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アフターコロナのASEAN予測、当たったのか?

1年半前、私はアフターコロナのASEANを予想していました。

https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/2021/pdf/insight-as210916.pdf

果たして、その予想は当たったのか?
検証してみましょう。

予測1:金融正常化の副作用と反政府活動の再燃

結果:ASEAN主要国の通貨安は危機には至らず、アルゼンチン、トルコなどとは大差、意外と経済の足腰はしっかりしてきたと言えそうです。

2013年のバーナンキショックで、米利上げ懸念時のASEAN通貨安の再来は避けられました。

むしろ、日本のほうの円安のほうが大変だった・・・感もあります。

スリランカやパキスタンのように、南アジアでは非常に厳しい局面に直面していることがあるのは事実で、過度な楽観は禁物ですが、少なくともASEAN主要国のファンダメンタルズは、意外と強固になってことを示した形です。

他方で、反政府活動の方は、タイは気になるところです。
下院第一党になった前進党のピタ党首主導での、新政権が発足するかどうかは、下院はまとまりそうですが、上院の情勢次第ですし、ピタ氏の選挙時には保有が認められないメディア株保有疑惑など、きな臭い動きは気になります。

もしも、ピタ氏が外されると、若者主導での、反政府活動再来の懸念はあります。そもそも、選挙前は、実質タクシン党といえる貢献党がリードしていましたが、タクシン元首相が帰国したいと表明、そうなると収監されますが、その回避のためには、国王の恩赦が必要なので、貢献党は国王に近い軍系政党と手を握るのでは・・・そういう懸念で、前進党が躍進したようにみえます。

つまり、やはりキャスティングボードは貢献党が握っており、万が一、前進党との連立を覆せば・・・それは、民意を考えるとないと考えたいところですが・・・まだまだ予断を許しません。


予想2.米中間の綱渡りのなかで利得を得て、デジタル化が進展する可能性は高い

結果:これはその方向性といえるでしょう。デジタル化は先進国同等に進展していますので、当該分野だけみれば、先進国とASEANでどちらが先進国かもはやわかりません。

また、突然、ASEANもインドと共にグローバルサウスと呼ばれるようになり、広島サミットでは、インドのモディ首相と並んで、インドネシアのジョコ大統領も招聘されました。

米 対 中、G7 対 中ロ対峙の中で、どちにもつかないという筋が通るのは、中ロとりわけ、中国の存在感が、グローバルサウスで大きいからに他なりません。

日本のグローバル企業は、そのことを身に染みている感じているはずですが、どうも、対米忖度の高まりに引きずられ・・・経営の自由度が狭まっているように感じられます。

そこは、G7の一角ながら、グローバルサウスにもしたたかに食い込む独自路線を歩むフランスまでにはいかないかもしれませんが、経営の自由度を狭めないしたたかさが求められているようには思えます。

予想3.リスクにもチャンスにもなり得る気候変動と人権問題

結果:当該部分は、予想通りです。前述のグローバルサウスが非常に苦手にする分野でもあります。

ここは、米国がトランプ政権からバイデン政権に代わって、パリ協定に復帰し、人権も重視するようになったことで、EUに米国が一体化して、EU・G7ルールに気が付くと、日本も乗っていた・・・ような感があります。

その潮流が、EVシフトや、サプライチェーンの監視強化にも繋がっている感があります。

EUは当該分野極めて強力な規制を敷きそうな気配で、米国も民主党政権は賛同しそうす。
日本としては、アンモニア発電や水素、アジアの歴史、文化、民族を踏まえたうえでの人権対処など、グローバルサウスの一角を占めるASEANと、一足飛びにならず、地に足の着いた形で歩調を合わせれればよいように思えます。


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