屋久島で、プランBの旅をしてきた。
先日、鹿児島県の屋久島に行ってきた。
結論。屋久島、最高だった。
このnoteを書いている理由。屋久島の素晴らしさを伝えたいのはもちろんだが、実はもう1つ、伝えたいことがある。
それは、プランBの旅のススメだ。
これまでと違う、あたらしい旅
今回、僕はあるテーマを持って屋久島を旅した。
そのテーマとは、ズバリ「あたらしい旅」。
大学3年のタイ留学で旅にハマってから、東南アジアやヨーロッパなど世界各地を旅してきた。計27カ国。
コロナ禍の2020年以降は国内にシフトし、旅を続けてきた。
いつも僕の旅には、強烈なモチベーションがあった。これを見に行くための旅にしよう、ここだけは絶対に外せない、といったものだ。
アンコールワットの日の出を見るために、カンボジアへ行く。
シャンゼリゼ通りのオープンテラスカフェでコーヒーを飲みながらパリジャン気分を味わうために、パリに行く。
ユーラシア大陸最西端で「最西端到達証明書」をもらうために、ポルトガルへ行く。
こんな旅が多かった。
でも、今回の屋久島旅は、これまでと一味違った旅にしようと決めた。
現地で暮らす人とめぐる旅
屋久島旅の期間は、9月7日〜12日までの6日間。前半3日間は、友人2人との3人旅。後半3日間は、友人と別れてひとり旅。
屋久島初日。最初に向かったのが、クリスタル岬だ。
お店も大きな看板もないところで車を降り、緑に囲まれた道を抜けると・・・
そこには、とんでもない絶景が待っていた。
はじめまして、屋久島。来てよかった、屋久島。ずっとここにいたい、屋久島。
ここは、鉱山の跡地。水晶も落ちていたことから「クリスタル岬」と名付けられたらしい。
青い空、青い海。岩肌があらわになった崖。
絶景を眺めながら、思いを馳せる。
もし自分が屋久島で生まれ育っていたら、よくここに来ていたんだろうな。学校で嫌なことがあった時、親に怒られた時、好きな子にフラれた時。ひとり、クリスタル岬に来て、ぼーっと海を眺めていたに違いない。
屋久島に上陸してからまだ1時間。すでに僕は確信していた。屋久島、好きだ。
クリスタル岬は、ガイドブックには載っていなかった。世界遺産検定マイスターの資格を持つ世界遺産好きの自分も、全く知らなかったスポット。
そんな未知の場所に出会えたのは、屋久島に暮らしていて、僕たちを案内してくれたちぇりーのおかげだ。ちぇりーは、今回一緒に旅した友人の友人。屋久島町の地域おこし協力隊として、屋久島の魅力を伝える活動をしている。
実際にそこで暮らしている人の声ほど頼りになるものはない。
その後もちぇりーに案内してもらって
屋久島名物・とびうおのひつまぶしを食べたり、
素敵なドリンクスタンドでタンカンラッシーを飲んだり(好きすぎて翌日もリピートした)、
競技場に連れて行ってもらったりした。
(正確には「トラックがある!見たい!」と騒いだら、車を停めてくれた)
屋久島に住んだら、ここでトレーニングしよう。そんなことを考えた。
あとは、森の中で屋久島ウォーターを飲んだりもした。
ちなみにこのストローは、先ほどのドリンクスタンドで購入したマイストローだ。早速活躍、サステナブル。
そして、水うまし。屋久島は「月に35日雨が降る」と言われるほど降水量の多い島。川の水も綺麗で、飲める。
ちょっと待った。「飲める」という表現は不適切だった。「美味しい」「飲みたい」が正解だ。屋久島の水は、有機物を含まない超軟水なのだ。
縄文杉に行かない屋久島旅
屋久島旅2日目。僕たち3人は、白谷雲水峡のトレッキングツアーに参加した。
橋を渡り、岩を登り、屋久杉をくぐる。
