見出し画像

本の読み方は様々

6年前結婚したばかりの頃、私は「読書」というと、なんとなく、新しい本を読むことだと思っていた。いや、そもそも読む量がそれなりに多かった学生時代には、気に入った本は購入して、手元に置いて読み返したりもしてたのだけど、社会人になってそもそもあまり本を読まなくなってから、どこかで「読書」は新しい本を読むことだと思っていた。慌ただしい毎日の中で、一度読んだ本をもう一度読むなんて時間が勿体無い、と思っていたのかもしれない。

ところが、私の夫は同じ本を何度も読む。BOOKOFFで購入したそもそも中古の文庫本を、カバーの端が擦り切れるくらい何度も何度も読んでいる。彼の愛読書は内田幹樹の『パイロット・イン・コマンド』シリーズ、北方謙三の『水滸伝』シリーズ、それからあだち充の漫画。あんまり何度も読んでるものだから、つい私も「それ、面白い?」と聞いて読んでしまった。「面白かったよ!」と伝えると、嬉しそうにその本について語ってくれたあと、「俺もまた読もうかな」と言ってまた読んでいた。それ、一体何周目なんだ。

でもそんな夫の姿を見て、「なんか格好良いな」と思うのも事実である。別に読書なんて自分の好きでするのだから、好きなものを読めば良いのだけど、好きなものをとことん読んで味わう姿勢が、いいな、と思った。

それで、私も自分の本棚の本を引っ張り出して読み直し始めたのだが、これがなかなか楽しい。なぁんだ、新しいものを探さなくても、私の好きはここにたくさんあるじゃないか。もちろん、新しい本を読みたい時もあるけど、忙しい日常の中でちょっと一休みするのに、自分の本棚の、自分の大好きな本というのはこんなに心地良いものだったのか。先の分からないドキドキ感は少なくても、間違いなく自分の好きがそこにある安心感。かと思うと、以前は気づかなかった新しい発見に出会ったりして、もっとその本が好きになる。昔の友人に、恩師に、久しぶりに逢うような懐かしさや安心感がそこにはあった。慌ただしく余裕のない時こそ、読むべきは自分の本棚の本なのかもしれない。

さて、今度は何を読もうか。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?