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かもめ食堂とわたし

私は、大学時代(2006年)の交換留学をきっかけに、フィンランドが第2の故郷のように思い入れ深い場所となった。それは単に留学生として単位を取るために日々淡々と過ごしただけではないからだと考えている。人との交流、とくに現地フィンランド人との交流で豊かな時間を過ごすことができた。

そして、フィンランドが割りと自分に合っているな、ということを感じた。
バスも通らないような九州の田舎出身の自分にとって、自然の多さや人の素朴さは共通するもので、居心地のよいものであった。
(フィンランドはフランスとかイタリアの西欧諸国と比べて観光資源や食において刺激が少なく、滞在期間関わらずつまらないと感じる日本人もいると聞く)

それでいて、街の交通や家具食器の設計は人の暮らしに寄り添ったように機能的で、例えばお店で買えるモノの選択肢は少ないけれども、シンプルで、無いものはあるもので工夫対応して暮らす人々は魅力的で、どこか懐かしさも感じた。

当時はフィンランドの情報がネット上でも少なかったし、自分が体感したことに共感してくれる友人もあまりいなかった。自分で体験したことが自分にとって新しい情報だったが、友人にとっても新しい情報なのだ。
『居心地がいい』のは何故なのか、はたまた主観にすぎないのか、友人と話してうまく言語化できずもどかしい状況が帰国してからもしばらく続いた。(自分が話し下手なのもあるが 笑)

映画『かもめ食堂』
この映画を初めて見たのは留学中に日本に一時帰国をした2006年の夏である。この映画は同年の春に公開されたものだから、公開後わりとすぐに映画館で見たことになる。
半年間フィンランドを"かじった"私がその時見た正直な感想は「観光プロモーション的でストーリーがあまり頭に入ってこなかった」というどうしようもないものだった笑
何だかんだで、初回限定版も記念に購入して、今でも時折見ながら当時の留学時代を思い出してみたりする。

この映画をきっかけに、フィンランドに興味を持って現地を訪れる日本人も増えたと聞く。映画に出てくる北欧食器や『空気感』は日本人にとって
真新しくも、心地よさを感じるものなのかもしれない。
私にとってはこの映画は、今やフィンランド好きな人との共通言語のひとつにもなっているし、フィンランドをよく知らなくても、映画が好きな人や旅好きな人との会話に一役買ってる。
かもめ食堂に感謝。

フィンランドについて、近年日本でも、教育や福祉、また防衛の面で注目をされている。自分にとって大事な国のことに関心を持たれることは嬉しいが、その反面、自分だけの秘密基地がみんなに知れ渡ってしまったような少し複雑な気持ちでもある。


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