こうじ・こうじ菌に関する質問について

伝統的酒造りに用いるこうじ菌

登録無形文化財「伝統的酒造り」のこうじ菌については、その登録要件で、「伝統的なアスペルギルス属の菌を用いること。」とされており、これらは「我が国で酒造用のこうじ造りに一般的に使用されている黄こうじ菌,黒こ うじ菌及び白こうじ菌が該当する。」とされています。現在申請中のユネスコ無形文化遺産登録でも同様です。
文化庁記者発表資料(令和3年10月15日)

黄こうじ菌はAspergillus oryzae(アスペルギルス オリゼー)に属し、白こうじ菌又は黒こうじ菌はAspergillus luchuensis(アスペルギルス リューチューエンシス)に属し、いずれの場合もアスペルギルス属に属します。

なお、紅こうじ菌は、Monasucus(モナスカス)属であり、アスペルギルス属とは別属となります。これは伝統的酒造りで用いる「こうじ菌」には含まれません。

こうじ菌の安全性

こうじ菌を利用した、清酒・本格焼酎・泡盛、味噌、醤油、みりん、酢などは、和食の基本調味料であり日本を代表するお酒(國酒)であります。日本人は、こうじ菌が関与する発酵食品を長年にわたり摂取してきており、これらは植物原料からつくられうま味が豊かであることから、世界で注目を集めています。
さて、過去にこうじ菌の安全性が疑われたこともありましたが、日本の醸造技術者は協力してこうじ菌が安全であることについて研究し、発信を続けてきました。
(独)酒類総合研究所等におけるこれまでの研究成果その他の科学的知見から、現在、国内の酒類製造業者が日本酒や焼酎を製造する際に一般に用いている「こうじ菌」については、酒用のこうじとして使用される場合、安全性に懸念はないものと考えられます。

こうじ菌のなかにカビ毒をつくるものはないのでしょうか

黄こうじ菌(Aspergillus oryzae)群においては、かび毒(22種類)について、醸造条件を含む11の培養条件で生産されない(検出限界以下)ことを(独)酒類総合研究所において確認しております。
(参考)
農林水産省が定める優先的にリスク管理を行うべきカビ毒のリストに基づいたAspergillus oryzae種の安全性評価(酒類総合研究所報告 第192号 2020年)
農林水産省のその他カビ毒リストに基づいたAspergillus oryzae種の安全性評価(酒類総合研究所報告 第193号 2021年)

また、酒用に使用されている黒こうじ菌・白こうじ菌(Aspergillus luchuensis)については、(独)酒類総合研究所を含む研究機関が行った研究を含め、食品衛生上、リスク管理が必要とされているかび毒の報告例はありません。
(参考) 
酒類総合研究所広報誌 エヌリブ32号「黒こうじ菌ゲノム解析からわかること」エヌリブ 32号 (nrib.go.jp)


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