。それができずに言われた事だけを粛々とやるのが現代の悪い意味での真面目であり、普通止まりの人なのです。一皮向けていない人という表現が良いかもしれません。そんな当たり前のことしかできないことをアイデンティティにしてはいけないですよね。それを理解した上で、好きな人に「あなたは真面目(普通)だよね」と言われたらショックじゃないですか?特別な存在でいたかった相手に一皮剥けていない普通の人と言われるのはショックなことかと思います。以前、以下のツイートをした通り、真面目というのは良くない形容詞なのです。

 ではなぜ、昔は褒め言葉だった”真面目”が現代では良くない意味になってしまったのでしょうか。それは時代の変化によって求められる人材が変わったからです。以前、以下のようなツイートをしました。

 昔は全ての人に同じ教育を与えていました。学校で学ぶことは勿論、会社の社員教育も全て同じでした。営業を例に紹介しましょう。商品を売る営業には個性というものは殆ど無く、皆が皆同じようなトークスクリプトで同じ商品を売っていました。なぜ、それが通用したかというと、とにかく商品が簡単に売れた時代だったからです。今の時代と違って簡単に商品が売れる時代だったので、標準となる売り方を身に付け、その売り方をひたすら繰り返したのです。それが一番効率的に商品を売る方法だったのです。言われた通りに行動するだけで商品がバンバン売れて業績貢献できました。これが昔の”真面目”であり、素晴らしいとされていた姿でした。

 では現代ではどうでしょうか。昔と違って今は商品がなかなか売れない時代です。上司や先輩は「こうした方が良いよ」という標準的な教育はしてくれますが、それだけでは売れません。売れるようになるにはオリジナリティのあるアプローチが必要で、そこには各々の試行錯誤があります。独自の工夫をした人だけが商品を売ることができて、それができない人は商品を売ることはできません。言われたことだけをやる人は商品を売れずに成績は下がり、逆に自分で考えて工夫できる人が商品を売ることができて成績が上がるのです。

 面白いですよね。たった数十年で「真面目」という意味が大きく変わってしまったのです。このnoteを読んでくださった皆さんは、「真面目」という言葉を履き違えないようにしてください。万が一「真面目」と言われたら、それは日頃の言動を見直すべきアラートだと思ってください。


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