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『絵本』 からっぽひょうたん、ひょうたろう

2019年「第4回こころの絵本大賞」にて佳作
作:なかたこうじ

主催(公財)仏教伝道協会 http://www.bdk.or.jp/kokoronoehon/4th/


とびら

1

まがった ひょうたん ひょうたんじいちゃん、
しわしわ ひょうたん ひょうたんばあちゃん、
からっぽ ひょうたん ひょうたろう。
かわの ちかくに すんでいました。

ひょうたろうは からっぽの からだが おおきくなって
すこしの かぜでも ふらふらしています。

さいきんは、かぜが なくても
その おおきな からだが きになって おちつきません。
じいちゃんも ばあちゃんも
そんな ひょうたろうを きにしていました。


2

あるひ おおかぜが ふいて、
ひょうたろうは ヒューと やまの うえまで とばされて しまいました。


「うわー、びっくりした。 ここは どこだろう?」
まわりを みわたしましたが ここからは だれも みえません。
「どうしよう このまま いえに かえれなかったら…」
そう おもうと からだが すーすーして、
いつもよりも ふらふらしてきました。
やまを おりる みちを さがして あるきだすと、
だんだん さびしく なってきました。


4

「こんにちは」「こんにちは」「こんにちは」
あしもとから ちいさな こえが きこえてきました。
ドングリと カタツムリと タマゴです。

「もうすぐ ひが くれるよ」
やまの よるは まっくらで とても きけんです。
「とおくに いかない ほうが いいよ」
とおくで こわい なにかが なくこえが きこえました。
「ここで いっしょに やすめば いいよ」
だんだんと まわりは くらくなってきました。


「うん ありがとう」
ほっとした ひょうたろうは そう いうと
よこに なりましたが、 こわくて なかなか ねむれません。

いつもと ちがい、
ここには じいちゃんも ばあちゃんも いません。
あした いえに かえれても、
もう じいちゃんも ばあちゃんも いなかったら
どうなるんだろうと おもうと
こんどは からだの なかが ざわざわしてきました。
でも、 カタツムリの ちいさな いびきが きこえたので
すこしだけ あんしんしました。


6

よあけまえ、 ひょうたろうは ゆめを みました。
じいちゃんの せなかは まっすぐで、
ばあちゃんは にこにこして
ちいさな ひょうたろうが あそんでいました。
その じかんだけは ふかく ねむれました。


7

すぐに あさひが さしてきました。
そらを みあげた ひょうたろうを
アオガラスが みつけ、いっちょくせんに とんできました。
「ひょうたろうっ!」
アオガラスは むらにも やまにも ともだちが おおく
ひょうたろうも その ひとりでした。
「おじいさんと おばあさんが しんぱいしているよ。
やまへ いって さがしてくれって たのまれんたんだ。」
「えっ そうなんだ!」
「このみちの したの かわが
おまえの いえまで つづいているんだよ」
そういうと、 アオガラスは ひとあし はやく
おじいさんと おばあさんに しらせに とんでかえりました。
アオガラスは いつも たかい そらから みているので
いろんなことを しっているのです。


8

「このみちは よく しっているよ!」はなしを きいた カタツムリが はしりだしましが、ゆっくりしか すすめません。 そこで コロコロと ころがりだしました。「こっち!こっち!」そういうと ドングリと タマゴも コロコロと ころがりだしました。 さかみちなので だんだん はやくなります。

それを おいかける ひょうたろうも ころんでしまい
コロコロ コロコロ ころがりました。
はやく いえに かえりたいと、
こころも コロコロ いそがしく なりました。

さかみちは でこぼこなので タマゴの からが われました。
すると なんと、 なかからは ヘビの あかちゃんが うまれました。
みんなは ビックリしましたが さかの とちゅうなので とまれません。
ヘビの あかちゃんも まるくなって コロコロと ころがります


9

かわに ついても とまれずに
ドングリが ぽっちゃーん!
カタツムリが ぽっちゃーん!
ヘビの あかちゃんが ぽっちゃーん!
つぎつぎに かわに おちると
そろって かわぞこに しずんで いきました。

そして ひょうたろうが ぽっちゃーん!


10

でも ひょうたろうの からだは からっぽなので
ういてしまって います。
そこで おもいきり みずを すいこみ もぐりました。

3 にんを みつけましたが
こんどは からだが おもくて うかべません。

「そうだ!」
すいこんだ みずを こんどは あたまから
ぶしゅーんと ふきだしました。


11

「ふー、たすかった ありがとう」
「こっちこそ みちあんない ありがとう。
そうだ、 せっかく ここまで きたんだから
みんな ぼくの いえに おいでよ」
「うん、 いいね いこう!」
3 にんは ひょうたろうに のりました。
ただ かわは ゆっくりしか ながれていません。

ひょうたろうは おおかぜが ふいたら
すぐに とんで かえれると おもいましたが
それでは やままで とばされたように
すすむ ほうこうは じぶんでは きめられません。

かんがえた ひょうたろうは
また おもいきり みずを すいこみました。


12

そして ぶしゅーん
ちからいっぱい からだの なかの みずを ふきだしました。
ひょうたろうたちは かわの うえを
びゅ~んと くだってゆきました。

ドングリと カタツムリと ヘビの あかちゃんは
こんなに はやく うごいたのは はじめてで、
ドキドキしてきました。


13

ひょうたろうは 3 にんを のせて はやく すすみます。
からっぽの じぶんの からだを つかって
こんなことが できることが
だんだんと たのしく なってきました。

そして むらはずれの しっている ばしょに でてくると
もうすぐ かえれると おもうと わくわく してきました。


14

「ただいま!」いえに かえりました。

かえってきた ひょうたろうを みると
じいちゃんは びっくりして せなかが のびました。
ばあちゃんは うれしくて にこにこと よろこびました。

それは、きのうの よる ゆめで みた
じいちゃんと ばあちゃんの すがたでした。


15

「きのうの よるは みんなと いっしょに いたんだ」
それを きいた じいちゃんと ばあちゃんは あんしんしました。

そして ひょうたろうは へびのあかちゃんに
「たんじょうび おめでとう!」といい、
みんなで いっしょに
にわの きのみを ひとつづつ たべると
あとは ゆっくり おひるねしました。


16

ゆうがたには アオガラスと 3 にんは やまに かえりました。

ーおしまいー



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