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[ゲーム感想] ジラフとアンニカ(Nintendo Switch)

前々からひそかに気になっていたタイトルではあったけど、暮れのSwitchソフトセールでお安くなっていたので購入。ちなみにセール期間じゃなくても2,500円ぐらいで買えます。買え。

※微ネタバレあり。購入前に読んでもそれほど問題は無いかと思いますが一応注意。


■ざっくり言うとこんなゲーム


公式のジャンルは「ハートフルアドベンチャー+リズムゲーム」。
『押忍! 闘え! 応援団』シリーズのイラスト等を担当した斉藤敦士氏を中心に2015年末頃から製作が始まり、2020年に晴れてSteam、次いでSwitch/PS4/Xbox Oneにて発売された。

見知らぬ小さな島「スピカ島」で目が覚めた猫人間(猫耳+シッポ)の少女アンニカは、謎の少年ジラフに誘われて「星のかけら」と呼ばれるアイテムを集める冒険に出ることとなる。
ジラフはアンニカのことをよく知っていると言うが、アンニカは記憶を失っているようで思い出すことが出来ない。
しかし、ジラフと共に旅をする中で少しずつアンニカの記憶が蘇っていき……


■良かった点3つ

① 移り行く風景とBGMが織りなす心地良い空気

ジラフとアンニカの世界では時間が大きく分けて「朝~昼」「夜」の2つで区切られていて、時計を装備すると実際に今が何時何分であるか確認出来る。(ゲーム内の1時間は実際の20秒足らずで経過するため、タイムスリップの演出みたいな速度で時計の針が回っていくのはご愛敬)

つまり一定時間ごとに夜が来て、朝が来て、また夜が来るため、それを活用して1日の移ろいを表現するようなフィールドBGMが用意されている。

これが実に良い働きをしていて、夜通し島の探索をしてから眺める日の出とか、子供たちとたっぷり遊んでいたら建物に灯る明かりとか、そういった光景に一層の没入感をもたらしてくれる。

勿論ダンジョンやボス戦にあたるリズムゲーム用BGMも粒揃い。クリア後速攻でサントラ(と画集)ポチりました。

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② アンニカかわいいよアンニカ


物語の主人公となるアンニカ。こいつがまぁカワイイ。いちいちカワイイ。何かにつけてカワイイ。
このゲームの大きな特徴に「ムービーシーンに代わるものとして漫画を1コマずつ見せるような演出を取り入れている」という点があるのだが、豊かな表情と底抜けに明るい性格でコマ内狭しと動き回るアンニカに癒されること必至。

基本的には少人数で製作されたゲームなのでキャラクターのCGグラフィック等は同世代の大手メーカー製と比べるとどうしても見劣りしてしまうが、一定時間操作をしなかった時に取る待機モーションや椅子に座った際に足をパタパタさせる動きなど、「アンニカらしさを表現するためにここは譲れない!」というこだわりを感じた。

他のキャラ達もそれぞれ個性的で味のある性格となっているため、パッケージデザインを見て直感で良さそ~と思ったのであれば買って損はしないと思う。買え。

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③ 優しい世界に見え隠れする不穏な影


天真爛漫な主人公、親切で協力的な島の住人たち、ダンジョンのボスとはリズムゲームで勝負と、まさに優しい世界を体現したようなゲーム……と言いたいところだが、ストーリーを進めていると節々に悪い予感を感じさせる要素が現れる。


最初に探索することになる無人の家には「船が難破し乗組員のほぼ全員が行方不明」という新聞記事と「あの人が居ないと寂しい」と書かれた日記



お父さんが帰って来たとき目印になるように、と言いながら灯台で冷たい海を照らし続けている少女



のどかな雰囲気のマップに突如現れる打ち棄てられた潜水艦や戦闘機



アニメ調のキャラの中において一体だけ妙にリアルで逆に浮いている亀

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一体この島で、この世界で何が起きたのか。今に全てがひっくり返ってしまうのではないかという恐怖を首筋に感じながら、しかし真相を知りたいという一心でストーリーに引き込まれてしまった。
「可愛いアンニカちゃんの愉快な大冒険!」だけならここまで印象に残るゲームにはならなかったと思う。
結末は君の目で確かめてくれ!


■気になった点3つ

① 見た目に反してガッツリ要求されるアクションゲーム要素

ダンジョンにおいてアンニカが出来る動きは基本的には「移動・ジャンプ・ダッシュ」のみ。しかもこのうち移動以外は段階的に開放されていく形式なのでこちらが出来る抵抗はごく限られているのだが、敵はお構い無しとばかりに一方的に攻撃を仕掛けてくる。
ゲーム後半、ストーリーはどんどん面白くなり早く次の展開が見たい!という気にさせてくれるのに、ギミックが難しくなかなか先に進めないことが多かったのはもどかしかった。
特に終盤のとあるダンジョンは顕著で、ステージ全体が織りなす素晴らしい演出もプレイヤー自身は「ああまた猫が奈落にジャンプしてる!!」って感じでイマイチ浸れなかったのが残念。
3つのレベルから譜面を選べるリズムゲーム(ボス戦)と異なりダンジョン自体には難易度の選択肢が無いため「普段あまりゲームはしないけど雰囲気に惹かれて買ったって人は脱落しちゃうんじゃないか?」と心配になった。


② システム面で不親切な点が目立つ


例えばポーズメニューとして選択できる「オプション」「操作方法」「ダンジョンから脱出する」「タイトル画面に戻る」のうち、「タイトル画面に戻る」を押すと「本当にいいですか?」的なワンクッションが無く即タイトル画面に連行される。
(ダンジョンで収集要素の「ねこ絵」を集めて脱出しようとしたら手が滑って即タイトル連行ねこ絵集め直しという悲劇が実際に一度起きてしまった……)
その他ミニマップが無かったり、体力と水中の酸素ゲージが共有のうえ何故か水面から顔を出していても体力が減っていったり(今思えば猫は水が苦手ということなのかもしれない)、いかにもオマケ要素という佇まいのアイテムが結果的にストーリークリアに必須だったりと細かい点の蓄積もちらほら。
乗車券はスタンプカードの1列目で良かったんじゃないかなあ。


③ 若干の消化不良感の残るストーリー


自分の読解力の問題なら申し訳無い限りだけど、「アレは結局どういう事だったの?」と聞かれると「どうなんだろうねぇ……?」となってしまう点が少なからず残る。
あまり色々と触れるとネタバレになるので詳しく書くことは控えるが、一番大きな疑問は「なんでアンニカはあの世界に迷い込んだの?」という点。
勿論イベントや会話の中でヒントとなる要素は出てくるが、最後まで明確に語られることはなくエンディングを迎えてしまう。
裏を返せばその分想像が膨らむということになるので、一概に悪いとも言えないけどね。

■まとめ

独特の空気感を帯びたゲームなのでハマれるのか不安だったが、終わってみればほぼぶっ通しでエンディングまで駆け抜けてしまった。(クリアタイムは約7時間半でした)
操作感やモーションなど端々に「安さ」を感じてしまう点はあったものの、最初のダンジョンをクリアする頃にはほどんど気にならなくなっていました。
クリアした後の1冊の絵本を読み終えたような独特の余韻は他のゲームでは味わったことがないもの。
もう一度見たくなる掛け合いや後から見れば「なるほどね~」と思える伏線も随所に散りばめられているので、2周3周とプレーしたくなる良いゲームです。
皆も今すぐ買ってアンニカちゃんと旅しよう!買え!!

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公式サイト:https://www.giraffeandannika.com/
書いた人:こいつ(https://twitter.com/koitsu511)

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