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働き方を変えられなかったご年配社員の宿命

私の職場で実際にあった少しショッキングな出来事をご紹介します。

はじめに

誤解頂きたくないので先に解説させて頂きますが、世の中には「在宅勤務ができる仕事」と「在宅勤務ができない仕事」があって、人数で比較すると在宅勤務ができない人の方が圧倒的に多いのが事実です。厚生労働省の調査でも、在宅勤務ができている人は社会人全体の中でたった5.6%との結果があります。

極一部の人が在宅勤務を実施できているのですが、それは在宅勤務ができない人の仕事に支えられた結果です。在宅勤務ができない人が社会インフラを支え、そのサービスを受給することで、極一部の人が在宅勤務を実現できていると言う事を忘れてはいけません。これについては過去のnoteでも言及していますので、良かったらご覧ください。

実際にあったショッキングな出来事

今となっては冒頭で書いたショッキングな出来事の前触れとなってしまったのですが、以前こんなツイートをしていました。

私の職場はマーケティングを行う部署で、在宅勤務と相性が非常に良いと言われている職種です。ツイッターで書いた人は50台後半の男性なのですが(以後Aさんと書きます)、緊急事態宣言が発令された後、数千人といる事業所にたった一人で出社し続け、仕事を続けました。繰り返し書きますが、在宅勤務ができる職種で出社を続けました。

Aさんは日頃から決して仕事ができるタイプではなく、所謂”過去の栄光で生き延びているご年配社員”で、今の会社にとってはお荷物的な存在なのですが、終身雇用を前提とする日本企業に甘えて、なんとなく働き続けています。そこで上記のツイートです。頑なに出社を続ける上司はこう言いました。

「リスク管理の意識が低い人には大事な仕事は任せられない」

これは実質的な最終警告でした。この言葉で意識を変えて貰えるかに賭けていたのだと思います。

オフィスに出社し続ける理由

Aさんとそれなりに近い立場にいた私は、過去にこんな会話をしていました。

ササキ「Aさんは何で出社し続けるのですか?周りに誰もいない事に違和感を感じませんか?」
Aさん「いやー、人が居ないから逆に快適なんだよね」
ササキ「人が誰もいないと言う事は、数千人が務める事業所で危機管理能力がワースト1と言う事になっちゃいますよ(笑)」
Aさん「でも街は誰も歩いていないし、電車も空いているし、リスクは無いと思うんだよね」
ササキ「リスクがあるかないかは素人が判断することではなくて、国を挙げて移動しない様に努めていて、会社も原則在宅勤務を打ち出しているのに、それに逆らう意味は何なんですかね?」
Aさん「会社にいた方が仕事に集中できるんだよ。自宅だと仕事が捗らない」
ササキ「自宅で仕事が捗らないのはAさんだけではなくて、皆感じているけれど、どうにかしようと努力しているんです」
Aさん「そうは言っても、何十年と続けた仕事の仕方は変えられないなぁ・・・」

伝えたい事はなかなかご理解頂けません。

ワガママを貫いた代償

私の所属する組織にて、役割変更の通達が案内されました。その内容がタイトルにある「宿命」です。なんと、Aさんはこれまで担当していた主要商品のマーケティング担当から外され、組織内の事務経理といった、バックオフィス系の仕事に役割が変わっていたのです。数十年前に入社して以来、営業やマーケティングといった販売の第一線に居続けていましたが、定年間際で役割変更。気になったので上司と会話したところ、人事情報なので詳しくは聞けませんでしたが、ざっくり言うと以下の様な考え方でした。

・コロナショックで求められる人材がガラッと変わってしまった。
・時代に適応できない人に大事な仕事を任せる事はできない。
・会社の業績は確実に落ちるので、油断していると誰もが淘汰される
・Aさんの怠慢は分かりやすい例だが、今後同じ様な事例は増えるだろう

Aさんは定年まで残り数年、その後はおそらくシニア社員として再雇用される事を想定していたでしょうが、再雇用の可能性は限りなく無くなったと推測されます。

どこで道を踏み外してしまったのか

Aさんはコロナショックで劇的に変わる時代の変化についていけなかった様に感じられますが、恐らくもっと前から道を踏み外してしまったのだと思います。確かに過去では仕事を頑張っていた様なのですが、それを自分のベストだと思い、そこから仕事の仕方を変えられなかった。自分より若い人は当たり前の様に時代に合った働き方を始め、同年代も努力して働き方をアップデートしてきた中、過去の自分を否定する事を恐れ、頑なに仕事の仕方を変えなかった。Aさんの怠慢はもう何年も前から積み重なってきたものなのだと思われます。何年間も継続してきた怠慢は、コロナショックを迎えた今、すぐに巻き返す事は容易ではなかったのです。

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如何でしたでしょうか。きっと多くの人の職場にはAさんの様な人がいるのではないでしょうか。そして「自分はAさんの様にはならない」と安心しているかと思われます。確かにAさんは極端に酷い例だったかもしれませんが、誰もが安心できるかと言うと、そうではないかと思います。例えばコロナショックを期に在宅勤務を始めたものの「集中できない」「サボってしまう」と思って、それを放置している人は要注意です。在宅勤務は、やっている人は上司と個別交渉の上でかなり前から実践してきていて「集中できない」「サボってしまう」という時期はとっくに解決してきています。今の時点で在宅勤務を始めて苦労して、それを能動的に解決しようとしていない人は、既に遅れ始めているのです。

今の働き方を正解と思わず、常に貪欲にアップデートし続ける姿勢が求められます。

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