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短編小説#10 質問コーナー

「俺の好きなところは?」

『運転してるのがかっこいいところ。』

「俺がゆりの好きなところは?」

『えー。胸が大きいところ?』

「んなわけ笑それもあるけどそこだけなら最低だろ。」

『ひろサイテー』

こんな感じに俺たちはドライブの時、話題がふと無くなったら質門コーナーをする。

本当、付き合い始めてからこのコーナーだけはずっと辞めずに続けてる気がする。

「好きな香りは?」

『金木犀』

「これはしないでほしいなって思う俺のダメなところは?」

『運転の時に口が悪くなることかな?』

「それはー。ごめん。」

こんな感じでお互いに質問して、たまに言いにくいことを質問形式にすることで聞けたりするからお互いにとってもすごくタメになる時間だ。

『結婚は何年以内にしますか?』

「明日」

『本当に?笑嘘つくんじゃないよ笑』

「明日、結婚してくれますか?」

『、、、ずるい。』

そんなこんなで着いたのは二人でよく行く地元の山の山頂。

今日も朝日を見るために二人で上がってきた。

少し肌寒く、ゆりは俺にくっついて歩き、そしてじわじわ昇る太陽に目をキラキラさせる。

そう俺たちは明日結婚する。


数年後、、、

同じく山頂を目指してた。

「結婚した感想は?」


「子供は何人欲しい?」


「住みたい家の絶対条件は?」


「俺にしてほしいことは?」

山頂に着いた。

その日は雨で太陽も見えなく、そして傘をささず俺はその場に立った。

そう。1人だ。

ゆりは結婚をして1年後、今日のように山頂を目指して車を走らせていた、らしい。

その時は俺は車に乗っておらず、ゆりは免許取り立てで、こっそり練習をしてたらしい。

俺は慣れてる道だし気をつけるところを把握してたから何も事故を起こすことなく、走れていたけど、ゆりにはできなかった。

ガードレールに突っ込み、そのまま真っ逆さま。

その日から俺はこの山頂に毎日来ては、質問を繰り返す。

いつかゆりが答えてくれるんじゃと思うけど、答えるわけもなく、ただ立ち尽くす。

質問が返ってこない苦しさを、こんな形で知るなんて思わなかった。

最後にした質問は、

「結婚して幸せですか?」


『もちろん。幸せですよ。』

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