そうして出会った景色はもう説明不要。
苔に囲まれた風景は、まさに屋久島ならではだ。
ガイドの方から色んなトリビアを聞きながら森の道を進む。終始、感激しっぱなしの6時間だった。
屋久島観光の目玉の1つである白谷雲水峡トレッキングを存分に楽しむ一方で、僕はある重大な決断を下していた。
それは、今回の旅で「縄文杉」に行かないことだ。
縄文杉といえば、屋久島のシンボル的な存在。手元のガイドブックには、以下のように書かれていた。
白谷雲水峡は、屋久島観光のNo.2的な存在。言うまでもなく、縄文杉が人気No.1の存在だ。
屋久島へ来る観光客の定番は、屋久島へ来た翌日に縄文杉トレッキング、翌々日に白谷雲水峡トレッキングをして帰る2泊3日コースだという。宿の方に「白谷雲水峡行きます」と言ったら、秒で「縄文杉は?いつ行くの?」と聞かれた。
それほど、縄文杉は屋久島にとって絶対的な存在なのだ。
某ガイドブック曰く「屋久島旅で外せない、メインイベント」である縄文杉を、僕は外した。重い決断だった。
自分と世界を豊かにする、プランBの旅
3日目には、屋久島の集落の1つ、吉田の里めぐりツアーに参加。友人と別れた4日目は、屋久島に移住してきた友人と屋久島一周ドライブ。5日目はひとりでチャリ旅(無事、体バキバキ)。
そして、これが屋久島ラストナイトのツイートだ。
今回僕は「あたらしい旅」のカタチを模索しながら、屋久島で6日間を過ごした。
僕の考えるあたらしい旅とは
こんなイメージだ。刹那的な旅、消費的な旅からの脱却を目指した。
僕は旅が好きだ。旅が自分を、そして世界を豊かにするとまあまあ本気で信じちゃっている。
もしも世界を豊かにする旅人が存在するのだとしたら、それはきっと「その瞬間さえ楽しければいい」という旅人ではないだろう。
現地で暮らす人々と対話し、旅先へ恩返しする気持ちを持つこと。自分が住人のつもりで、あるいはまた来ることを前提に行動すること。これが、あたらしい旅をするうえでのポイントではないだろうか。
【縄文杉&白谷雲水峡のトレッキングツアーをする2泊3日】を屋久島旅のプランAとするなら、今回僕はプランBの旅をしたことになる。
もし今回僕がプランAの旅をしていたら。縄文杉に行っていたら。
「屋久島で絶対行くべき縄文杉に行けてよかった!」と大満足したかもしれない。でもきっとクリスタル岬に出会えなかっただろう。素敵なドリンクスタンドや吉田集落にも行かなかっただろう。
屋久島の楽しかった記憶を保存して、次の旅先に向かったかもしれない。そして、もう屋久島を訪れることはないかもしれない。次々と消費する旅先を求めて世界を渡り歩くことになっただろう。
でも僕はプランBの旅をした。この時点で、屋久島との長期的な付き合いが確定した。
なぜならまだプランAを経験していないから。
プランBの旅でこんなに満足してしまったということは、屋久島のポテンシャルを感じざるを得ない。
縄文杉もそうだが、まだまだ屋久島には魅力的な場所や人がたくさんいるはずだ。
次回の屋久島旅。僕にはたくさんの可能性が残されている。
プランAの旅をすることもできる。だがプランCの旅も大いにありだ。
このように、プランBの旅をすることで可能性が広がる。旅先が1度だけ行ったことのある場所から、たびたび思いを馳せる場所に変わる。もしかしたら将来、暮らすこともありえるかもしれない。
プランBの旅は、旅人と旅先を豊かにする。お互いにとって持続可能な旅になると思う。
旅人のあなたへ。ぜひ次は、プランBの旅を。
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