アメリカか中国か、日本の近隣地域の解は、民意に委ねることのようにみえる
今年は意外と桜が長持ちして、気持ちのよい4月となりました。本当に久しぶりに本格的な花見も再開、さらに、観光名所はどこも外国人観光客の姿。
マスク着用も任意になり、いわば堂々と外してもOKになり、他方で、心なしオンライン会議を減らす動きもあるような・・・そんな新年度です。もう慣れてしまったオンライン会議を対面に戻すのは、少々慣れないのもありますが、リアルな交流が復活することは意義深いですね。
米欧発の金融不安の芽は、果たしてやんだのか、まだ注視が必要な状況は続きそうです。アジアへの影響は限定的・・・そうですが、金融の世界は、世界は一つなので、まだ油断はできなさそうです。
さらに、2023年１Q、最初にGDPを発表したベトナムは失速、工業生産は輸出環境の悪化と、資源・原材料の高止まりで落ち込んでいます。
そのなかで、手っ取り早く期待が高いのは世界各国いずれもインバウンドなのですが、実はGDPへの寄与が存外に小さい・・・そういう指摘が続いています。
日本の場合、2,500万人訪日して20万円使ってざっくり５兆円だとGDP比だと実はわずか1％。そうなると、高額需要を取り込んで30万円、40万円にするか、リピーター増やして4,000万人、5,000万人にしないと、寄与を高められず、そのような流れになるか否かが注目点といえます。
ちなみは、タイは、今後数年でコロナ前の4,000万人を倍増させ8,000万人にする野心的な計画を発表。観光需要の取り込みは、競合国も少なくありません。旅行に行くなら、フランスかイタリアかタイか、はたまた日本か・・・そんな感じにまで、持続的になれるかです。
私自身は、十分になれるのではないかと考えています。
英語対応やキャッシュレス、体験型、ラグジュアリー滞在、実はかなりできるようになってきているように実感しております。所属が経営から経済学部へと変わり、国際観光やデジタルマーケティングの先生とも新たに知り合いましたので、航空や観光がご専門の先生との協同も増やしていこうと考えております。
本業のアジア情勢は、今年5月の総選挙に向けて、再びタクシン派と国軍系の対峙が懸念されるタイ、とうとう拘束中のスー・チー氏が長年率いたNLDが解党となりさらに国際制裁の圧力が高まるミャンマー、来年の大統領選に向けたインドネシアなど、気になる動きは多く、随時追っていく所存です。
ただ、日本において、もっとも関心が高いのは、2024年1月の台湾総統選なのではないでしょうか。地理的に近く、もはや米中対峙の最前線、特に最センシティブ分野の半導体を抱えており、常時目が離せない状況にあります。
その中で、与党民進党では、統一地方選の大敗で党主席を引くも、総統職にある蔡英文氏が中南米訪問途上での訪米、他方で、野党国民党は前総統で同党重鎮の馬英九氏が訪中、総統は、就任前や就任後は訪米することはこれまでもありましたが、今回の現職の大胆な動きの背景に、米国の大きな存在感があるのは明白、他方で、国民党も分かり易い形で中国との共演、お互いやり過ぎでは・・・そうも見えます。
https://udn.com/news/story/123435/7080496?from=redpush
それをどうみればいいのか・・・。私は、次の総統選で、あくまで民意が選ぶ・・・そう見ておけばよいし、その成否は4年毎に審判が下されるのが台湾流のバランス感覚でとみています。
少し横道にそれますが、日本との関係改善を進める韓国のユン・ソクヨル大統領ですが、現与党は保守派で、伝統的に保守派は米国寄り、それに対峙する革新派は中国寄りの傾向がみられます。背景には、保守派は対北朝鮮強硬、革新派は対北朝鮮融和があり、これもまた、大統領選で民意が選ぶという制度で、5年毎に審判が下される韓国流のバランス感覚といえそうです。
それはわかったから、じゃあ、台湾危機は起こるのか、それに答えて欲しい・・・・そういう声は高まっていますが、先般、帰国された垂中国大使は、その可能性はかなり低いと指摘されています。
私自身もそう思っています。
ただし、日本の立ち位置は、完全に米国寄りですので、台湾や韓国の民意によっては、立ち位置にはねじれが生じることはありますので、そこを留意する必要があります。
さらに、台湾周辺に、何もしないのだけど、正体不明の船が動かないまましばらく居座る・・・そういう事態は全くないとは言えません。それを有事と日本がぴったり寄り添う大国が指摘することはありえます。拡大解釈といえますが、少なくとも、マーケットはそれで大いに揺さぶられてしまいます。
揺さぶりに耐える力が求められる・・・そんな年度になるかもしれません。
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