短編 紅葉
彼女の手を引いて、自分の通った学校、その近くの紅葉を見に行った。
2人で初めて見る紅葉、そしてあまりいい思い出がないこの街に、君がいる。
昔話をしながら歩いてると、彼女は目を見てちゃんと聞いてくれる。
小さな川にはしゃいでいて、滑ってしまわないか心配になったり、過去、ここで走り回っていた思い出が蘇った。
不思議なものだと思う。
自分の物語に、突然違う世界のキャラクターがそこに現れた気分。
雨が少し降りそうになりながら、急な坂道を2人で小走りで下る。
そして家までは何度も通うために使った電車に乗った。
隣にいるのがすごく不思議だけど、きっと俺が京都を歩いてる時は彼女は同じ気持ちなんだろう。
自分が知るところはどこか変化しないと思っている。
今日は、行ったことがない場所で紅葉を見た。
足元を見るとイチョウでハートを作った跡があって、自分はそれを眺めていた。
女の子たちか、カップルか、
どんな関係でもいい。
これを作った思い出を、来年話せる、関係のままでいて欲しい。
自分は紅の道をまた歩いた。
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